調子を上げるトヨタ自動車とヤマハ発動機が "4強組"神戸製鋼、パナソニックに挑戦サントリーサンゴリアスのシーズン全勝による"完全優勝"で幕を閉じたジャパンラグビー トップリーグ2012-2013。 確かに、プレーオフトーナメントは終了したものの、熱い熱い楕円球のシーズンはまだまだ続いている。 2月2日(土)には、今季記念すべき第50回大会を迎える日本選手権が開幕。翌3日(日)には、来季のトップリーグの座を賭けた入替戦も行われる。 今季トップリーグでは23-23で引き分け。日本選手権1回戦で勝者となるのは神戸製鋼かそれともトヨタ自動車か photo by Kenji Demura (RJP) パナソニックのTLセミファイナルでの敗戦からの立ち直りぶりはいかに photo by Kenji Demura (RJP) 日本選手権1回戦は、同日、東京・秩父宮ラグビー場と大阪・近鉄花園ラグビー場で、それぞれ2試合ずつが予定されている。 近鉄花園ではいきなりトップリーグの強豪チーム同士が激突。プレーオフトーナメントセミファイナルで敗れた神戸製鋼コベルコスティーラーズとパナソニック ワイルドナイツに、ワイルドカードトーナメントを勝ち上がったトヨタ自動車ヴェルブリッツとヤマハ発動機ジュビロがチャレンジする。 第1試合の神戸製鋼-トヨタ自動車戦は、今季のトップリーグでの対戦では23-23(9月22日)の引き分けだったこともあり、決着をつける一戦となる。 「トヨタ自動車-神戸製鋼というと、きれいなイメージはない」とトヨタ自動車NO8菊谷崇ゲームキャプテンが言えば、神戸製鋼FL橋本大輝主将も「FW戦を制した方が勝つ」。 両者とも、まずはコンタクトエリアで優位に立って主導権を握ることに全力を傾けてくるはずだ。 リーグ戦では「トヨタ自動車のディフェンスが順目への対応が遅い」(苑田右二ヘッドコーチ)という分析から、神戸製鋼がCTBジャック・フーリーを大外に入れるなど、外側のスペースをうまくアタックするシーンも見られた。 神戸製鋼としては、2週間前のセミファイナルでは後半4分での交替を余儀なくされたフーリーが何分までプレーできるかもポイントになりそうだ。 対するトヨタ自動車は1週間前のワイルドカードトーナメント2回戦のNEC戦(41-23)は「フィジカルに、ダイレクトにプレーして、スペースにボールを運ぶ、いい内容のゲーム」(廣瀬佳司監督)で快勝。 そのNEC戦では、前半13分にSO文字隆也が負傷退場してスティーブン・ブレットと交替したために、ほとんどプレーをしないで退くことになったFLジェローム・カイノがどんなプレーを見せるのかも注目される。 密集周辺で圧倒的な仕事量を誇る神戸製鋼FLジョシュ・ブラッキーとのマッチアップも楽しみだ。 近鉄戦のようにFW戦で圧倒できればCTBサウなど決定力のあるBKも生きてくるヤマハ発動機 photo by Kenji Demura (RJP) 第2試合では、1週間前のワイルドカードトーナメント2回戦で完璧なラグビーを見せて近鉄ライナーズから10トライ=70得点を奪ったヤマハ発動機がパナソニックに挑む。 リーグ戦の対戦では、前半15分までに3トライを挙げるなど、立ち上がりで主導権を握ったパナソニックが35-18で快勝(10月13日)。 ただし、ヤマハ発動機は前述の近鉄戦では「ようやく力を出してくれた」(FB五郎丸歩)というFW陣がセットプレー、ブレイクダウンで圧倒するなど、調子を上げているのは間違いないところ。 清宮克幸監督が「日本選手権へ余力を残して勝てた」と余裕の表情を見せるほどの圧勝ぶりだっただけに、リーグ戦の二の舞を踏むことはなさそうだ。 もちろん、パナソニックも「スクラムは要注意」(中嶋則文監督)と、警戒は怠らない。 トップリーグでは6年ぶりにファイナルに進めなかったパナソニックだが、「選手たちは次に向けて切り替えられている」(同監督)と、セミファイナルでの敗戦のショックからは立ち直っているようだ。 セミファイナルを欠場したSH田中史朗に加えて、HO堀江翔太もスーパーラグビーのレベルズへ再合流したため、日本選手権ではプレーしない。 帝京大は六甲、筑波大はコカ・コーラウエストと 入替戦=福岡サニックス-豊田自動織機は福岡で 帝京大は六甲、筑波大はコカ・コーラウエストと日本選手権1回戦で対戦する photo by Kenji Demura (RJP) すでにTL昇格を決めているコカ・コーラウエスト。大学生相手に無様な試合はできない photo by Kenji Demura (RJP) 東京・秩父宮ラグビー場では、大学2強がそれぞれトップリーグ以外の社会人チームと日本選手権1回戦を戦う。 史上初の大学選手権4連覇を果たした帝京大学は、全国クラブ大会2年連続優勝の六甲ファイティングブルと対戦。 両チームは昨年の日本選手権1回戦でも直接対決しており、その時は83-12で帝京大学が大勝を収めている。 大学選手権決勝から3週間、実戦を離れているが、「大学選手権4連覇に恥じないように、しっかりやっていきたい」(HO泉敬主将)と、高い意識をキープしての社会人との戦いとなる。 一方、トップチャレンジシリーズ1位のコカ・コーラウエストレッドスパークスに挑戦するのは、大学選手権準優勝の筑波大学。 毎年、日本選手権1回戦では大学NO2チームの健闘が目立つが、筑波大学としてはまずは前に出るディフェンスでコカ・コーラウエストのアタックを分断したい。 昨季は帝京大に83-12の大差で敗れた六甲。クラブ王者の意地を見せてリベンジなるか photo by Kenji Demura (RJP) 翌日の3日には、来季のトップリーグへの参加を賭けた入替戦、福岡サニックスブルース対豊田自動織機シャトルズの一戦が福岡レベルファイブスタジアムで行われる。 トップチャレンジ1第2節のクボタスピアーズ戦で自動昇格権をつかみかけながら、終了4分前の逆転PGで敗れたことも響いて入替戦に回ることになった豊田自動織機。 NO8ライアン・カンコウスキー、SOマーク・ジェラードといった強烈なインパクトを誇る外国人選手を中心とする攻撃力を生かすためにも、福岡サニックスの多彩なアタックをどこまで止められるかがポイントになりそうだ。 尚、入替戦のもうひとつのカード、NTTドコモレッドハリケーンズ-三菱重工相模原ダイナボアーズ戦は2月9日に大阪・近鉄花園ラグビー場で行われる予定となっている。 text by Kenji Demura 福岡サニックスは豊田自動織機の挑戦をはねのけ、TL残留を決めることができるか photo by Kenji Demura (RJP) SOジェラード、NO8カンコウスキーなど外国人選手の活躍もTL昇格へのポイントとなる豊田自動織機 photo by Kenji Demura (RJP)