本来なら、正月明けの対戦となるべき屈指の好カードが早くも3回戦で当たる組合せとなった。秋のシーズン、東海大はリーグ戦2位、早稲田大は対抗戦2位(4位扱い)と、それぞれ不本意な結果に終わっており、双方とも大学選手権ではいい結果を出したいところだが、負ければシーズン終了となる。

キックオフボールをキャッチした早稲田大がアタックしようとすると、いきなり、東海大SO眞野泰地とCTB鹿野貫太が鋭いタックルで止める。ボールをターンオーバーした東海大はNo.8アタアタ・モエアキオラが突進、CTB鹿尾-FB野口竜司へとつないでトライ。 野口がゴールも決め、東海大が早くも7-0とリードしていい流れとした。早稲田大もSH齋藤直人とSO岸岡智樹がキックを織り交ぜゲームをコントロールして敵陣に入るが、なかなかチャンスにはつながらない。18分、ようやく敵陣ラインアウトからバックスに展開するとWTB中野厳が抜け、フォローしてきたLO加藤広人につなぐと、そのまま加藤がインゴールに走り込んだ(7-5)。しかし、その直後に東海大もラインアウトのボールをもらったNo.8モエアキオラが早稲田大バックスのタックルをはね飛ばしラインブレイク。CTB鹿尾-FL深見瑠希とつなぎトライを返す(14-5)。
この日の東海大は早稲田大との激しいブレイクダウンのせいか、いつもより反則が増え、早稲田大は24分、27分にもらったPGチャンスをSH齋藤が冷静に決め14-11と3点差に縮めると、勝負の行方はまだまだ分からなくなった。
37分、早稲田大がSO岸岡の好走で敵陣に入ったが、早稲田大フォワードがノットリリースザボールの反則をとられる。すると東海大はその自陣でのPKから右のバックスラインに展開し、CTB池田悠希がラインブレイク。池田からオフロードでのバックフリップパスを受けたFB野口がWTBモリキ・リードへとつなぎ、トライ。21-11と点差を広げてハーフタイムとなった。
東海大は後半からFL深見を20番テビタ・タタフに入替え、また、WTBリードに替わり21番橋本法史をSHに投入、SH山菅一史をWTBに下げて、外国人選手の起用を変更するとともにCTB池田と鹿尾が自在に入替わるバックスラインにしてきた。
早稲田大の決定力の一つは大型CTB中野将伍の突進だ。日本代表キャップを持つ東海大CTB鹿尾、FB野口とのマッチアップも注目だ。後半6分、早稲田大はラインアウトから出したボールをその中野(将)に渡すと、中野(将)は東海大フォワードがディフェンスラインにならぶミスマッチのところを突き破り、最後はFB野口も中野(将)を止められず、そのままインゴールに飛び込んだ。これで早稲田大が21-18と、再び3点差に詰め寄ったが、その後、得点を重ねたのは東海大だった。早稲田大の得点の直後、東海大が敵陣ゴール前に攻め込むと、No.8モエアキオラがラックの上から長い腕でボールをインゴールにグラウンディング、ノーホイッスルトライで28-18とすると、16分にも後半FLに入ったタタフが早稲田大ディフェンスを3人引きずりながら中央を突破、チーム5つ目のトライを取り(35-18)、勝負を決めた。東海大はその後もSO眞野、WTB齋藤浩太がトライを追加、47-18として大学選手権準々決勝進出を決めた。早稲田大は山下大悟監督が課題としていた、「アタック、ディフェンスでの精度を上げる」ことができず、一方、東海大は起用された外国人選手が試合の要所で活躍し、勝負を分けることになった。
東海大は12月23日の準々決勝を、大阪キンチョウスタジアムで関西大学Aリーグ1位の天理大と対戦する。(正野雄一郎)