日本選手権・決勝 マッチ&会見リポート(三洋電機 22-17 トヨタ自動車)

マッチリポート
  日本選手権
三洋電機ワイルドナイツ 22-17 トヨタ自動車ヴェルブリッツ
【決勝/2010年2月28日(日) at 東京・秩父宮ラグビー場】

三洋電機ワイルドナイツが、後半にトヨタ自動車ヴェルブリッツを逆転。日本選手権史上4チーム目(第34~36回を制覇した東芝以来)となる3連覇を果たし、09~10シーズンファイナルを飾った。

キックオフ1時間前、森善朗・日本ラグビー協会会長が、決勝戦に先立って行われた「サントリーカップ 第6回全国小学生タグラグビー選手権大会」カップトーナメント優勝の横浜市立汐入小「リトルベアーズ」にカップを渡している頃には、前日から降り続いた雨も止み、ちょうど陽が差して来たところだった。しかし、芝が枯れたピッチ中央付近などは水を含んだ状態で、プレーエリアがそこに入ると、ピチャピチャピチャという選手達が駆ける音がスタンドまで聞こえて来る。

そうしたコンディションの中で三洋は前半、何度かSH田中がPKから速攻でチャンスを作るもののミスで潰し、準決勝で東芝を下して勢いに乗るトヨタに2トライを先行されるという苦しい展開。前半終りにFWのラッシュで攻め入り、ショートサイドにオーバーラップを作り出すも、またもミスしてついに前半無得点。

ハーフタイムで締め直してしばらくは敵陣で戦ったが、1PGのみと大苦戦。しかし後半15分、シンビンでトヨタが14人となった辺りから徐々に流れが三洋に。そして後半22分、この日は前半から投入されていたインパクトプレーヤーHO堀江が、ゴール前ラックサイドへ鋭く走り込んで三洋最初のトライを上げた。さらにその3分後、一旦は三洋がこぼしたボールをトヨタPR熊谷に拾われたが、すぐにSOブラウンがボールを奪い返すタックル。右サイドへ素早く繋ぎ、エースWTB北川が逆転のトライを上げた。

スタンドから試合を観戦していた7人制日本代表監督・村田亙さんは「プロップの突進はターンオーバーされやすいんですよね」と話していたが、そこを付け狙ったかのようなブラウンのファインプレーにも見えた。FB田邉がゴールを決めたがまだ5点差があった34分、今度はゴール前ラインアウトモールを押し込み、FL若松がほぼ勝負を決定付ける3トライ目。その後38分にトヨタにも3トライ目を献上したが、辛くも逃げ切った。

一方、直近6年間で3回目となる決勝進出だったが敗れてしまったトヨタ。「No.8菊谷、SH麻田、SOアイイを中心とした縦のラインがしっかりして来たのが、最近好調の要因」とは村田さん。前半18分に自陣からアイイが仕掛け、次々にパスを繋いで最後ホップグッドが仕上げたトライなどは素晴らしいものだった。
2連続トライと活躍していたそのホップグッドのシンビンで14人となっていた時間帯、村田さんが「ここを凌げば、かなりトヨタ有利になる」と話していたが、ホップグッド復帰まであと数分というところで三洋にトライを与えてしまったのが痛かった。最後に好ブレイクからFBイェーツがトライを返したが、時すでに遅し。「トヨタらしく泥臭くやろうと、そして前半はそれがうまくいったけど、負けてしまった」と麻田主将は悔やんだが、来季は有望選手の加入が発表されており、第24回大会以来となる「日本一」へ確実に近付いている。(米田)

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会見リポート

  トヨタ自動車ヴェルブリッツの石井監督(右)と、麻田キャプテン

トヨタ自動車ヴェルブリッツの石井監督(右)と、麻田キャプテン

◎トヨタ自動車ヴェルブリッツ
○石井龍司監督
「まず、この場で戦えたことを非常に光栄に思います。まだ、トヨタは発展途上のチームで、完成度で三洋さんに及ばなかったと感じています。選手は良くトヨタらしいプレーをしてくれました。ここまで来て戦った選手を誇りに思います」

──三洋のボディブローが効いたのか?
「前半、狭いエリアを三洋さんが攻めてきたのは、彼らがやりたいことをできず、そこしか攻められなかったからだと感じていました。後半は、もっとパスを長く、広く攻めるとトヨタのディフェンスがついて行けなくなると助言されたのだと感じました。それがボディブローというならそうかもしれません」

──悔しいところは?
「負けたことだけですね」

○麻田一平キャプテン
「今日は、お互いブレイクダウンが激しくて、どちらが勝つか分からない展開でした。トヨタは良くやったと思います。とにかく、トヨタらしく行こうと言ってきて、途中までは非常に良い出来でした。しかし、三洋さんの上手さ、勝負強さに負けたと感じています。ここまで来られた事は誇りに思います。チームメイト、スタッフ、何よりファンの皆様の声援が最後まで力になり、感謝しています。三洋さんにはトップリーグファイナルで負けた悔しさを感じました」

──三洋のボディブローが効いたのか?
「ボディブロー、そうかもしれません。お互い、前半から激しく行っていたので、お互いに足に来ていたかもしれません」

──今年は三洋に三連敗したが?
「細かいところでの集中力が課題というか、獲れる所でのミスが重なりました。獲り切ることが勝利につながると感じました」

──ノットリリース・ザ・ボールの反則が多かったが?
「レベルの高い戦いで、ボールキャリアーへの速いサポートが必要でしたが、足が止まって、遅れたのが原因です。もっとボールを動かしたかったのですが、グラウンドコンディションもあって、できませんでした」

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  三洋電機ワイルドナイツの飯島監督(右)と、霜村キャプテン

三洋電機ワイルドナイツの飯島監督(右)と、霜村キャプテン

◎三洋電機ワイルドナイツ
○飯島均監督
「前半はトヨタさんのプレッシャーに速いボール回しができず、良くない出来でした。しかし、ハーフタイムには相馬リーダーと霜村が選手をまとめてくれて、私は何も言うことがありませんでした。後半は霜村のセービングが皆のハートに火をつけて、ボールを回し、追い、そして勝ったのは素晴らしかったと思います。ファンの皆様に応援していただいて感謝しています」

──前半、フッカーの入替が早かったが?
「うちのリザーブはインパクトや才能あるプレーヤーが揃っています。前半30分の入替というのは、想定した中で一番早いが、効果的な入替だったと思います。ちょっと流れが悪かったので、変えたかったということです」

──モールの相手のオブストラクションは?
「このところ、モールディフェンスがうまくいっていなかったので、押した瞬間に押し返すプレーで臨みました。ただ、意図的にオブストラクションを狙うのはリスクが高すぎるので、止めようと言ってきました。結果として相手のオブストラクションだったが、IRBの通達にもあるとおりで、正しいジャッジだったと思います」

──三連覇の気持ちは?
「初年度は48年間勝てなかったので、壁を破った嬉しさがありました。昨年は、個人的に(監督初年度で)ホッとした部分がありました。今年は、興奮するゲームでした。神戸製鋼さんが7連覇しましたが、3つ目というのは難しいです。チャレンジ精神を持って、気持ちが高揚する三連覇だったと思います」

○霜村誠一キャプテン
「まず、チームメイトを誇りに思うとともに、感謝しています。チームとして最後まで走り切れて、一人ひとりに力があると感じています。皆を尊敬しています。あそこから逆転して勝てたということは、僕らの力にもなるし、飯島さんがおっしゃったとおりです。僕個人としては、ただ、嬉しかったです」

──どうやって逆転まで持っていけたのか?
「トライを獲られた後も、皆が声を出してくれて、僕が言おうかなと思ったことを言ってくれましたから、僕は何もしていません」

──ハーフタイムは?
「前半は、みんな、あせっている部分があったのかな。良いパフォーマンスができなかったのは僕の責任です。ハーフタイムにFWは相馬さんが凄くまとめてくれて、バックスはトニー・ブラウンがまとめてくれて、修正してくれました。前半も攻めている中でのミスがあり、その辺りの冷静さに欠けていました。ハーフタイムでトニーが取れるところからスコアしていこうと言ってくれました。前半、取れるところで取っておけよ、ということですね」

──セービングの場面は?
「覚えています。でも、そのプレーというより、皆が走っていたので、僕のプレーはきっかけに過ぎないと思います。(飯島監督が『前に行くボールをセービングするのは難しいんですよ』とフォロー)必死でした」

──ショットを狙わなかったのは?
「グラウンドの状態が良くないのと、田邉さんやトニーと話して、FWの勢いもあったのでタッチキックを選択しました。僕が、と言うより、皆でこうしようと決めたプレーです」

──三連覇の気持ちは?
「全部嬉しかったし、今年が一番、難しかったと言うか、辛かったです。何故かは分かりませんが。僕としてはキャプテン初めての年で、多少、思いがありました。優勝は嬉しいです」

三洋電機 22-17 トヨタ自動車   試合前、JR高円寺駅にて人命救助を行った、佐藤弘樹氏(日本社会事業大学ラグビー部OB)に、その勇気ある行動を称え、日本協会の森会長より記念ジャージが贈呈されました 試合前、JR高円寺駅にて人命救助を行った、佐藤弘樹氏(日本社会事業大学ラグビー部OB)に、その勇気ある行動を称え、日本協会の森会長より記念ジャージが贈呈されました

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