大槻卓
日本協会公認Aレフリー

1 はじめに

2013年5月28日-6月9日、チリのテムコで開催されたIRB Junior World Rugby Trophy 2013へマッチオフィシャルとして参加いたしましたので、簡単ではありますが報告させていただきます。

2 日程

5/23 中部国際空港より成田、ダラス、サンティアゴ経由テムコへ
5/24 テムコ着
5/25 AM ジムトレーニング
PM マッチオフィシャルミーティング「Standards on-off pitch」
5/26 AM ジムトレーニング、ミーティング「ゲームのフィードバックについて」
PM アクティビティ、チームビルディング
5/27 AM ジムトレーニング、ミーティング「脳振盪の取り扱いについて」
PM ゲームの準備・チームとのミーティング、Team of 3ミーティング
5/28 Match Day1
5/29 AM ジムトレーニング
PM 1 on 1ミーティング(担当CMO) マッチオフィシャルミーティング…Day1の反省 5/30 AM ジムトレーニング PM ミーティング「コミュニケーションプロトコル確認」 6/1 AM ジムトレーニング、ミーティング「Anti Corruption, doping」 PM グラウンドトレーニング、ゲームの準備・チームとのミーティング、Team of 3ミーティング 6/2 Match Day2 6/3 AM ジムトレーニング PM 1 on 1ミーティング(担当CMO) マッチオフィシャルミーティング…Day2の反省 6/4 AM,PM アクティビティ 6/5 AM ジムトレーニング PM グラウンドトレーニング、ゲームの準備・Team of 3ミーティング 6/6 Match Day3 6/7 AM ジムトレーニング PM 1 on 1ミーティング(担当CMO) マッチオフィシャルミーティング…Day3の反省 6/8 AM ジムトレーニング PM ゲームの準備・Team of 3ミーティング 6/9 Match Day4 6/10 テムコ空港よりサンティアゴ、ダラス、成田経由中部国際空港へ 6/11 帰国

大会の前に行われたマッチオフィシャルミーティングでは今大会でフォーカスすべき部分について確認し、レフリー皆で共有し大会に臨みました。とりわけ下記2項目については大会を通して皆で一貫性をもって臨む事を強く確認しました。
・ Five key areas (BIG5)
・ Scrum
上記のように試合の次の日には担当のCMOと1 on 1のミーティングがあり、ゲームのレビューと次の試合に向けた課題点を話し合いました。また、それぞれの試合での課題点を皆で共有し、1ラウンドごとにそれぞれが向上していく事ができるようセッションをもちました。

3 参加国

日本、ウルグアイ、イタリア、ナミビア、トンガ、カナダ、チリ、ポルトガル 以上8カ国

4 マッチオフィシャルチーム(数字は担当試合数)

Referee & Assistant Referee

Bryan Arciero (Canada) Referee 3 Assistant Referee 1

Felipe Balbontin (Chile) Referee 2 Assistant Referee 2

Taku Otsuki (Japan) Referee 4

Kelekolio Petelo (Samoa) Referee 3 Assistant Referee 1

Juan Sylvestre (Argentina) Referee 4

Alexei Bryzgalin (Russia) Assistant Referee 8

Henrique Platais (Brazil) Assistant Referee 8

Elia Rizzo (Italy) Assistant Referee 8

Victor Silvero (Paraguay) Assistant Referee 4

CMO

Javier Mancuso (Argentina)

Dennis Immelman (South Africa)

Analyzer

Ben Hester

Referee Manager

Bernd Gabbei

5 レフリー担当試合

・ Italy 33 v 7 Namibia : Taku Otsuki, Victor Silvero, Alexei Bryzgalin
・ Chile 6 v 50 Italy : Taku Otsuki, Alexei Bryzgalin , Henrique Platais
・ Uruguay 15 v 36 Canada : Taku Otsuki, Henrique Platais, Elia Rizzo
・ Namibia 29 v 40 Uruguay : Taku Otsuki, Victor Silvero, Elia Rizzo

6 おわりに

IRBが主催する標記大会に日本のレフリーとして参加し、ピッチに立てましたことを非常に光栄に思います。この大会に対しては「(ピッチ内外で)起こる事、全てに対してポジティブに取り組む」と自分の中で強く持って臨みました。

予測はしていたことではありますが、長時間の移動、大きな時差、気候、長い大会期間、食文化等全ての環境の負荷が想像していたものより大きかった、というのは正直な感想です。また、雨ばかりの気候や柔らかいピッチの影響もあったとは思いますが、フィジカルを前面に押し出したゲームの展開やスクラムの構造は普段担当しているアジアや日本のゲームとはかなり大きな違いがあり大会序盤は正直戸惑う事も多くありました。

マッチオフィシャルチームもご覧のとおり様々な国・地域から参加していたのでラグビー観やレフリー観、物事の考え方、それぞれの持つバックグラウンドの違いが生む難しさは多々ありましたが、トレーニングセッション、ミーティング、アクティビティ、そしてゲームと時間を共に過ごす中でチームとして機能させることができたと思います。

修正を重ねながらではありますが、結果として4ラウンドすべてでレフリーとしてピッチに立ち笛を吹く事が出来た事は私自身嬉しく思います。地球の裏側チリで行われた今大会は、私に多くの気付きと経験をもたらしてくれました。これらは私の今後のレフリー活動のみならず、人生においてもかけがえのないものになることと思います。
最後になりましたが、今回の長期派遣に対しても快く送り出していただいた勤務先であります(株)豊田自動織機、現地でコンディションづくりにおいて大変お世話になりましたU20日本代表トレーナーの田代さんをはじめ、今回も多くの方々に支えていただきこの実り多き遠征を無事に終える事ができました。今大会に関わられた全ての皆様にこの場をお借りしまして感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。