マッチリポート

東北学院大学 19-107 福岡工業大学

【ファーストステージ2012年11月18日(日) /埼玉・熊谷ラグビー場】
各出場大学の試合数の増加、また、実力の接近した大学同士の試合を増やすことで、大学ラグビーの強化をはかるために、大会方式が変更となった今季。東北・北海道代表として大学選手権初出場となる、宮城・東北学院大学と、出場20回を誇る福岡・福岡工業大学によって全国大学選手権大会ファーストステージは幕を開けた。

熊谷ラグビー場特有の強風の中、風下であった福岡工業大学がFW・BK一体となった攻撃を見せ、前半2分のロック関屋のトライを皮切りに立て続けにトライを奪う。前半9分に東北学院大学もトライを奪い返し、試合が拮抗するかに思われたが、福岡工業大学の怒涛の攻撃により、前後半合わせて17トライ、終わってみれば、107-19の大差となった。(埼玉県ラグビー協会:齊藤耕)

東北学院 19-107 福岡工業
会見リポート
 

東北学院大学の木村ヘッドコーチ(左)と向井キャプテン
東北学院大学の木村ヘッドコーチ(左)と向井キャプテン

東北学院大学

○木村 剛ヘッドコーチ

「このようなファーストステージという形で福岡の大学とゲームができた事について感謝したいと思います。今日のゲームですが相手の一人一人の強さにタックルが全然通用しなくて個々の強さにおいて、パワー・スピード・アタックの仕方とか、エリアの取り方とか相手がすべての面で上だったという事につきると思います」

○向井康洋キャプテン

「今日の試合、福岡工業大学さんが強いという事は分かっていましたが、僕達はそれでも何とかタックルで食いついて最後まで競ったゲームをしようという事でしたが、試合開始早々からトライを取られ、ズルズルといってしまい自分としても責任を感じます。また、来週試合がありますので気持ちを切り替えてしっかりと試合ができるようにしたいと思います」

──ファーストステージに向けて準備の段階から意識の変化はありましたか?

○木村ヘッドコーチ

「それはありました。今までですと北海道との代表決定戦後に関東の第五代表にチャレンジするのに2-3週間空いていた練習のモチベーションは、今回の福岡工大、朝日大さんに向けて『何とかしてやろう』という気持ちで練習に臨めていましたので違いました」

○向井キャプテン

「今年からシステムが変わって、このような形でチャレンジさせて頂くにあたり、今年は最初の年度ですので今の段階では東北と北海道とその他、九州や東海地区などレベル差がどれだけあるのかを計るためにも大事だと思っていて、そこで今年私達がしっかりとチャレンジする事で、これから東北・北海道のチームに関東などの強い高校からも『東北でやろう』という人達が来てくれればなと思い、この2週間練習してきました」

──自分達で通用すると思った点は?

○向井キャプテン

「去年、法政大学さんと試合をした時はアタックで全然攻められなくて、すぐにターンオーバーされていましたが、今年は近場で縦にボールを下げずに前に行こうという事でアタックし、後半も何本か行けてましたので手応えはあります」

──今年の大学選手権のシステムが変わった点でチームにとってのメリットや気持ちの面で変わったことは?

○木村ヘッドコーチ

「大きい意味で東北地区の大学と1-2点差のゲームでここまで勝ち上がって来ましたので他の大学、東北地区から関東に来ている高校生に『東北学院大でラグビーをやってみよう』という意識になってくれればとの思いもあり、『東北からでも全国でファイトできる』という意味で東北・北海道には大きかったと思います」

──大学選手権に出場したことについて周囲の環境の変化は?

○木村ヘッドコーチ

「それはあります。OB会からのサポートや、学校関係者や地域の方から励ましのお言葉も頂いております」

東北学院 19-107 福岡工業
 

福岡工業大学の宮浦監督(左)と下川キャプテン
福岡工業大学の宮浦監督(左)と下川キャプテン

福岡工業大学

○宮浦成敏監督

「(大学選手権が)このようなシステムになったのは、我々が去年大学選手権1回戦で96-6で帝京大学戦に敗れた事が、繋がったと思いまして、それを踏まえて我々はもう一度選手と話をしてもう一度チャレンジして行こうとスタートしました。この試合に関しては関東に遠征するのは初めてでしたので、今日はグランドの風の強さを踏まえて戦略的に前半から風下を取り、ディフェンスからしっかりと我慢して後半に繋いで行こうと今日やってきました」

○下川兼典キャプテン

「前半風下を取って自分達が走ってそこでチャレンジして行こうと云っていましたが、チャレンジする中で欲張ったり無駄なパスの部分でミスが出たのは反省点だと思います」

──全国の強豪と戦うのに2試合増えましたが、結果的に今回は大差がつきました。チームにとっては?

○宮浦監督

「今回はそれを証明しなければならなかったですね。関東リーグ戦5位のチームが毎年大学選手権出場を獲得するために東北の代表と試合をしますので、情報があまり無くてどれだけのレベルか分かりづらい中で、チャレンジャーで行くしかないなという事です。全然情報がありませんでしたし、リーグ戦5位がどれだけのチームレベルなのかという事も実際問題分かりかねますので、その点では例年50-60点で(東北代表と)戦っているチームに我々がどこまで行けるのか、という点でチャレンジしてきました。結果的には100点は行きましたが結果的にディフェンスが甘くなったところでボールを繋ぐ規律が乱れてしまったりしたところもあります」

──福岡工大は歴史的に見ますと全国大会2勝目ですがシステムが変わり格差が大きいと思いますが?

○宮浦監督

「実際これは勝ち星というよりも、セカンドステージからが実際の真価を問われるのではないかと思います。ファーストステージを乗り切る事ができるとセカンドステージで3試合ありますので、関東と比べてどこまでできるのかだと思います」

──セカンドステージまで行きますと試合数が3試合に増えます。そのメリットは?

○宮浦監督

「大変大きいと思います。今日も1年生が二人試合に出ましたが、選手に多くの出場機会を与えられますし3年生、2年生、1年生もそういった部分で、学んでいくものと思います。なかなか全国レベルで戦う機会もありませんしできるとしても夏合宿ぐらいでしょう。そういう事が公式戦でできるのは非常に有難いです」

──去年に比べてチームが成長した部分は?

○宮浦監督

「去年の96-6で負けた要因を作った我々の経験の部分ですね。去年味わった辛さを今年どうやってチャレンジしていくかという事ですので、その辺が違うと思います。メンタルですね。我々は帝京大にリベンジして、どこまでやることができるのかを、去年とどれだけ変わったのかを見せる事が今年のチームの目標ということで、今年は初めにキャプテン中心に目標は『帝京大へのリベンジ』と決めてました」