2004年度 IRBルーリングについて

大北周二(日本協会ルール委員長)

現在迄に発表されている2004年度IRBルーリングにつきまして、内容別に、(1)第14条「地上にあるボール」 (2)第3条「プレーヤーの人数」 (3)第19条「タッチ及びラインアウト」、の3項目に整理して,お知らせ致します。尚、(3)に関連して、既に発表致しました、2003年度IRBルーリング14も再掲致します。

また、機関誌Vol. 53-2 (No. 309)にて発表致しました、第15条「タックル」に関連した、日本ラグビーフットボール協会からの明確化の問い合わせにつきましては、IRBのホームページには、未掲載ですが、既に、2004年2月20日付けで、【Ruling 3:2004 】として、IRBより回答を得ております。内容としては、2003年度のウエールズ協会に対する、【Ruling 13:2003 】と変わりなく、その再確認として、『定義に従って、立っているタックラーは存在せず、立っているプレーヤーは、最初からタックルに関わったプレーヤーであっても、「第15条7その他のプレーヤー」としての、プレー上の制約を受ける』というものです。問答の英文も、ご参照に後記致します。尚、問い合わせ英文につきましては、ルール委員会の宮原英臣、田中輝夫委員が担当致しました。

(1)第14条「地上にあるボール」
【ルーリング1 ウエールズ協会からの質問】
質問:一般のプレーでタックルが原因ではなく、プレーヤーが地上に横たわっているとき、ボールキャリヤーにタックルしようとしてもよいか?
ルーリング: してはならない。
第14条「定義」にある通り、「競技は立っているプレーヤーによってプレーされるものである。」
(The game is to be played by players on their feet.)

(2)第3条「プレーヤーの人数」
【ルーリング1,2 質問(1,2)はウエールズ協会から、(3)はイタリア協会から】
質問(1):フロントローの一人が退場 ⇒ 次のスクラムでは、第3条14に従い、適切な訓練を受けているフロントローが交替で入り、出場中のフランカー(Aとする)が退出 ⇒ その後、もう一方のフランカーが負傷⇒ この負傷フランカーに対し、Aは負傷交替で出場できるか?
ルーリング: できる。

質問(2): フロントローの一人(Aとする)が出血 ⇒ 一時的交替をしたプレーヤー(Bとする)が不正なプレーで退場 ⇒ 適切な訓練を受けているフロントローが交替で入り、出場中のチームメイトが、第3条14に従って、退出 ⇒ その後、もう一方のフロントロー(Cとする)が負傷。⇒ このCに対し、A は交替で出場できるか?
ルーリング:第3条10により、「一時的に交替されたプレーヤーが競技区域から出て経過時間15分以内にフィールドオブプレーに戻らない場合、一時的交替をしたプレーヤーは正式な交替となり、元の一時的に交替されたプレーヤーはフィールドオブプレーに戻ってはならない。」
しかし、Bの退場の発生が、Aの手当てに認められた15分以内であり、まだ15分が経過する以前であれば、Aは、Bの退場後の次のスクラムで、フィールドオブプレーに戻ってよい。

質問(3): フロントローの交替プレーヤーとは、(a)試合開始時に控えにいるプレーヤーからのみ出さねばならないのか、または、(b)試合開始時に出場しているプレーヤーからのみ出してもよいのか?
もし、交替プレーヤーとして、控えにも、試合開始時の出場プレーヤーにも備えているならば、必要に応じていずれから交替を出してもよいのか?
ルーリング:第3条では、フロントローとして適切に訓練され、かつ経験のあるプレーヤーの指名人数を挙げ、また、5(e)で、「試合開始時のフロントローに代わってプレーするプレーヤーは、試合開始時からのプレーヤーであっても、指名された交替プレーヤーであってもよい。」
としている。従って、試合開始当初の15名からでも、控えからでもよい。

(3)第19条「タッチ及びラインアウト」
1 投入場所 地域獲得が得られない場合

【ルーリング2 イタリア協会からの質問】
質問:相手のキックしたボールを、自陣22メートル区域外で、捕球しようとしたが、後逸 ⇒ 同じプレーヤーが、自陣22メートル区域内でピックアップし、直接タッチにキックで出した。再開場所は?
ルーリング:次にボールを投入する地点は、キックされた地点の対向点か、ボールがタッチになった地点のうち、キッカー側のゴールラインに近い地点。このプレーヤーは、自陣22メートル区域内にボールを持ち込んだとみなされる。

【ルーリング14: 2003 再掲】
第19条「タッチおよびラインアウト」
質問:自陣22メートルラインの内側(22メートル区域内)に、片足または両足のあるプレーヤーが、22メートルライン外のフィールドオブプレーにあるボールを拾い、直接タッチにキックした。次のラインアウトはどこか?
ルーリング:
(1)ボールが止まっている場合、プレーヤーは22メートル区域内に持ち込んだので、第19条1(b)を適用する。
地域獲得は得られず、次にボールを投入する地点は、キックされた地点の対向点か、ボールがタッチになった地点のうち、キッカー側のゴールラインに近い地点。
(2)ボールが動いていた場合、プレーヤーは22メートル区域内に持ち込んではいないので、第19条1(c)を適用する。
地域獲得が得られる。次にボールを投入する地点は、ボールがタッチになった地点。

【日本協会からの質問要旨とルーリング3:2004】
第15条「タックル」
 

質問: Aチームの複数プレーヤーが、Bチームのボールキャリヤーを捕らえ、Bチームのゴールライン方向へドライブしている ⇒ ボールキャリヤーが地面に倒れ、Aチームのプレーヤーの内一人は、相手を捕らえたまま倒れたが、もう一方(Sとする)は立ったままで、ボールと相手の腕を捕らえている ⇒ 定義からは、タックルが成立し、ボールキャリヤーは「タックルされたプレーヤー」であり、Aチームの倒れたプレーヤーは「タックラー」である。この状況下で、
(1) Sは、ボールの後方、かつタックルされたプレーヤーまたはタックラーのどちらかで自陣ゴールラインに近い方のプレーヤーの真後ろからプレーするために、後退せねばならないないのか?
(2) Sは、上記の地点に後退する際、タックルされたプレーヤーの手中にあるボールを離さねばならないか?
(3) タックルされたプレーヤーは、直ちにボールを離さねばならないか?
もし、(1,2)の答がYESならば、ボールの争奪に関しては、地面に倒れる方が有利となる。Sは、タックラーの定義に相当はしないものの、タックル発生の当初から参加しているプレーヤーであり、「他のプレーヤー」と定めるのは不適切である。IRBラグビー憲章にある、ボール争奪の公平性という精神を成文化するには、「到着するプレーヤー(arriving player)」という概念と定義を導入し、立ってプレーしようとするプレーヤーに対する、こうした変則的な扱いを回避すべきである。

ルーリング:(1) Yes (2) Yes (3) Yes
2003年ルーリング13の考え方を再確認する。
定義では、タックルされたプレーヤーを捕らえた相手プレーヤーのうち地面に倒れたプレーヤーをタックラーとする。従って、立っているプレーヤーは競技規則で定義されているタックラーとはならない。
上のような状況で立っているプレーヤーは定義上タックラーではない。地面に倒れていないのでタックルを構成しているメンバーではない。従って、このプレーヤーは、、第15条7「その他のプレーヤー」となり、第15条7(c)「ボールの後方、かつタックルされたプレーヤーまたはタックラーのどちらかで自陣ゴールラインに近い方のプレーヤーの真後ろから、プレーしなければならない。」が適用される。

The JRFU has requested a ruling with regard Law 15
Tackle

The players of Team A hold on to the ball carrier of Team B. The players from
Team A drive the ball carrier towards the Team B's goal line (i.e. Team A
players are going forward). After the ball carrier goes to the ground, one of the
players of Team A holding on to the ball carrier also goes to the ground whilst
the other player of Team A is still on his feet holding on to the ball and the
opposition's arm. By definition, a tackle occurs with the ball carrier being the
tackled player and the player of Team A on the ground being the tackler.
In this situation,
(1) Should the Team A's player still on his feet retire to the position behind the
ball to approach from directly behind the tackled player or the tackler closest to
his goal-line?
(2) Should that standing player in retiring to the position as aforementioned
release the ball in the tackled player's hands?
(3) Does the tackled player have to release the ball immediately?
If the answer to the 1) and 2) are yes, it may seem as though as far as the
contest for the ball is concerned, it would be advantageous to go to the ground.
Our view is that the player on his feet in the above case should be allowed to
continue to play as he is involved in the tackle from the beginning of the tackle
without being defined as a tackler. It is not appropriate to define him as the
other player.
In order to codify the spirit of the fair contestability of he ball in Playing
Charter, the concept and definition of an "arriving player" should be introduced
to avoid such anomalous treatment of a player endeavoring to stay on his feet.
The Designated Members have ruled the following in answer to the question
raised:
Ruling
The answers to the abovementioned questions are:
1. Yes
2. Yes
3. Yes
To recon firm the position stated in Ruling 13:2003:
By definition, any opponents of the tackled player who go to ground are known
as tacklers. Therefore a player on his feet is not a tackler as defined by Law.
A player on his feet in the situation described is not a tackler as defined by Law.
That player is not part of the tackle, as he has not gone to ground. He can only
therefore be described as an 'Other Player' in Law 15.7 Other Players.
Specifically Law 15.7(c) would apply, where that player can only play the ball
if he approaches from behind the ball and from directly behind the tackled
player or the tackler closest to those players' goal-line.

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