12月9日(金)、2011ラグビーワールドカップ日本招致委員会が開催され、最終報告が行われました。委員会終了後に行われた記者会見の内容をお伝えいたします。

◎森 喜朗 (財)日本ラグビーフットボール協会会長/2011ラグビーワールドカップ日本招致委員会会長
「最初に本活動をサポートしていただいた皆様にお礼申し上げます。先ほどの委員会で経過報告をしてご了承いただきました。
まず、公表はされていませんが、個々に調査・聞き取りをした結果、第1回目の投票ではニュージーランドが8票、日本が7票、南アフリカ4票のようであります。従って、南アフリカを外して決選投票になりました。
2回目の結果も推測ではありますが、ニュージーランドが12票、日本が9票でNZが勝利を得たということであります。
約2年間かけてこの招致活動を行ってきました。ただ日本でやりたいということでなく、IRB(国際ラグビーボード)の掲げる『ラグビーのグローバル化』を、日本で開催することにより推進できるという主張を展開してまいりました。これまでのように伝統国のみで開催するのでなく、他の地域で開催することが『ラグビーを開くこと』になるという主張であります。
ヨーロッパのマスコミは日本で開催が正しいという社説や見出しを掲げるところ、そして日本語で『日本に一票を』という新聞さえありました。他にもニュージーランドに開催国が決定した後には『ラグビーよ、恥を知れ』などという新聞もあり、大変協力的で感謝申し上げたいと思います。また、落選後の会場の雰囲気は同情的でありました。皆、肩を叩いて『次の2015年に向けてがんばってください』と言ってくれました。
開催国決定の翌日、我々はIRBに対して3点を抗議してまいりました。まず、第一に、前回の2007ラグビーワールドカップ開催国決定時のような挙手投票が民主的であり、今回のような無記名投票という方法はあまりにも閉鎖的ではないかということ。
第二に、政府保証が必要かという問題であります。日本が税金でスポーツなど認められるわけがありません。企業がスポンサーとなって開催する形をとるのはまずいのかという問題。
そして第三に、投票の直前に投票権を持つ国で、NZ代表の試合を行うというのはフェアではないのでは、ということであります。しかるべき答えをいただきたいと言って辞してまいりました。
今日の委員会では2015年開催に挑戦するという正式な結論は出ませんでしたが、もし挑戦するなら様々なことをクリアしていかなければなりません。そのうちのひとつにはIRBの改革も含まれています。
2011年のNZ大会の成功をお祈りするとともに、サポートしていただいた皆様に重ねて御礼申し上げたいと思います。今後ともラグビーへのご支援をお願いいたします」

◎真下 昇 (財)日本ラグビーフットボール協会副会長・専務理事/2011ラグビーワールドカップ日本招致実行委員会委員長
「本日、委員会で本活動の最終報告をいたしました。招致委員会はクローズとなります。委員会では、この活動で得られた財産を積極的に継承すべきだという意見が多く、そのような方向性で行きたいと考えています。
今後は、アジア協会での活動、および日本が積極的にリーダーシップ発揮していかねばなりません。12月17日にパキスタンのロホールでのアジア理事会で招致結果報告をするとともに、アジア・ラグビー・インスティテュートの承認を得たいと考えております。また今回の理事会ではアジア協会からのIRB理事を決定する予定です。日本はすでに議席を持っていますので、他ユニオンの方をIRB理事に推薦したいと模索しております。
IRBからの指摘は、日本はあまりにもアマチュアだということです。組織もプロ化し、人も入れて強化すべきで、財源の許す限り、責任を持って仕事ができる人を育成していきたいと考えております。
また、日本もいつまでも受身でなく、ラグビー小国の代表として積極的な発言をしていかねばならないと思います。国際化は当然のことで、資金面で許せる限り太い活発な組織をつくり、いつまでもファーイーストの国でなく、IRBに『近い国』をつくっていく必要があります。
2015年のワールドカップの招致へ立候補するかという問題ですが、日本協会理事会、および本委員会でも『積極的に』という方向性が出ました。正式な決定までには様々な検討が必要ですが、手を挙げることよって日本のラグビーの活性化が図られますし、緊張感を持った活動になると思います。組織作りと共にスタンスを身近にとらえ、将来の若人に財産を残していきたいと思います。
このような動きを可能にするためにも、日本協会の国際部(仮称)の設立を考えています。将来のワールドカップ招致の可能性を考えても、国際的なネットワークを扱える人材やスタッフを強化する必要を感じています。
皆様には引き続きラグビー活動のサポートをお願いすると共に、見守り、ご声援いただけますよう、お願い申し上げます」