立命館大学 12-48 帝京大学【セカンドステージ 2012年12月23日(日) /東京・秩父宮ラグビー場】 プールDにおいては大学選手権4強をかけて、関西2位の立命館大と関東大学対抗戦2位帝京大の対戦となった。 大学選手権4連覇を目指す帝京大は、この日もポイントゲッターの中村をSOに起用し、試合開始から速いテンポで攻撃を仕掛けた。対抗戦の終盤では筑波大に敗れたものの、昨年以上にボールを動かすラグビーを目指し得点力は大学ナンバー1の呼び声が高い。強力FWが前に出ると、しっかりとためを作ったBKラインがスピードに乗ったアタックでDFを突破する。 ファーストスクラムでも8人のプッシュからNO8李がサイドアタックで崩し、FW陣がしっかり相手をスイープしながら生きたボールを後続に残して展開を図る。開始3分にはSO中村がゴール正面のPGを決め、大量得点を予感させた。 しかし、ここから秩父宮にチーム全員が初登場という立命館のモチベーションの高さがゲームを盛り上げる。前半7分、確実なボールキープとキックを軸に帝京ゴール前に迫ると、ラインアウトモールから8人が低く押しこんでPR西浦がゴールに飛び込みリードを奪う。(ゴール成功7-3) そしてここからの20分、攻める帝京、タックルの立命館に観衆は固唾をのんだ。帝京の強みはコンタクトにおけるヒットの強さと継続力。FW、BKに連続してボールが動くが、立命館のDFは崩れない。帝京の動きのパターンを読み切ったようにショートサイド、グラウンドの外側まで15人が守りきる。特筆すべきはリムーヴの早さ。ヒットで負けたブレイクダウンに無駄な人数をかけずに、次へ次への準備が優先される。そして帝京の人数が少ない局面では一気にターンオーバーを狙い、前半だけで4つのボールを奪い帝京のアタックを切り取った。 この停滞感を変えたい帝京が先に動いた。25分にSHを天野から流へと入れ替え、リズムを変えてチームのリフレッシュを狙う。ここからは、しっかりとDFのギャップを見つけてアタックのポイントを絞り込み、28分にFL松永がトライ。その後も2つのトライが生まれて苦しんだ前半を終えた。(7-20) 後半に期待された立命館は、開始直後に帝京陣に攻め込み、絶好の位置でスクラムを獲得。そのボールをFWが渾身のプッシュで見事な球出しを見せるが、SH井之上からオープン側へ走り込んだBWTBへのパスが通らない。出足良く前に出た帝京DFにゴール前まで運ばれ、最後はLO小瀧がゴールポスト下にトライ。(ゴール成功7-27) ここからの帝京は落ち着いて自分たちのプラン通りのラグビーを展開する。昨年のハーフ団中心のゲームメイクから、15人全員が自分たちの今年のラグビーの強みをしっかりと引き出そうと動く。9分にはCTB権、18分には流がトライ。 後半25分には、立命館FWの柱として奮闘するNO8嶋田がトライを奪って関西2位の意地を見せるが、33分に帝京の強力FWが前に出てLOジョシュアのとどめのトライで勝負を決めた。(12-48) (照沼 康彦) 立命館大学の中林監督(右)と落合キャプテン 立命館大学 ○中林正一監督 「本日はありがとうございました。秩父宮は部員にとって初めての舞台で、相手は王者帝京大学という素晴らしい環境で試合をさせて頂き感謝いたします。相手は日本一のチームですので、私たちが一つずつ積み上げてきたプレーをお見せしようと臨みました。ディフェンスはある程度頑張れましたが、帝京さんのプレーに隙がなく、食らいついたが離されてしまいました。僕たちも本気で帝京さんに勝つ準備をしてきましたし、大きな財産となったゲームでした。どんなチームもやられてから立ち上がります。今日、これがスタートラインにやっと立てたということでしょう。4回生が残した財産を糧に、来年は下級生が頑張ってくれると思います」 ──関西との差は? 「テンポの速さより、身体・コンタクトの部分で劣勢になりました。前半はよくしのいだが、後半は、蓄積して溜まったコンタクトのダメージが相手を有利にさせたと思います」 ──セカンドステージはチームにとって? 「関西のチームとしては、レベルが低いと感じていらっしゃるかもしれませんが、チームごとにいろいろと考えてやっています。一回しかできないところを三回やれるのは良いことで、ぜひ続けていってほしいと思いますし、その先に関西が関東に勝つ場面が生まれると思います」 ○落合佑輔キャプテン 「1年間、帝京さんと当たって勝つことを目標にやってきました。ディフェンスはある程度通用することができましたが、アタックはブレイクダウンのパワーにやられた部分がありました。気持ちが伝わるゲームをやろうと言ってきましたが、伝わったのではと思います」 ──ディフェンスの通用した点は? 「前半、ダブルタックルが決まったが、後半は帝京さんの繋ぎが強く、そこでやられたと思います」 ──コンタクトは劣勢だったか? 「後半は、リアクションも良くなかったと思います。1つのタックルに対するリアクションが遅く、一人に対して三人が行ってしまいました」 帝京大学の岩出監督(右)と小野バイスキャプテン 帝京大学 ○岩出雅之監督 「リーグのプール最終戦ということで、しっかり勝ち切って良い収穫を得て、成長したいと臨みました。反省点もありますが、まずはベスト4に入れたなというところです。短期間ですので、学生の良いところを上げていきたいと思います。立命館さんは、前半、ハードな良いディフェンスでした。この試合の中で得たものをしっかり見つめて、立命館さんの分までファイナルステージで戦っていきたいと思います」 ──ハーフタイムの指示は? 「我慢強くいこうの一点です。予想していましたが、少し滑る足場でしたので、後半は無理せずに、足場の良いところだけで行こうと話していました。前2戦はかなりスコアが離れましたので、楽して勝とうという厳しさの足りないゲームになりました。そこの意識の違いを感じさせる良いゲームでした。アタックも良い感じでしたし、選手も落ち着いていたので、あとは選手の言葉をまとめるだけでした」 ──チームの仕上がりは? 「考え方によります。100点を求めれば、ダメですが、80点で良いのなら違います。どこに照準を合わせるかです。人間ですから、パーフェクトにはできません。今日のように良いゲームを経験すれば、良い成長につながりますが、逆に、楽して獲りたいという学生もいます。次のゲームから、本当の試合、勝負のかかった試合です。向かっていく姿勢が大事で、もう、春、夏、9月とは違います。我々は挑み続けるだけで、最後の勝負で学生に凄味が出てくるようにしたいです」 ○小野寛智バイスキャプテン 「立命館さんのプレッシャーが掛かるディフェンスがありましたが、自分たちがしっかり、我慢強く、前へ進んでプレーできたと思います。後半も最後は同じように前へ出て、やるべきことをやり切れたと思います。良かった面も悪かった面もありましたので、良い反省をして、次のステージに臨みたいと思います」 ──足場はそんなに悪かったのか? 「特にハーフウェイのところの足場が悪くて、スピードを上げて入っていけませんでした」 ──準決勝に向けて、収穫と課題は? 「最後まで我慢強く戦い続けられたことは収穫でした。また、後半にトライを獲られ、もう一度気持ちを引き締めて、集中できました。課題はダウンボールやコンタクトなどの基本プレーで、きっちりできないと応用プレーにつなげられないので、練習で意識していきたいと思います。のこり2試合、しっかりチームが一つになって、全員が全力で戦っていきたいと思います」