■準決勝
六甲クラブ vs 北海道バーバリアンズ(1月14日)
15回を数える大会で、6度目の激突となった両チーム。強風の中で行われた試合は、互いに強力FWを前面に押し出した、力と力のぶつかり合いとなった。
前半風上を取ったのは六甲。3点を追う15分。相手陣10mラインアウトからモールで前進して左に展開。9→10→12と渡り、12CTB内田が突進。バーバリアンズのタックルをふりほどきながら、ゴールポスト真下に飛び込み逆転に成功。ゴールも決まって7-3とした。
だが、それ以降、六甲はキックで敵陣深く攻め込むものの、FL・マクドナルドを中心とするバーバリアンズの執拗なボールへのからみに苦しみ、なかなか得点を加えることができない。28分のゴール前ラックのトライチャンスも、「クラブ界のミスタージャッカル」マクドナルドの長い手が伸びてターンオーバーを許してしまう。
後半に入ると、バーバリアンズの逆襲が始まる。17分、28分と、FB笹田が確実にPGを決めて10-9の1点差に迫った。六甲はゴールラインを背にして必死のディフェンス。バーバリアンズもSO鈴木の効果的なタッチキックで六甲陣に入るが、トライどころのラインアウトで、強風によるノットストレートを連発してしまった。
●エピソード1
1〜2回戦が開かれた北九州市の本城競技場の所長さんが以下のような感想を述べられました。「30年近くグラウンド管理の仕事をしているが、着替えを終えて帰るチームから、ホウキとチリトリを貸してくれと初めていわれました。部屋を掃除していったチームは、ラグビー、サッカー、陸上その他を含めて初めてのことでした」
●エピソード2
クラブ大会を担当したレフリーから。「あらためてクラブ大会の規律とモラルの高さを認識しました。社会人や大学で失ってしまったラグビーの規律をゲームだけでなくアフタマッチファンクションまで含めてクラブチームは忘れずに実践していることが素晴らしい・・・」 |
逆に六甲はマイボールラインアウトをほぼ完璧にキープ。モールでじわりじわりと陣地を挽回していく。スクラムでも、PR北迫、HO安田が中心となってプレッシャーをかけ続け、バーバリアンズにクリーンな球出しをさせなかった。
後半38分、バーバリアンズ陣ゴール前スクラム。「ここが勝負所」と六甲は一気の押しでターンオーバー。FL伊藤宏成が歓喜のトライを挙げた。
バーバリアンズも最後まであきらめない。ロスタイムの44分、自陣ラックから左に展開。9→10→7→11と渡り、11WTB池田が40メートルを駆け抜けた。しかしドロップキックによる自らのコンバージョンはゴールポストに跳ね返され、無情のノーサイド。六甲クラブが3年ぶりの決勝進出を果たした。日本を代表するクラブによる最後まで手に汗握る死闘に、九州のラグビーファンからは惜しみない拍手が送られた。
試合後のファンクションで、バーバリアンズの村屋主将は「前半は我慢して、風上になった後半に勝負をかけるというプラン通りの展開でしたが、六甲さんの圧力が凄かった」とコメント。チームを鼓舞する再三の突進で何度もゴール前に迫った。
「今日は何とかバーバリアンズさんに勝たせてもらった。選手全員が六甲クラブのプライドを持って、最後まで集中を切らさずに闘えたことが、秩父宮につながったと思います。決勝ではバーバリアンズの分も挑戦していきたいと思います」と六甲主将・伊藤康裕は決意を述べた。
決勝まで1カ月。六甲クラブはできる限りの調整を積んでタマリバクラブに挑戦する。
■準決勝
タマリバ vs 三鷹オールカマーズ(1月14日)
地元の帆柱クラブを破り意気あがる三鷹オールカマーズとの準決勝。昨シーズンの東日本トップクラブリーグでも「タマリバに一泡ふかせる」を目標に戦いを挑んできたチームである。王者としてどっしりと受けてたつ一戦となった。
前半開始早々、三鷹陣地内のラインアウトから連続ラック、最後はHO加来が持ち前の機動力を生かした好フォローで飛び込みトライ。開始一分での先制に「タマリバ強し」を印象づける。
ところがアプセットを狙う三鷹の風上を利用した効果的な陣地回復で、それからのプレーは全てタマリバ陣地に張り付きとなる。主将高橋の高身長を充分に生かしたラインアウト制覇でじりじりと攻め続ける三鷹に対し、タマリバはゲインを切らさない強いダブルタックルで応戦。
前半中盤に入りタマリバはようやくハーフウェイまでボールを運ぶと、ペナルティの展開からFB安川が大きくゲイン。ラックから左に展開、WTB中牟田がトライを決めた。その後、36分、38分とSO竹山が上手くラインを動かし、WTB吉川、FB安川のトライを導く。
後半に入りタマリバの攻撃がさらに加速。5分には走力に定評のあるPR石川が大きくゲイン。中牟田がミスマッチとなった三鷹ラインを3人かわして中央まで回りこみトライ。タマリバの若きスリークォーターバック陣の気迫を示す。更に8分にはラックから左へ展開、ラインに残っていたLO桑江のパスを受けたこれまたFWのNO.8井戸モンタがダイナミックなストライドで中央へトライ、試合を決定づける。さらに11分には竹山がステップワークで切り開いたスペースにクロスで走りこんだFB安川へラストパス。15分にはラックからのモール形成で押し込んでトライと多彩な攻撃と力強さを見せる。
ところが今年の三鷹は以前にも増しての粘り強さを見せる。ペナルティに乗じてじりじりとタマリバ陣内に攻め寄り、波状攻撃のようなラック&モールで最後はSH橋本がサイドディフェンスをかいくぐって右隅にトライ、一矢を報いる。試合の勝敗が決した上で、なおまだ見せる一体感に多くの観客から拍手が贈られた。(学ぶべきものも多かった)
2月17日に秩父宮で全国決勝戦を迎えるタマリバ。相手は北海道バーバリアンズを破り、3年ぶりの決勝進出を決めた六甲クラブ。昨年よりも充実した戦力と一戦にかける思いは決してあなどれない。しかしこの連戦で敗れたチームの主将がコメントしていたように、「その先にある大切な試合を勝つこと」が全てのクラブの目標である。揺ぎ無い信念、自信。それを支える基盤となるチーム力向上まで、あと一ヶ月の猶予しかない。
試合のMan of the Match 。三鷹よりは、前後半を通じて積極的な攻めを見せ続けたSH橋本。本職ではないとのことだが、「一生懸命やっただけ」というスピーチが仲間への信頼の高さを感じさせた。
タマリバよりは攻撃全ての起点を造りだしたSO竹山。タマリバの攻撃力の核である鮮やかなBKラインの展開をリードする鮮やかなパス、それを可能にするスペース感覚の鋭さには今後も注目していきたい。(萬井淳)
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