京都産業大学 14-83 東海大学 【一回戦/2010年12月19日(日) at 東京・秩父宮ラグビー場】 東海大学、覇権奪取に向けて始動 関東大学リーグ戦を、危なげなく全勝で大学選手権に駒を進めた東海大学。昨年度、大学選手権決勝で帝京大学に惜敗し、今年度は初の大学日本一を悲願に掲げるが、その安定した試合振りにより優勝候補の筆頭格に挙げられている。 一方の京都産業大学は、37年ぶりに同志社大学が大学選手権出場を逸し、35年ぶりに天理大学が優勝するという波乱の関西大学Aリーグを5位で通過し、3年ぶりの出場権を獲得。 秩父宮ラグビー場での大学選手権の初戦であるこの試合は、東高西低が続く大学ラグビー界の今年の東西の実力差、及び頂点を目指す東海大学の正月に向けた仕上がりが注目される一戦となった。 東海大学のキックオフで試合開始。早々からたたみ掛ける東海大学は、2分にゴール前右スクラムからNO.8前川が逆サイドに攻撃しWTB鶴ヶ崎が右中間に先制トライ。7分、左ラインアウトからFWが相手ディフェンスを切り裂き、ボールを3人繋いでFL高が左端にトライ。10分にはFLリーチの突進を起点にゴール前左ラックから右展開し京都産業大学のBKの穴を突いてFB宮田がトライ。 その後も東海大学の猛攻が続き、17分FB宮田、26分WTB鶴ヶ崎、28分LO安井、37分NO.8前川とトライを重ね、前半7トライを奪った。 一方の京都産業大学は33分、相手ペナルティを起点にキックで攻め込み、敵ゴール前モールのサイドの防御の隙間を攻め左端にトライするものの、前半はこの1トライに止まった。(前半7-45) 後半も東海大学の勢いは止まらない。FW・BKの継続攻撃により開始0分でLO安井がノーホイッスルトライ。3分、6分にFB宮田が連続トライ。その後、暫くの間、互いに譲らず一進一退の攻防が続くが、22分中央付近からFB宮田が相手ディフェンスの間隙を突き50mの独走トライ。 京都産業大学は25分、自陣ゴール前に攻め込まれながらSH田中がインターセプトし、追走を許さず95mを走り切り中央トライ。 しかしながら、その後は東海大学が27分HO水上、38分PR三上がトライし、追加点を重ねノーサイドを迎えた。(14-83) 振り返るに、トライ数は東海大13に対して京都産業大学は2と、東海大学のFWのパワーとFW・BK一体となったゲーム運びが際立つ結果となった。東海大学の攻撃時間が長かっただけに不用意なミスも散見されたものの、先ずは無難に一回戦を勝ち抜き、今後に向けその存在感の高さを内外にアピールした。 京都産業大学にとっては関東の壁は高かったものの、3年ぶりの大学選手権出場経験がチームの大いなるモチベーションアップに結び付き、来年度以降、関西大学リーグを牽引し更には関東勢を脅かす事を大いに期待したい。(岡本 満) 京都産業大学 ○吉田明監督 「今日は京産大らしさを突き詰めようとアタック、ディフェンスとも挑戦者の気持ちで臨みました。しかし、東海大さんのパワーに圧倒されました」 ──3年ぶりの出場で得たものは? 「大学選手権を知らない子ばかりで、圧倒されてしまいましたが、来年以降につながる良いものを4回生が残してくれたと思います」 ○佐藤一斗キャプテン 「選手権1回戦ということで、これまで出られなかった監督、コーチ、スタッフの強い気持ちがあった試合でした。今日の試合結果はちょっと悔しいです。関東の壁が厚いということが分かったので、大きなことはできませんでしたが、下の代につながっていく試合ができたと思います」 ──ここは通じると思った点は? 「やはり、スクラムとかFWのプレーは上でも通用すると思いました。タックルはまだ足りないし、個人の強さも足りないと思います。もっとディフェンスで身体を張っていかなければならないと分かりました」 東海大学 ○木村季由監督 「本日はありがとうございます。大学選手権の初戦ということで、緊張感を持ちながら、しっかり自分たちがやってきたことを出そうと臨みました。序盤から、比較的、ボールを動かして敵陣でやろうと意図したとおりにできました。ゲームコントロールした時間は長かったが、不用意なミスも散見されるので、もう少ししっかりしたプレーをすることがキーポイントです。しっかり勝てるよう、課題をもってやっていきたいと思います」 ──メンバー構成は? 「リーグ戦と違って、代わりに出たメンバーが何人かいて、どのくらい落ち着いてできるかと見守っていましたが、その二人が序盤にトライして落ち着いてやれたと思います」 ──SOを代えた意図と豊島くん、木津くんは? 「SOはリーグ戦の最終戦で怪我をして、チームとして吉田が一番良いとして入れました。次はSO以外は全員戻ってこられると思います」 ──厳しい試合ができないが? 「相手のあることで、難しいですね。こちらがやりたくてもできないので、フォーカスを当てる点を変えざるを得ません。今日は練習でしてないことはしないことと、低いプレーにフォーカスしました」 ○前川鐘平キャプテン 「しっかりした課題を持ててすごく良かったと思います。攻める時間が長く、それなりにミスがあったが、ディフェンスでもしっかりターンオーバーできたし、それなりに満足できる試合でした」 ──出足としては? 「ミスはありましたが、自分たちのやりたいラグビーをやろうと縦に出てアタックもできましたし、良かったと思います」