8月13日・14日の2日間、夏のラグビーのメッカ長野県・菅平高原で、記念すべき「第1回全国中学生ラグビーフットボール大会」が盛大に開催されました。
参加チームは、
中学生の部4チーム、ラグビー
スクールの部4チームの合計8チーム。それぞれが日本一を目指し、熱戦が繰り広げられました。
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初日となった8月13日は、前夜に降り続いた大雨の影響でグラウンド状態が悪く、開会式をはじめとしたスケジュールを2時間繰り下げての開催となりました。午前11時に行なわれた開会式での参加8チームの選手たちは、緊張と興奮が入り混じった表情を見せていました。
主催者を代表して挨拶した真下昇・(財)日本ラグビーフットボール協会副会長・専務理事は、チームの関係者や選手たちに歓迎の意を表した後、今大会に参加する選手たちは、次代の日本ラグビーを担う存在であると、次のように語りました。
「9年後に“ラグビーワールドカップ2019”が日本で開催される事が決定しております。ここ日本で行われる初めてのW杯の日本代表には、今大会に参加している選手の皆さんが多数含まれていることでしょう。また、2016年の夏季五輪には、7人制ラグビーの正式採用も決定しております。中学生ラガーが2016年の夏季五輪、そして2019年のワールドカップに是非ともチャレンジしてくれることを願っています」
そして、全選手を代表して慶應義塾普通部・青井郁也主将が、「ノーサイドの精神にのっとり、仲間と協力しあい、互いに尊敬しあいながら試合をしていくことを誓います」と選手宣誓をしたところで、サニアパークに大会の幕開けのファンファーレが高らかに鳴り響きました。
開会式後すぐに1回戦がスタート。第1試合の横浜ラグビースクール(横浜RS)対つくしヤングラガーズ(つくしYR)戦から熱戦が繰り広げられました。つくしヤングラガーズの激しいディフェンスで幕を開けたこの試合は、前半7分につくしYRのCTB東川が横浜RSのミスから初トライを奪い先制し、前半を終えました。
後半に入ってもつくしYRの勢いは止まらず2分・8分と連続してトライを奪いリードを広げました。横浜RSも意地を見せ、後半15分に粘り強いディフェンスからSO中野がトライを挙げるも流れを取り戻すことができず、終盤につくしYR SO鶴田の見事なキックパスからダメ押しのトライを挙げ、7-22でつくしYRが勝利し、決勝戦に勝ち進みました。
第2試合は、秋田市立秋田北中学校 対 東大阪市立小阪中学校の対戦。キックオフから続いた小阪中学校の猛攻を防いだ秋田北中学校が前半7分にキャプテンのSO横山が個人技で突破し先制トライを挙げるも、その後は、両チームとも一進一退の攻防が続き、7-0で前半を終えました。
後半に入ってもディフェンスの激しさは変わらず緊迫した試合展開になりましたが、後半6分に小阪中学校陣G前のラインアウトから攻め込み、密集サイドを巧みに突いて2つ目のトライを挙げました。自分たちのミスで攻撃のチャンスを失っていた小阪中学校も後半11分に反撃のトライを奪いますが、秋田北中学校の固い守備網を崩すことができずノーサイド。接戦を制した秋田北中学校が決勝戦に勝ち進みました。
第3試合は、伊丹ラグビースクール(伊丹RS)対シルクス・ラグビースクール(シルクスRS)の対戦となりました。流れが目まぐるしく変わる激しい試合となりました。伊丹RSが連続攻撃で先制トライを奪いましたが、すぐにシルクスRSが反撃ののろしを上げると、続く相手の反則から迷わずペナルティゴールを選択し、FB尾花が決め逆転に成功しました。しかし、試合が進むにつれ、体格に勝る伊丹RSが接点で上回り、2トライを奪い前半を終えました。
後半に入ると伊丹RSの勢いが勝り、コンスタントに得点を重ね32-10で伊丹RSが決勝戦に勝ち進みました。
第4試合は、長崎市立三和中学校 対 慶應義塾普通部の対戦。堅実な試合運びをする慶應義塾普通部が、試合開始から主導権を握り開始4分に挙げた先制トライから前半3つのトライを重ね優位に試合を進めていきました。
後半に入っても勢いは衰えず、SO青井主将のゲームコントロールが冴え、次々とトライを重ねていきました。三和中学校も大熊・谷頭の両LOの激しいプレーからチャンスを掴み、後半13分にトライを挙げますが慶應義塾普通部の勢いは止まらず、終わってみれば8トライの猛攻を見せた慶應義塾が52-5で勝利し決勝戦に進みました。
最終日となった14日は、3・4位決定戦と決勝戦が行なわれました。
第1試合は、中学生の部の3・4位決定戦が行なわれ、東大阪市立小阪中学校 対 長崎市立三和中学校の対戦となりました。昨日の雪辱に燃える両チームの対戦、先制したのは三和中学校。小阪中学校陣10mライン付近のスクラムから一気にトライを奪いました。しかし、小阪中学校も徐々に自分たちのペースを取り戻し、強力FWを前面に押し出した戦いを仕掛け、7分、15分、17分、22分と4トライを奪いリードを広げて前半を折り返しました。
後半に入ると三和中学校のディフェンスも粘りを見せ、互いに譲らない展開になりましたが、小阪中学校の勢いが勝り、13分にトライを奪い、そして後半終了間際に常に先頭で大声を張り続けた主将の伴井がダメ押しのトライを挙げ36-7で勝利を飾りました。中学生の部3位となった東大阪市立小阪中学校には、関西ラグビーフットボール協会普及育成委員長 永坂誠より3位の賞状が贈られました。惜しくも敗れた長崎市立三和中学校には、同じく敢闘賞が贈られました。
第2試合は、ラグビースクールの部の3・4位決定戦。横浜ラグビースクール(横浜RS)対シルクス・ラグビースクール(シルクスRS)の対戦となりました。実力が拮抗した両チームの対戦は、試合開始からトライを取り合う激しい試合となりました。前半は、横浜RSが主導権を握り、先制トライを皮切りに、18分、20分と3トライを奪い、横浜RSの攻撃を凌ぎ17-5で前半を終えました。
しかし、後半に入るとシルクスRSの反撃が始まり3分、9分と連続トライを挙げ、17-19と試合をひっくり返しました。その後は、両チームとも譲らない展開となりましたが、試合終了間際の後半19分、自陣から果敢なアタックを見せた横浜RSの連続攻撃からLO佐々木主将が50mを独走し逆転のトライを奪いました。試合はそのままノーサイドとなり、横浜RSが24-19でシルクスRSを下し、3位に輝きました。3位となった横浜ラグビースクールには、関東ラグビーフットボール協会普及育成委員長 海老原洋一より3位の賞状が贈られました。1トライ差で惜しくも敗れたシルクス・ラグビースクールには、同じく敢闘賞の賞状が贈られました。
第3試合は、中学校の部の決勝戦が行なわれました。対戦カードは、秋田市立秋田北中学校 対 慶應義塾普通部。
前日の試合内容からかなりの接戦が予想された通り、前半12分までは、交互にトライを取り合うまったくの五分の展開となりました。しかし、相手のミスを着実に得点に変えていった秋田北中学校が、連続してトライを奪い31-14と大きくリードして後半を迎えました。
後半に入ると慶應義塾普通部が開始直後にトライを奪い、息を吹き返しましたが、一旦、秋田北に傾いた流れは引き戻せず、3トライを献上し万事休す。52-19で中学生の部 初代王者には、秋田北中学校が輝きました。優勝した秋田市立秋田北中学校には、(財)日本ラグビーフットボール協会 普及・競技力向上委員会委員長 上野裕一より賞状が贈られました。ゲーム運びに高い評価を得た慶應義塾普通部には、同じく準優勝の賞状が贈られました。
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秋田北中学校(優勝:中学校の部) |
そして、大会を締め括る最後の試合は、ラグビースクールの部の決勝戦となり、つくしヤングラガーズ対伊丹ラグビースクールの対戦となりました。決勝戦と呼ぶに相応しい好ゲームとなったこの試合は、お互いに譲らない激しい試合となりました。
前半開始から、両チームとも敵陣ゴール前に攻め込みながらも、素晴らしいディフェンスでトライを与えず緊迫した展開になりました。均衡を破ったのはつくしYR。相手ボールのスクラムからボールを奪い一瞬の隙をついて、LO末増が独走し先制トライを奪いました。しかし、対する伊丹RSも、直後のキックオフから敵陣に進み、ラインアウトからの連続展開でCTB梶村主将がトライを挙げ、5-5で前半を終えました。
後半に入ると後半3分に試合が動きました。つくしYRがライン際で腰の強い走りを見せたCTB東川がトライを奪いリードしました。その後は、再び両チームの一進一退の攻防が続き、刻々と時間だけが過ぎていきました。そして、得点が動いたのは後半18分でした。つくしYRに攻め込んだ伊丹RSは、ゴール前のラインアウトからモールを押し込み、外に展開。CTB梶村が持ち込んだラックから、素早く展開し、FB岡田が中央に回りこんでトライ。その後のキックも決まって10-12と試合をひっくり返しました。そして、迎えたロスタイム。伊丹RS陣G前のスクラムからつくしYR LO山崎がサイドアタック。そのボールを、SH上萬(友)がブラインドサイドに走りこんできたSO鶴田主将にパス。そして鶴田は、2人のディフェンスを引き付け、WTB村上にボールをパスし、村上がインゴールに走りこみ劇的な逆転トライを挙げました。SO鶴田のゴールが決まったところでノーサイドの笛がサニアパークに鳴り響きました。歓喜に沸くつくしYRと、グラウンドに崩れ落ちた伊丹RSの姿は対照的でしたが、選手たちは固い握手で健闘を称えあいました。
優勝を飾ったつくしヤングラガーズには(財)日本ラグビーフットボール協会 普及・競技力向上委員会委員長 上野裕一より賞状が贈られました。素晴らしい体格を活かし激しく戦い惜しくも敗れた伊丹ラグビースクールには、同じく準優勝の賞状が贈られました。
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つくしヤングラガーズ(優勝:スクールの部) |
全国大会に相応しい好ゲームが繰り広げられた2日間。中学生の部:秋田市立秋田北中学校、ラグビースクールの部:つくしヤングラガーズの優勝で幕を閉じました。この大会を通じ、多くの選手たちが素晴らしい経験を積んでくれたことでしょう。彼らが、日本のラグビー界の次代を担う存在になることを願っています。
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中学生指導者講習会 |
また、本大会開催中は、各地域の中学生委員会委員、大会参加チームの指導者を対象とした指導者講習会も開催されました。中竹竜二コーチングディレクター、松尾勝博・古川泰士リソースコーチを中心に、指導者のフィロソフィーやディシプリン、中学生を指導する指導者が何をすべきか?ということを中心に現状の中学ラグビーの課題や問題点を抽出するグループワーク等を行いました。
大会1日目には、本大会開催県である長野県に、「ラグビーレガシー」を残すべく、長野県中学生ラグビー選手約40人を対象に、リソースコーチによる「ラグビークリニック」を開催しました。
最後に、今大会開催に当たりご尽力いただきましたすべての関係者の方々に、この場を借りて御礼申し上げます。