クリスマスで賑わう東京。冬の寒々とした空気の下、都心から少し離れた江戸川陸上競技場で学生日本一を決める勝負が始まろうとしている。ロッカールームからは選手たちの熱い声と気迫が伝わって来て、身の引き締まる思いである。

関東の頂点に立った明大MRCと関西の頂点に立った関学上ヶ原が、この歴史ある東西対抗戦で戦う。両チームは、夏に菅平での東西対抗でも戦っており、その時は明大MRCの圧勝であった。

 

関学上ヶ原のキックオフで始まった試合は、明大MRCが徐々にゲインを重ねるも関学上ヶ原の堅いディフェンスの前に、ペナルティーが重なり何度も陣地を戻されていた。

試合が動いたのは前半20分ごろ、明大MRCはシンビンで一人欠ける中でもスクラムで相手ボールを押し返すという、重戦車・明治の十八番を披露し最初のトライを決めた。だが、関学上ヶ原も相手のスクラムの反則からBKの突破で大きく前進し、すかさず反撃のトライをあげた。

関学上ヶ原は持ち前のディフェンス力を発揮し、相手になかなかゴールラインを越えさせず、その上相手を中心から遠ざけるという非常に良いディフェンスを続けていた。しかし、前半ラストに明大フォワードの粘り強いアタックでゴールに迫り、最後は左に展開してトライを決められた。

前半は非常に競った試合で10−5、明大MRCリードで折り返した。ただ、明大MRCに反則が多く見られた。関学上ヶ原はそこを見逃さず、要所要所で前進し堅実なプレーを心がけていたように見えた。

 

後半は、前半とは打って変わってどんよりとした雲が消え、暖かさが出てきた。試合の展開も、何か流れが変わる兆しなのだろうかと思った。

後半開始直後、明大MRCのBK陣が関学上ヶ原のディフェンスを突破しトライを決めた。前半苦戦していた相手のディフェンスを、明大MRCはBKが突き崩し、立て続けにもう1トライを決めた。

関学上ヶ原は後半に入って、3名の選手交代があった。関学上ヶ原はほとんどの選手の体格が大きく、フィジカルの強さと層の厚さを感じさせた。だが、時間が経つにつれ明大MRCに勢いが出てきて、関学上ヶ原にもミスが見られるようになった。

後半30分ごろ、明大MRCが立て続けに2本トライを決めるも、ゴールキックは調子が悪いようでなかなか決まらない。ここで明大MRCは一気に残りのリザーブを交代で投入した。ロスタイムにも明大MRCがトライを決め、44−5で明大MRCの勝利に終わった。明大MRCはこれで、8年ぶり2度目の日本一となった。

 

表彰式では、明大MRCの選手たちは顔に笑みを浮かべ勝利の喜びをかみしめていた。関学上ヶ原の選手たちは悔しい表情をしていたが、その表情にはどこか清々しさも感じられた。表彰式後の記念撮影では両チームで肩を組み、ノーサイドの精神を感じることができた。結果としては非常に差のついた試合となったが、内容的には東西の頂点を決めるに相応しいものとなったのではないかと感じた。ボールの保持率も両チーム同じ位で、ずっと自陣でアタックを続けさせない守備の仕方はレベルの高いものを感じた。

来年の東西対抗も、このような試合をしてもらえるよう、両チームのますますの活躍と成長を期待したい。

 

(文責:明治大学体同連和泉ラグビー部3年  栗原大和)