5.9 マッチ&会見リポート(ジャパンXV 26-35 Classic All Blacks)

大歓声の中、CAB(Classic All Blacks)が入場。通常のテストマッチとは、まったく違う雰囲気。居並ぶビッグネームに場内の期待は大いに膨らむ。両国国歌斉唱の後、グラウンド中央でCABがHAKAを披露。ゲーム前から異様な熱気をはらんでいる。

JAPANが風下の状況で、CABキックオフ。ゲーム開始直後から、積極的にアタックを繰り返すCABに対し、強烈なタックルで耐えるJAPAN。ダブルタックルでしっかり5次6次と続くCABの猛攻を凌ぐ。が、2分スクラムからSHマーシャルがサイドを抜け、エアポケットに入った如く、あっさりT(G成功 0-7)。
落胆することなく、体を張ったプレーを繰り返すJAPAN。キャプテン大野がタックルに行くやいなや、すぐ立ち上がり次のプレーに絡みに行く。タックルで腹部にダメージを受けながらも立ち上がり、再びタックルに入るCTB大西。カーワン(JK)が用意した最高の舞台で、必死にプレーする姿は観る者を惹きつける。裏に出るショートパントを有効に、前進を図るJAPAN。CABゴール前ラックから押し込み、HO山本がT(5-7)G成功(7-7)。
スピードに乗る前にタックルで潰しにかかるJAPAN。CABもモールに確実性がなく、一進一退。15分CTB大西が自陣ゴール前からショートパント。WTB14遠藤がキャッチ、CABのバッキングアップを振り切り右中間にT(G不成功12-7)。攻めあぐむCAB、18分PGを選択するもマーテンズが外し、波に乗れない。

ジャパンXV 26-35 Classic All Blacks
その後も連続攻撃で崩しにかかるCABだが、JAPANの執拗なタックルにノックオンを繰り返す。22分、JAPANのパスミスの隙を突き、CAB NO.8クリブが足で引っ掛け、そのままT。G成功(12-14)。スペースを与えるとスピードに乗るCABをなかなか止められないJAPAN。執拗なタックルに苦しめられ、リズムに乗れないCAB。果敢にアタックするJAPANは、フィットネスでCABを上回る場面が多くなってきたものの、CABの老獪なプレーにチャンスを生かせない。逆に41分、CABの連続攻撃からJAPAN DFに穴があき、LOメイリングT(G成功12-21)。
ハーフタイムでは、大阪YMCAインターナショナルスクールの子供たちによる可愛い"HAKA"が披露され、本場と違った歓声が湧き上がる。

後半、JAPANはLOトンプソン、NO.8マキリを起点に攻撃、SO小野のキックパスも機能し、ゲーム運びに期待を抱かせる展開。一方のCABはボールを繋ぐも、なかなか前進できない。厳しさの足りないタックルが目立ちミスも多発。66分、CABがセットプレーから展開するも、スピードがない間隙を突かれ、JAPAN LOトンプソンがインターセプト。繋いだボールを、最後は途中出場のCTB今村がT(G成功19-21)。
DFでは足が止まり気味のCABだが、アタックでは一日の長が。74分内へ外へとアクロバティックにパスを繋ぎ、CTBマクラウドT(G成功19-28)。78分連続の縦突破からNO.8クリブT(G成功19-35)。
終了間際の83分に1T(LO大野24-35)を返しG成功したところでタイムアップ。26-35。時差、コンビネーション不足等、様々な悪コンディションの中でCABが貫禄を見せたといったところであったが、ゲーム運びやフィジカル面で大きな成長の跡を見せたJAPAN。JKの意図が浸透すれば、どんなJAPANが生まれるのだろう、そんな期待を抱かせるゲームであった。(廣島 治)

ジャパンXV 26-35 Classic All Blacks   ジャパンXV 26-35 Classic All Blacks   ジャパンXV 26-35 Classic All Blacks





MasterCard スペシャルマッチ JAPAN XV vs Classic All Blacks

ジャパンXV 26-35 Classic All Blacks(5月9日(日)19:30 at兵庫・神戸ユニバー記念陸上競技場)

◎Classic All Blacks
○A.マーテンズ キャプテン
(CABの都合上、A.マーテンズ主将から会見)
「双方とも身体を張った、とてもフィジカルなゲームだった。最後連続して2トライをとれたが、ゲーム内容は決して満足できる内容ではない。前半JAPANのSOアレジが負傷退場したことが、とても残念であり、心配でもある。素晴らしいプレーヤーであり、同じニュージーランダーでもあるだけに一日も早い回復を願う」

○J.ハート コーチ
「さすが、カーワン(JK)が率いるだけあって、JAPANは素晴らしいゲーム運びだった。ブレイクダウンでの激しい攻防、気迫のこもったタックル。CABには、2~3年激しいプレーをしていないプレーヤーも居ただけにとてもタフなゲームだったが、そのような状況下でも懸命にプレーしたCABのプレーヤーに敬意を表したい」

○フィッツパトリック団長
「ハート、マーテンズと同じ感想だが、JAPANの気迫とゲームの組み立ては素晴らしいものがある。前回の来日シリーズ(87年)では、発展途上な面が目立ったが、今回のチームは格段の進歩がある」

――今秋開催のワールドカップ(WC)における、JAPANの見通しについて。
○フィッツパトリック団長
「(ランキングが接近している)フィジーとカナダについては、今日のゲームを観ている限りでは、充分勝算があるのではないか。WCでは好ゲームが期待できる」

――ゲーム終盤で、絶妙なショートパントをみせたことについて。
○A.マーテンズ キャプテン
「やることがなかったのさ(笑)。激しいJAPANのタックルを浴びるFWに休息を与えることも大事だ。キックを使うということは、厳しいDFを同時に仕掛ける必要があるが、果たしてCABのDFも厳しかったはず」

――ゲーム序盤(18分)でPGを選択したのは。
○A.マーテンズ キャプテン
「一旦プレーをリセットしたかった。ポイントを獲ることで、FWにご褒美をあげたかったのさ。序盤の攻防で、接戦を予想したこともある。つまりJAPANに対する畏敬の念があったことも理由のひとつだ」

――前回(87年)と比較して、JAPANはどう変わっているか。
○J.ハート コーチ
「2点ある。1点目はゲームの組み立てが飛躍的に進歩していること。2点目は身体を張ったフィジカルなプレーができるようになったこと。当時は、ボールをやみくもに放り投げるといった印象があった。安定したゲーム運びができる素晴らしいFWと、スピード豊かなBKが噛み合えば、相当なチームになるだろう。そのチームの起点であったアレジが心配」

――JAPANで印象に残るプレーヤーは。
○J.ハート コーチ
「FWではLOトンプソンだ。機動力もありチームによくフィットしている。両WTBも印象的だ。前後に機敏に動くことができるし、スピードも豊かだ」


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◎JAPAN XV
○ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「今日のパフォーマンスに満足している。ワールドカップに向けていいスタートが切れた。第2戦に向けて、50・50パスとラインアウトの精度を上げることが課題である。DFも及第点であり、今はいいところを伸ばしていきたい。最初の10分で勝機が開けたと思ったが、CABの巧さに屈した。とはいえ学ぶところの多いゲームであり、CABにはとても感謝している」

○大野均ゲームキャプテン
「まず、このようなマッチメイクをしていただいたJKに感謝したい。非常にタフなゲームだった。セットでのまとまりやミスの多さが残った。DFは比較的良かったが、経験豊富なCABを凌駕するところまでいかなかった。勝てるチャンスをみすみす逃してしまった」

――勝てるチャンスを逃したのに、満足な表情を浮かべているのはJKらしくないが?
○ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「今日のゲームがワールドカップへ向けての出発点と位置づけているからだ。今後もタフなゲームの連続だろう。今の精度からまだ50%伸びしろがある。勝てるという自信ができたはずだ。さきほども申し上げたように、50・50パスとラインアウトは、まだ確度を上げられる」

――アレジの負傷はプレースキックが課題のJAPANにとって痛手では?
○ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「痛手ではあるが、怪我は隣り合わせである。足の骨が2本程度折れている様だ。明日手術予定である。とはいえ、途中出場の小野が良かった。一筋の光明だ」

――ラインアウトの精度が50%程度と悪かったがその原因は?
○大野均ゲームキャプテン
「リフターとスロアーのタイミングが合っていなかったことが一因。今日のゲームはスタンドを含め異様な雰囲気であり、プレーヤーも気分が高揚していたこともある」

――今日のゲームで手応えを掴んだか?
○大野均ゲームキャプテン
「アジアのチームでは経験できない大きなゲームだった。課題も多いが、ハードな練習を積み重ねることで、対応はできる。今日は、まずプレーヤー個々が自分のゾーンをしっかり守り、プレッシャーをかけ続けることを意識した。CABは立ってボールを繋いでいたので、ハーフタイムでは、ダブルタックルの徹底をJKに指示された」

○ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「50・50パス等従来チャレンジしてこなかったプレーについては、強いプレッシャーの中で、どこまで対応できるか、見極めて
いきたい。大事なのは、この練習を克服すれば伸びるんだという信念であり、可能性を追求することだ」

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