7.10 マッチ&会見リポート(日本選抜 20-19 フランス大学選抜)

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日仏交流150周年
勇ましくも憂いを含んだ『ラ・マルセイエーズ』の旋律が、この時期としては爽やかとすら感じる日没直前の蒼い空に響き渡る。有望選手を揃えたフランス大学選抜と、先のIRBジュニアチャンピオンシップ・ウェールズ大会にU20日本代表として出場したLOリーチやPR三上ら学生、SO大田尾、FB高らトップリーガーから成る今回の日本選抜との対戦を楽しみに、平日の夕べにもかかわらず国立競技場へ集まったファンがキックオフを待っていた。

立ち上りはフランスが支配し、5分に日本陣10m右寄りのPKから速攻、2つのパスで左タッチライン際まで繋ぎ先制トライを奪った。しかし日本も10分にフランスBKのミスにつけ込んで得たPG機を、高が確実に決めて3点を返す。その後も風上を利してフランス陣でプレーし続けた日本は28分、高の好キックから得た敵陣深くの右ラインアウトでロングスローが決まり、中央付近でできたラックから大田尾は大きく左WTB徐まで繋いで見事なトライを演出した。その大田尾は38分、自陣から攻めようとしたフランスのパスをインターセプトしてトライ、鋭い読みで日本に流れを引き込んだ。

来年日本開催が決定しているジュニアチャンピオンシップのプロモーションビデオがスクリーンに映し出されたハーフタイムを挟み、リードされているフランスがあまりボールを動かさずにFW戦で圧力をかけるように修正してきたことから、試合はスローな展開となる。日本も充分に抵抗を示し簡単には崩されなかったが、PGで挽回したフランスは35分過ぎからペースアップ、ついに39分、ゴール前での連続支配から1点差に迫るトライを決めた。すでにタイムアップのホーンが鳴った後、途中出場してキックやランで鮮烈な印象を残したSOコルテスが、入れば逆転というコンヴァージョンを狙う。両チームベンチでは残りの選手達が互いに腕を回して寄り合い祈りを送る中、そのキックはゴールを外れ、日本の勝利が決まった。試合後両チームは、ジャージを交換したり、スタンドにマスコットボールを投げ入れたりと、しばらくピッチ上で試合の余韻に浸り、スタンドのファンもそれを見守っていた。(米田太郎)
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左より薫田監督、伊藤主将
左より薫田監督、伊藤主将


日本選抜 20-19 フランス大学選抜
(7月10日(木)19:00 at東京・国立競技場)

◎日本選抜
○薫田真広監督
「まず、このような試合を組めたことに対し、関係の皆様に感謝申し上げます。キャプテンの伊藤、バイスの高が、よくリーダーシップを取ってくれたのがこの結果につながったと感謝しています。最初のトライは順目、順目のプラン通りで、選手個々の理解力が高かったおかげです。フランス大学選抜については、我々と同じく、こうしたコンバインドですので、連携の所で、もう1試合、2試合やったら(こちらが)キツイ結果になると思います。今日は、後半、特に最後の20分はリズムがなく、反省点です。国際試合に勝つためのクロスゲームのゲームマネジメントは日本ラグビーの課題です」

○伊藤鐘史キャプテン
「このゲームのためにいろいろと準備をいただいた皆様に感謝申し上げます。ゲームプランはシンプルで、順目、順目でということと、FWはひたむきにシンプルに行こうということでした。最後は冷や冷やしましたが勝てて良かったです。早稲田戦の分析から、近場が強みと思っているようで、こだわっていたので、こちらもラックなりモールなりの近場でとにかく低く刺さることと、1本目のタックルのスピードを強調して臨みました」

──80分、もたなかったのは?
○伊藤キャプテン
「後半、疲れて、相手に圧力をかけられました。こういうゲーム展開でのエリアマネジメントができていないと思います」

──U20と比べて?
○薫田監督
「フランスのフル代表とU20はボールを動かす同じ戦い方でした。このチームはスローテンポでまったく違います。ただ、クイックでボールを入れたり、しっかり走ってプレッシャーをかけたりという部分は同じでした。個々のスキルはU20より、このチームが上でしょう。組織力はなかったが、キャプテンをはじめ、経験とセットプレーの力はまったく違っていましたね」

──後半、苦しかったのは?
○伊藤キャプテン
「自分達のピンチエリアでしたので、ここが勝負と言って、セットプレーを安定させようとしました」

──どのようなプランで?
○薫田監督
「早稲田戦のピック&ゴーは組織だって止められるだろうし、セットピースも頭打ちをしっかりすればやれると感じていました。裏付けはこの暑さです。相手のブレイクダウンはこぼれるだろうし、そのボールにプレッシャーをかければ効果的だと思っていたとおりでした。選手はやることが明確で、フランスも良かったが、20分以降はブレイクダウンで日本選抜が優っていたと思います」

──キャリアの不安はなかったのか?
○薫田監督
「リーチをはじめ、フロントに関してはU20でしっかり場数を踏んだ選手です。日本ラグビーとして3番を育てるという課題があり、今日の小野君は評価したいと思います。リーチはトップリーグでプレーできるくらいのしっかりした選手です」

──この試合の意義は?
○薫田監督
「ATQ、国内アカデミーの最終戦と位置付けました。各チームから選手を集めるのに四苦八苦し、最終的には3日間でチームをまとめねばならず苦しかったが、キャプテンがよくまとめてくれました。NZからアカデミーのトップコーチを招いてスキルトレーニングしました。日本は、今、ディフェンスで内に立っていますが、海外は外グリッドに立ってアウトサイドから追い込む『ヒンジ』というブリッツ・ディフェンスが今後の主流です。そのディフェンスシステムは分かっていてもノミネートできなかったので、それを知り得たことは重要です。海外は若年化しており、このままだと数年後には取り返しがつかなくなると思います。その意味で、今日の試合は大きかったと思います」

日本選抜 20-19 フランス大学選抜   日本選抜 20-19 フランス大学選抜   日本選抜 20-19 フランス大学選抜

左よりベルドラン・テリエ(コーチ)、ジャン・ルイ・デサック(コーチ)、フレデリック・メドゥヴェス(キャプテン)
左よりベルドラン・テリエ(コーチ)、ジャン・ルイ・デサック(コーチ)、フレデリック・メドゥヴェス(キャプテン)



◎フランス大学選抜
○ベルトラン・テリエ(コーチ)
「こんばんは。最初に日本選抜におめでとうと申し上げたい。前半の日本は速いテンポで、フィジカルも激しく、つらい試合でした。特に、きれいなトライもあって日本選抜は素晴らしかった。後半のフランス大学選抜も風を利用して何とかスコアを改善しようとしました」

○ジャン・ルイ・デサック(コーチ)
「こんばんは。前半ははっきり両チームの経験の差が出て、フランスの若さが出てしまいました。ハーフタイムにコーチから話をして、若干、修正できたと思います。後半は日本のディフェンスに対抗するため、前半に無理に外に回してディフェンスの餌食になっていたのを改善しました。今日は日本のしっかりしたディフェンス、特にラック周辺のブレイクダウンの攻防が良かったと思います。フランスチームとしては、最後まであきらめず戦ったのが評価できます。トライ後の最後のゴールが決まらなかったのは残念です」

○フレデリック・メドゥヴェス(キャプテン)
「まず、日本選抜チームにおめでとうと申し上げます。素晴らしい試合でした。自分のチームの皆にもありがとうと言いたいと思います。相手のディフェンスを釘付けにしようとしましたがうまくいきませんでした。ミスが多く、特に前半と後半は対照的でした。後半はFW周辺でボールをキープして、外へ展開しようとしました。早稲田との差は外国人選手がプレーにも多様性を出していたことだと思います。オプションが多かった」

──所属のオーシュ・クラブと日本選抜を比べて?
○メドゥヴェス キャプテン
「難しいですね。トップ14とプロのレベルは高いので、フィジカルの差は若干あります」

──早稲田と日本選抜の違いは?
○メドゥヴェス キャプテン
「スクラムは差はありません。ブレイクダウン、ラックでフィジカルと経験の差はあります。今日は外国人両センターの周辺がフィジカル的に強く、突破できなかったのが誤算でした」

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