ヤマハ発動機がフィジカルで圧倒して東芝を退ける “らしさ”取り戻したサントリーもパナソニック撃破 22日、大阪・近鉄花園ラグビー場で第52回日本ラグビーフットボール選手権大会準決勝2試合が行われ、ヤマハ発動機ジュビロが東芝ブレイブルーパスに21-9、サントリーサンゴリアスがパナソニック ワイルドナイツに31-25でそれぞれ勝利し、決勝戦に駒を進めた。 text by Kenji Demura 第1試合では、ジャパンラグビートップリーグ プレーオフトーナメント LIXIL CUP 2015 ファイナル敗退のヤマハ発動機と、同セミファイナル敗退後、日本選手権1回戦で東海大学、同2回戦で帝京大学を下し、準決勝に勝ち上がってきた東芝が対戦。 「東芝にはフィジカルで負けていては勝てない」という清宮克幸監督の言葉どおり、ブレイクダウンの攻防で終始優勢だったヤマハ発動機が前半32分のFLモセ・トゥイアリイ、後半13分のSO大田尾竜彦のトライなどで21得点を挙げ、東芝にはトライを許さない好守も見せて快勝。 トップリーグに続いて、2014-2015シーズンの頂点を争う戦いの場に駒を進めた。 一方、今季のトップリーグでヤマハ発動機に2戦して2敗だった東芝は「マインドセットもいい状態で、自信を持って臨んだ」(SO森田佳寿主将)試合だったが、スクラムやラインアウトでは上回ったシーンもあったものの、東芝ラグビーの根幹を支える「密集周辺のファイト」(同主将)で後手に回っていては勝ち目はなかった。 「接点と気持ちで勝った」(FL三村主将)というヤマハ発動機は前半32分のFLトゥイアリイのトライなどで21点を挙げて東芝に快勝 photo by Kenji Demura (RJP) ヤマハ発動機FL三村主将(中央)などの激しいタックルで行く手を阻まれる東芝SO森田主将。東芝はコンタクトエリアで前に出られなかった photo by Kenji Demura (RJP) 続く第2試合では、勝ち点1差でLIXIL CUP 2015進出を逃した後、ワイルドカードトーナメント2試合、日本選手権2試合と厳しい試合を続けながら「サントリーらしいラグビーができるようになった」(大久保直弥監督)という2年前の覇者の前に出る力が、トップリーグで2連覇を果たした前年覇者パナソニックのディフェンス力を上回った。 「本当にタフな試合。苦しい時間帯にキャプテンを中心に自分たちを見失わないで我慢できたのが勝因」(同監督) 前半11分にSOトゥシ・ピシのPGで先制したサントリーだったが、同20分にトップリーグセカンドステージ第1節以来2度目の先発だったパナソニックWTB酒井教全に走られて逆転を許すなど、いったんは嫌な流れに。 それでも、「チーム全員が『パナソニックさんに勝ちたい』とまとまった。それが試合に出た」(LO真壁伸弥主将)という気持ちが前面に出たプレーで前に出続けて、前半33分にSOピシ、後半30分に途中出場のPR垣永真之介、同34分に同じく途中出場のWTB塚本健太と3トライを重ねて、粘るパナソニックを振り切った。 「コンタクトもそうだし、すべての面でサントリーが上だった。僕らのラグビーをさせてもらえなかった」(NO8ホラニ 龍コリニアシ ゲームキャプテン)とうパナソニックはHO堀江翔太主将、SH田中史朗、WTB山田章仁を欠き、トップリーグを制した際に見られた大胆さが影を潜めてしまったのも事実だった。 ヤマハ発動機対サントリーの顔合わせとなった第52回日本ラグビーフットボール選手権大会決勝戦は28日、東京・秩父宮ラグビー場で行われる予定となっている。 前半33分にパナソニックWTB北川智のタックルを振り切りトライを決めるサントリーSOピシ。SHデュプレアと共にゲームコントロール力が際立っていた photo by Kenji Demura (RJP) サントリーFL佐々木のタックルを受けるパナソニックNO8ホラニ龍コリニアシ。「コンタクトでもサントリーが上だった」と完敗を認めていた photo by Kenji Demura (RJP)