第17回全国ジュニア・ラグビーフットボール大会 優秀選手 総評
(財)日本ラグビーフットボール協会
タレントIDマネージャー 勝田 譲
第2回目を迎える「優秀選手」セレクションを無事終えることができ、関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。昨年度の中竹コーチングディレクターからの総評にあった「キーマンに頼りがちなチーム戦略・戦術。それが引き起こす選手育成機会の喪失。」が改善され、今年度はより多くの選手のプレー機会が増え、ボールがよく動く試合が展開されました。チーム関係者の方々の誠意と熱意によるご指導の賜物だと存じます。
今年度のセレクションは、全ての選手の良い点を、大会前に各チームから推薦いただくことから始まりました。ラグビーのパフォーマンスにはまだ表れていない、ふとした瞬間のキラッと光るものも推薦いただき、結果としてセレクションがとてもスムーズに実施することができました。指導の現場で選手の良い部分を引き出していただき、より間口を広く有望選手を推薦いただくことは、将来のJAPANの「埋もれなき人材発掘」に繋がります。他競技のセレクションでも共通して話題になることは、特に中学生世代における「将来性の見抜きの難しさ」です。であるからこそ、特にこの世代での選手評価は加点方式で、選手の良い部分を見つけてあげるもしくは作ってあげることが大切です。また推薦シートを分析した結果、「優秀選手に選考された選手は、チームからの評価も高い」という傾向がありました。今後セレクションシステムを構築していく上で、全国の指導者の皆様の「声」を集められるシステムにして参りたいと思います。
「優秀選手」の多くが、瞬発力やトップスピードで長い距離を持続的に走る能力が高い傾向にあることがわかりました。これは選手のアスリート性を高める指導が重要であることを示唆しています。アスリート性とは、瞬発力・持久力・敏捷性など、ラグビーに限らない運動能力のことです。ラグビーの試合ではボールを触っていない時間がほとんどであり、特に「走る能力」が重要です。スピードは先天的なものであると決めつけてはいけません。サッカーの本田圭佑選手は今でも速く走るためのトレーニングを欠かしていないそうですし、現在フランスで活躍している四宮洋平選手(現33歳)は今なお50mの自己ベストを更新していると言います。先日のW杯に出場したJAPAN選手へのアンケート結果によれば、「ランニングフォーム」などのトレーニングを受けたのは主に大学生以上になってからであり、ほとんどの選手が「中高生の時に教わりたかった」と回答しました。まずは指導者自らが、どうすれば速く効率的に走れるのかを考えることが第一歩です。限られた時間の中で、ウォーミングアップの時間でも結構ですので、選手のアスリート性を高める指導を是非取り入れていただきたく思います。
今年度見事に優勝した「奈良県中学校選抜」は、あらゆるスキルレベルが高かったことに加え、「モールをうまく活用できた」、つまり「多様なスキルを有している」チームでした。これは高校ラグビーで優勝した東福岡高校にも当てはまることだと思います。選手がJAPANに選考される時に重要なことは、「監督が実行したい戦略・戦術を遂行できる選手であること」です。つまり、いかなる戦略・戦術にも対応できる「多様なスキルを有している」ことがとても重要になります。推薦シートより、キッキングスキルや適切な判断、戦略・戦術の理解(ゲーム構造の理解)などのゲームスキルはあまり練習に取り入れられていない可能性が見られました。よりボールも人も動くゲームへと転換してきておりますので、そのために必要な「多様なスキル」を是非取り入れていただき、選手のプレーの選択肢を増やしていただければと思います。
言うまでもなく指導の現場は時間が限られており、特にスクールにおいては週1回の練習で何をするのか、できるのかについて、とても苦悩されていることを理解しております。また、先ずはラグビーを続けてもらうことが最優先でもあります。引き続き練習の工夫や計画を通じて、ラグビーを楽しみながら上手くなるご指導を宜しくお願いいたします。
この度33名の優秀選手をセレクションいたしましたが、皆様に育てていただいた選手を選別させていただきました。今後の競技力向上は、指導者の方のみならず多くの関係者の方々のご協力なしには成り立ちません。一方で、セレクションする側からの意見もしっかりと主張することが相乗効果となり、結果的に選手の能力を引き延ばしていくことにつながると確信しています。今年度の総評が来年度、更には日本ラグビーの今後へとつながることを祈念しています。
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