パナソニック ワイルドナイツ 56-14 ヤマハ発動機ジュビロ 【1回戦/2013年2月2日(土) /大阪・近鉄花園ラグビー場】 日本選手権1回戦は、朝方までの雨も上がり、厳しい生駒おろしに見舞われた先週とは打って変わって春を思わせる陽気の漂う近鉄花園ラグビー場で開催された。 プレーオフトーナメントでは3位に甘んじたため、1回戦からの登場となるパナソニック、2週間の調整期間を経てこの試合に臨む。一方のヤマハは先週ワイルドカード2回戦で近鉄を大差で下した勢いを駆ってリーグ戦上位の相手に挑む。前半、パナソニックのキックオフで試合が開始、早々の2分パナソニックFB田邉が45m中央からPGを決め3-0と先取する。ヤマハもFB五郎丸が9分、14分にPGの機会を得るがひっかけ気味のキックで追いつくことができず、逆にパナソニックFB田邉が1PGを加え6-0とする。 序盤戦パナソニックは接点でヤマハを上回り、ディフェンスラインの破綻もなくヤマハにゲインを切らせない試合展開。ヤマハはパナソニックの勢いに押され密集でたまらず反則を犯す。パナソニックはラインアウトを選択、ラインアウトからのモールを押し込み21分にNO8ホラニ龍コリニアシがトライ、11-0とする。 中盤に入り、ヤマハも巻き返しを図ろうとするが、逆に24分パナソニックキャプテンCTB13番霜村が自陣22mlからカウンターアタックを仕掛けトライ、16-0と着実にリードを拡げる。パナソニックは攻撃の手を緩めることなく、ヤマハの反則に対してはラインアウトからのモールで、29分、34分にトライを奪い、FB田邉がゴールを正確に決め、30-0の大差で前半を折り返す。やマハは接点での攻防、ラインブレイクを如何にするのか後半の巻き返しが期待される。 後半、ヤマハのキックオフで試合が再開、パナソニックは接点での集散でヤマハを上回り、ヤマハ陣内で優位に試合を進める。ヤマハはCTBサウ、LO5番トーマスが突破を図ろうとする。しかし、パナソニックは7分、右WTB北川智が右ライン際を抜けトライを奪い37-0とし一方的な展開となる。この後も確実なボディーコントロールと素早い展開で18分、22分と立て続けにトライを重ね51-0と大差をつけ勝負を決める。 ヤマハもこのままでは引き下がれず、27分PKからトーマスがディフェンスを突破し、ラックからの右展開で途中出場22番のオリビエがトライを返し反撃。続く30分自陣まで攻め込まれるが積極的に展開しWTB徐がパナソニックディフェンスを振りきり90m独走しトライを奪いヤマハファンを沸かすが56-14の大差でノーサイド。 パナソニックはトップリーグ4強の実力をいかんなく発揮し、好調のヤマハを下し、日本選手権制覇を賭けて2回戦で大学チャンピオン帝京大学との対戦を迎える。 ヤマハ発動機の清宮監督(右)と笠原キャプテン ヤマハ発動機ジュビロ ○清宮克幸監督 「先週の近鉄とのワイルドカード決定戦では、良いゲームができ、今日もいけると踏んでいたが、結果空回りしてしまった。パナソニックの巧みなゲームコントロールの前に、自滅した。先週と全く逆のパターン。今日足りなかったところを真摯に反省し、来シーズンに繋げていきたい」 ○笠原雄太キャプテン 「パナソニックのアタックに食い込まれ、ディフェンスで反則が多くなった結果、ペースをつかめなかったことが敗因」 ──来シーズンに向けて。 ○清宮監督 「厳しいレベルの中で戦うフィットネスが身に付いていない。今日もモールで簡単に押し込まれたが、普段ならあのようなケースは無い。攻め疲れも相まってフィットネス不足を痛感した」 ──先週余力を残してのゲームだったが、今日のコンディションは? ○笠原キャプテン 「前半、足が重たいと感じた程度だったが」 パナソニックの中嶋監督(右)と霜村キャプテン パナソニックワイルドナイツ ○中嶋則文監督 「ここ数年、プレーオフ準決勝での敗退がなく、日本選手権を1回戦からゲームをすることに対するコンディションづくりが難しかった。チーム全員で、やるべきことをやってくれた結果だと思う。前半30-0で折り返したが、リーグでの九州電力戦で後半追い上げられた苦い経験を踏まえ、0-0のモチベーションを以て後半に臨むよう指示した。今日は、今季のベストゲームといえる」 ○霜村誠一キャプテン 「対戦相手がヤマハと決まって一週間、しっかり準備した結果、FWの頑張りで良いゲームが出来た。これから対戦するであろう上位チームに対し大きな自信となる。まず次の帝京大学戦をしっかり勝ちきりたい」 ──スーパーラグビー参戦の堀江、田中を欠く状況について ○中嶋監督 「メンバー変更はよくあることなので、慣れている。リザーブの木村恵輔がリラックスしてプレー出来るか心配だったが(苦笑)、キャプテンの気遣いもあり、難なくこなした」 ──戦術面で変更はあったか? ○中嶋監督 「特にない。今までやってきたことを、積み重ねるだけ。プレーオフ後、個人面談を行ったが、プレーヤーは切り替えが充分出来ている。日本選手権に向け、個々が自身を鼓舞して臨んでいる」 ──決勝に進めば4週連続のゲームとなるが? ○中嶋監督 「各ゲームで、どれだけベストパフォーマンスをみせられるかが重要。メンバー変更も若干考えている。例年のごとく、いきなり準決勝からの出場より、毎週ゲームを行った方が良いのでは、と霜村も言っている。優勝に向け、いい準備を進めていきたい」 (記事:山林右二、蜷川善夫、廣島治 写真:長谷川昭男 広報担当:村島博)