●2月13日(水)

こんにちは。
昨日、無事に帰国致しました。

6ネイションズの2戦目のイタリアvsイングランドでは、スカウティングの通りに、トライの起点がキックからによるものが多く、一般プレーでの判断が非常に難しい場面が多くありました。特に、後半30分過ぎから、急に試合のテンポと強度が増し、攻防が激しく入れ替わる展開になり、より一層難しさを増しました。

会場となったスタジオ・フレミニオは、IRBからの要請で大幅に観客席を増設し、立ち見の出る状況の中で、約4万人の観客が来場しました。観客とグラウンドの距離が非常に近いため、レフリーの笛が聞こえにくい場面が多くあるほどの大歓声でした。

レフリーとタッチジャッジ間では、コミュニケーションを取るトランシーバーを使用していますが、その機械が不調の時間がありました。コミュニケーションの難しい場面等についても、レフリー・タッチジャッジ間で上手く連携をし、何度となく荒れそうになる場面もマネジメントする事に成功しました。

今週からはマイクロソフトカップが開幕します。数日という限られた時間ですが、しっかりと準備して挑もうと思います。

また、最後に、あっという間に過ぎた2週間の遠征期間中に、メールやメディアを通じて暖かくサポートをして下さった多くの方々に心から感謝致します。今回得たものを充分に日本レフリー界へ還元できたらと思います。

平林泰三より

●2月10日(日)

こんにちは。
ローマから日記を送ることができるのは、最後となると思います(月曜日は、フライトの関係で、朝の4時くらいにホテルを出発予定になっています)。
昨日は、イタリア協会レフリーソサエティの方よりランチとディナーのオフィシャルファンクションで歓迎を受け、レフリーたちとそちらへ出かけました。また、午後には、マッチオフィシャルたちで約4時間にも渡り6ネイションズの映像をチェックしたり試合を鑑賞して様々なレフリングのディスカッションを行いました。試合前のディスカッションは我々にとっては非常に重要です。細かな部分での目線を合わせたり、ディスカッションによって一番スムーズにレフリングできる方法を統一したりという作業を延々と行いました。
また、今朝はレフリー・タッチジャッジミーティングを行い、試合に向けた細かな打ち合わせを1時間ほど行いました。特に、TMO(ビデオレフリー)のプロトコルと、TJからのファウルプレーリポートの手順については、かなり神経質になっています。細かな言葉の使い方や、判断基準の一貫性について事細かく打ち合わせを行いました。
試合への準備は充分完了しましたので、試合に向けてはしっかりと集中できるように努めていこうと思います。
平林泰三

●2月8日(金)

こんにちは。
ローマでの滞在ももう残すところあと2日となってしまいました。

こちらは時差があり、まだ金曜日ですが、コンディショニングで身体のケアをして自分自身の試合への準備は一通り完了しました。時間が足りないと感じるくらい精力的にレフリング活動しています。
近くに、ロマーナ・スポーツセンターという施設があり、そちらでフィットネスジムやプールを使わせて頂いています。約2時間のジムセッションを3回と、プールセッションを行い、コンディショニングマッサージを受けました。

IRBのレフリープロトコルでは、ホスト協会がレフリーの希望に沿って、フィットネスジムとコンディショニングマッサージを準備するようになっています。ほとんどの場合、まず海外に到着してする事は、このフィットネスジムの場所の確認と予約が日課になってきています。

また、今週末の試合は、イングランドvsイタリアですので、先週両チームがプレーしたDVDを手配してもらって、スカウティング(事前のプレー研究)を行いました。
イングランドは、新しい選手とベテランの選手が噛み合っていないことが見受けられました。イタリアのほうは、今年よりニック・マレット氏(南アフリカ人)がコーチとなり、格段にディフェンス力が上がってきています。両チーム共にキックが多く、タッチに蹴り出さない一般プレーに持ち込まれた時に、いろいろな難しい局面が発生しているので、今週の試合では、自分自身のポジショニング等に工夫をしなければならないと思っています。

先週のエジンバラでの試合同様に、レフリーはアイルランドのアライン・ローランド氏ですので、充分なサポートをできるように集中して挑みたいと思います。

試合の行われるスタジオ・フレミニオは、昨年もイタリアvsウェールズを担当した場所です。いろいろな記憶が甦ってきているので、少々いつもより緊張感があります。

平林泰三より

●2月6日(水)

私自身にとっても夢の舞台であったマレーフィールドにタッチジャッジとして立つことができました(2月3日、スコットランド vs フランス)。6万7千人と超満員であったマレーフィールドは、レフリーのマイクがまったく聞こえないくらいの大歓声でした。
試合の2日前に、当初レフリーを担当するはずだった、ポール・ホニス氏(NZ)が帰国をよぎなくされ、急遽試合前日に、アライン・ローランド氏(アイルランド)が召集されるという緊急事態が発生しました。ホニス氏とは、木曜の夜に、夕食を一緒にとり、色々なレフリングにまつわる話を聞いていただけに、本当に残念でなりませんでした。試合後に携帯電話で話した時にも、彼自身が非常に残念がっており、またどこかの試合で一緒にやろうと固く約束しました。
ローランド氏とタッチジャッジ・ビデオレフリーと試合前のブリーフィングを一時間近く行いました。ローランド氏も急な代役で、準備期間が非常に短く大変な思いをされたと思います。
試合では、ここ数年でコンタクトとゲームテンポの部分が飛躍的に向上しており、レフリー・タッチジャッジにとっても瞬時に判断する局面がとても多くなっています。

15年ほど前のラグビーではボール・インプレーが約20分弱であったのに対し、この数年のラグビーでは35分を超えてきており、戦術・戦略の複雑化も加味すると、レフリーのゲームにおけるフィジカル・メンタル強度は、単純に倍以上になってきています。
この試合においても、特に後半にターニングポイントが多くあり、非常に高いプレッシャーの中で、厳しい判断をする場面が何度もありました。今週は、先週の試合のレビューと修正をして充分に準備して挑みたいと思います。

2月2日(土)に開幕した「シックスネイションズ」に、タッチジャッジとして現地に赴いている平林泰三レフリーが、現地の様子をお伝えします。

皆さん初めましてレフリーの平林です。

現在、IRB6ネイションズラグビーのため、スコットランドに滞在しています。滞在して数日が経ちますが、まず始めにレフリーが遠征日記に登場する事はこれまでありませんでしたが、このような活動を告知出来る場を提供して頂いた事に大変感謝致します。

さて、こちらには1月28日の月曜日に到着しました。フライトのトラブル等があり予定よりもかなり遅く現地に到着しましたが、翌日より精力的に試合への準備に没頭しています。
スコットランド・エジンバラは、今週の天候は非常に悪く、毎日吹雪いています。こちらでは、雪の中でトレーニングセッションを強行したり、ジムでのトレーニング、ビデオでのチームスカウティング等の通常ルーティンで試合準備をしています。
また、1月30日には、ロンドンにて6ネイションズ・レフリー&コーチミーティングが開催され、そちらに参加して参りました。

議事の中では、

  • スタジアムについて
  • 規律・懲罰委員会について
  • レフリングについて
  • ビデオレフリーについて

の内容について確認されました。
基本的には、先に行われたラグビーワールドカップとまったく同じレフリングで運営されますが、今一度、プレーヤーやコーチの暴言・不用意なアピール・悪態について厳しくレフリングする事が確認されました。
また、スクラムについても、レフリーのエンゲージの声に従わない場合の許容範囲についても、厳しめに行くとの強いメッセージがコーチサイドへ伝えられました。レフリーのゲームマネジメントの部分で2度目や3度目などの寛容なレフリングは基本的にはないので、レフリーが試合中にコントロールをする以前に、コーチがコーチとしての役割を果たし、選手に事前に良くコーチングしておくようにとのIRBからの強いメッセージがチームサイドへと伝達されました。

6ネイションズ出場までもう少しですが、限られた時間の中で、出来る限りの準備をして挑もうと思います。

平林泰三より