早稲田大学 18-17 同志社大学【セカンドステージ 2014年12月21日(日) /大阪・近鉄花園ラグビー場】 2014年-15年シーズンの大学選手権大会、第1戦を終えてプールD2位の早稲田大学と、3位の同志社大学との1戦、大学選手権大会の帰趨に無論関心は向かうが、それ以上に滅多に見られない東西の伝統校同士の対決にファンは固唾を飲む。 試合は、早稲田の風上からのキックオフで始まるが、同志社、早稲田のキックオフのボールを展開しようとしていきなりノックオン、この後、自陣のゴールラインを背負った戦いを強いられる。これに対して早稲田は、テンポよくボールを進め、5分、10番1年生の司令塔横山陽介がDFの裏にグラバーキック、自らキャッチし同志社陣深く入ってラックを形成し、そこから9番岡田一平、4番キャプテン大峯功三と繋ぎ中央にトライ(7-0)と先制する。この後も早稲田の鮮やかなライン攻撃に、同志社防戦一方となるが、16分早稲田のペナルティーで早稲田陣に攻込み、19分ゴール前30m左中間の相手ボールスクラムで9番2年生の大越元気がスティール、サイドを衝いて、真っ直ぐに駆け抜けトライ、7-7の同点とする。この直後24分に早稲田、相手のノット・ロール・アウエイの反則でハーフウェイ付近中央から10番横山がPGを見事に決め10-7とする。この後は両チーム互いに譲らず、そのまま前半終了となる。 後半に入ると風上に立った同志社が自らのペースを取り戻し、押し気味に試合を進める。そして、10分同志社、早稲田のペナルティーから9番大越が速攻、大きくゲインし、ゴール前20m中央でラックを形成して右展開、大越から12番木村洋紀に繋ぐと、木村はこれを大外の14番エース松井千士に飛ばしパス、松井そのまま右隅に飛込み、10-12と逆転、この試合初めてリードを奪う。しかし、今度は早稲田、同志社が嵩にかかって攻め立てようとするところ、20分、相手スクラムサイドに素早く仕掛けてターンオーバー、14番荻野岳志に繋いで荻野そのまま右タッチ際を50m以上走り切りトライ、15-12とすると、さらに、30分には相手のノットロールアウェイの反則から10番横山PGを決め18-12とし1T/1G近い差に突き放す。しかし、この日の同志社はここであきらめるようなことをしない。果たして38分に相手ペナルティーからゴール前5mのラインアウトを得て、モールドライブ、7番キャプテン田淵慎理がイン・ゴールで押さえ、18-17と1点差まで迫る。ここで決まれば大逆転のコンバージョンキックを、右中間から11番宮島裕之が慎重に狙うが、インコンプリート、18-17の一点差のまま熱戦に終止符が打たれた。試合後の会見で同志社大キャプテンの田淵は、「相手の反則に対しPGを狙うこともできたのではないか?」との質問に、「最初からトライを取りに行くつもりだったので悔いはない」と答えた。では、何が同志社大を勝利へと導かなかったのか、山神監督は、早稲田のリサイクルする高い意識と二人目のラックへの絡みをわずかな力の差として挙げた。課題は見えている、これからの同志社大学の精進、活躍に期待したい。 (記事:蜷川善夫、高橋茂治、村島博 広報担当:村島博) (c) JRFU 2014, photo by H.Nagaoka 早稲田大学の後藤監督と大峯キャプテン 早稲田大学 ○後藤禎和監督 「先週の反省も踏まえ、このチームは決して能力的に高い選手が揃っているわけではないということをもう一度全員で自覚し、向かっていく気持ちを前面に出して、特に試合の入りの部分で流れを掴んでいこうということで臨みました。今日の入りは悪くはなかったが、セットプレーが不安定でした。また、相変わらず不用意なペナルティーが多いです。そのセットプレーのミスでトライを獲られてしまいましたが、もう少しシンプルに敵陣に行って戦うというゲームプランが、何故か遂行できないというのが大きな課題です。バタバタして、後半に逆転されてFWにやっと火がついて激しいプレーができたのが不幸中の幸いでした」 ──苦戦の原因は? 「マイボールスクラムで少し煽られたりしたこともありましたが、もっとシンプルにラグビーをやっていればと思います。相手に合わせてしまって、自分たちでしんどい局面に持ち込んでしまっています。今年のチームのいつものパターンだが、まだまだ未熟です」 ○大峯功三キャプテン 「後半のペナルティーの多さがこのような展開を生みました。キャプテンとして規律をしっかり言わないと、次の試合は絶対に負けると思うので、もう一度このチームの精度を高めるべく全員で話し合い、いい1週間にしたいと思います」 ──ペナルティーが多かった原因は? 「同志社のプレッシャーはもちろんありましたが、キャプテンとしてレフリーともう少しコミュニケーションできていたら、ここまで多くはならなかったと反省をしています」 (c) JRFU 2014, photo by H.Nagaoka 同志社大学の山神監督と田淵キャプテン 同志社大学 ○山神孝志監督 「関東のチームに勝つことを一つの目標にしてきたので、あともう少しでしたが、結果的に勝ち切れなかったのは非常に残念というのが率直な感想です。だが、今までやってきたことは随所に出ていたのかなと思います。ラインアウトも苦戦をしたが、後半はほぼ取れていたし、スクラムも才田選手がかなり強行的に出場してくれて、その頑張りで優位に立てたというのが大きかったと思います。学生たちは80分間死力を尽くしてくれました。早稲田は、一瞬の隙をついて獲ったトライやリアクションの速さなど、ここ一番の集中力にはまだ差がありました。負けて反省をするのは辛いが、力は上がってきていると感じています。また、4年生は最後のゲームになるので、しっかり準備して最終戦に臨みたいと思います」 ──敵陣からもキックを使わないゲームプランに見えたが? 「キックを使うなというゲームプランではありませんでした。テリトリーは取っていこうと思っていましたが、藤田選手に取らせたくないということで、蹴るときは大きくタッチを切るという指示はしていました」 ○田淵慎理キャプテン 「結果的には負けてしまいましたが、1年間やってきたことを随所に出せました。ここは収穫と感じています。早稲田に対して自分たちの強みを出せたということ、これは後輩たちにはいい経験になったと思います。最終戦に向けてアタック・デイフェンスの精度をもう一度上げて、勝って終われるよう、あと1週間練習していきたいです」 ──ゲームプランでの悔いはないか?(PGでの得点機会もあったと思うが) 「悔いはありません。本日は4トライを獲らないと勝ってもファイナルステージへの道はないので、ゲームプランとしてトライを狙いにいくというのを決めて臨みました」 ──対戦しての早稲田の感想は? 「2人目が凄く早かったです。ブレイクダウンで一度オーバーしても、もう一度足をかいてプレッシャーをかけてくる『しつこさ』という部分で、関西のチームとは違いました」