Text by Nobuhiko Otomo

「W杯通算最多キャップ」、「W杯通算最多トライ」、「3大会連続トライ」を狙うWTB小野澤photo by Kenji Demura (RJP)

ラグビー王国・ニュージーランド(NZ)で世界にチャレンジするW杯日本代表。このW杯では、日本代表の歴史の節目となる記録も誕生しそうだ。

まず、目前に迫っているのが「W杯最多試合キャップ」。これまで日本代表として最も多くのW杯試合に出場してきたのは薫田真広(91、95、99)、元木由記雄(95、99、03)の2人で、ともに9試合。ここにあと1と迫っているのが小野澤宏時だ。8試合で並んでいるのは平尾誠二とシナリ・ラトゥ(87、91、95)、松田努(95、99、03)。小野澤は03、07年の2大会で、ただひとり全試合に出場。今回、唯一の3大会連続代表に選ばれたフィニッシャーは、1試合でタイ記録、2試合で新記録を達成する。なお世界を見渡すと、イングランドのPRジェイソン・レナードの22試合(91~03)がトップ。世界最多キャップ記録139を持つジョージ・グレーガンは20で2位。07年の前回W杯、ワラビーズは準々決勝でイングランドに敗れてしまったが、ここを勝ち抜けば、準決勝と決勝(または3位決定戦)で、22のW杯最多タイ記録に達するはずだった。イングランドがチーム一丸で先輩の記録を守ったのか?

W杯で最初に決めるコンバージョンによって、日本代表記録を更新することになるSOアレジ
photo by Kenji Demura (RJP)

W杯通算トライの日本歴代トップは朽木英次の4、次いで吉田義人、梶原宏之、大畑大介の3人が「3」で並び、次いでノフォムリ・タウモエフォラウ、増保輝則、ロペティ・オト、小野澤、遠藤幸佑、トンプソンルークの6人が「2」で5位に並んでいる。このうち小野澤、遠藤、トンプソンの現役3人は、今大会で2トライを挙げれば朽木に並ぶ。また、小野澤は今大会でトライを決めれば日本代表で初めての3大会連続トライとなる。世界を見ても、4大会連続トライはサモアのブライアン・リマ(91~03)、ウェールズのガレス・トマス(95~07)。3大会連続もイングランドのロリー・アンダーウッド、スコットランドのガヴィン・ヘイスティングス(87~95)、オーストラリアのジョー・ロフ(95~03)、クリス・レイサム、フランスのクリストフ・ドミニシ(99~07)という錚々たる面々だ。ロムー、ハウレット、キャンピージも(そして大畑も)叶わなかった3大会連続トライ、果たして小野澤は達成できるか?

W杯記録に挑むのが小野澤なら、日本代表通算記録が注目されそうなのがSOジェームズ・アレジだ。08年の代表デビュー以来、通算コンバージョン77は、日本代表通算最多得点記録保持者・廣瀬佳司と並んでいる。アレジがW杯で最初に決めるコンバージョンが、日本代表新記録のキックとなる。
アレジは、SH田中史朗と組むHB団ペア出場でも、村田亙&廣瀬佳司の「12」と並ぶ史上最多タイ。W杯で「田中&アレジ」が揃って出場すれば、HBペア出場の新記録が誕生することになる。