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東海大学が前後半6トライずつの計12トライを積み重ねる一方で、同志社大学の反撃を前半の2トライだけに抑え、2年連続3回目となる決勝進出を決めた。

前半17分、「Who are we? La, la, la, DOSHISHA!」という応援歌“DOSHISHA Cheer”がスタンドから聞こえてくる中、相手に先制された同志社が反撃に出た。セットから左サイドに展開した後、ブレイクダウンからSH大越元気が素早くボールを捌き、最後はFB崎口銀二朗がディフェンスのギャップを突いて最初のトライを上げる。その7分後、今度は好タックルで相手BKのアタックを寸断し、こぼれ球を拾って一気にカウンター。最後はWTB安田卓平が走り切った。しかし、同志社のスピーディなアタックが躍動したのは前半15~25分のほぼ10分間。残りの時間帯は、ボールをキープし、キャリーし続ける東海からボールを奪い取る事ができなかった。同志社にとって11年振りの準決勝は、山神孝志監督が「いつも戦ってきた自分達のフィールドとは違った」と語ったように、序盤はボールが手につかない場面も多くミスが目立った。同監督は、「東海さんは一人ひとりやブレイクダウンが予想以上に強く、なかなかミスをせず反則もしてくれないので、自分達の得意な形に持ち込めなかった」と、決勝進出(勝てば29年振り)を逃した事を悔やんだ。

一方、悲願の初優勝に向かう東海は、途中相手の反撃を受けた時間帯はあったものの、ほぼ危なげない試合運び。前半13分までにNO8テビタ・タタフの2トライを含む3トライ3ゴールの21点をリードし、早々に試合の主導権を握ると、以降もFW、BK一体となったラグビーを展開した。大学選手権に入ってからSOを務めている1年生の眞野泰地も落ち着いてプレーし、トライに繋がるパスやキックを繰り出した。木村季由監督は、「決勝まで行く事が目的ではないので、そこで勝利して、やってきた事が間違ってなかったと証明したい」として、2年連続で同カードとなった決勝戦への決意を語った。
(文責:米田太郎)


■同志社大学

○山神孝志監督

「まあ、やっと帰ってきた場所に甘い水はなかったというのが、卒直な印象です。先週の花園からこっちに戻ると、少しフィールドとして落ち着きがなく、ミスも出て、同志社の思うアンストラクチャーなシーンを作ることができませんでした。スクラムが劣勢なのは想定していましたし、ラインアウトはやれると思っていましたが、選手たちは良く頑張ってくれました。ただ、ブレイクダウン、コンタクトミス、キックミスもあって、少しいつもと違うなと。トライを取れ始めた時間は、タックルも低くできていました。自分たちの力を出し切らせてくれないのが東海大学さんの厚さだと思います。日本一を目指す、ファイナリストとしての差を悔しいけれど感じさせる素晴らしいチームでした。ペナルティーがないように訓練され、一つ一つのプレーの精度が高いです。同志社も持ち味を出して良く戦ったし、このフィールドでしか学べないことを学べました。4年生も歴史を作ってくれて、学生を褒めてやりたいです。東海大学さんには、ぜひ日本一になってもらいたいと思います」

——今シーズンを終えての関東との差は?

「早慶明、同志社の時代は、打倒関東というキーワードでしたが、今は東海、帝京という2強に対してどう立ち向かうかというところまで少しずつ積み上げて来ました。関西リーグもコーチング、監督をやってかれこれ20年、ここを目標にしても良いチームになりました。一つのターゲットだと思います」

——フェーズを重ねても、トライできなかったわけは?

「やはり、本当のチャンピオンチームになろうというプレッシャーと戦っているチームですので、いくらこちらが1段階上がったとは言え、アタックモードで浅く行くと、一つ間違うとああいう点数を取られます。同志社のサイズから考えると、このアタックにも理由があるのですが、一人一人の経験値みたいなものがゲームに出てしまったかと思います」

○山田有樹キャプテン

「正直、本当に悔しかったです。最初、ミスから始まり、相手のブレイクダウンでも、一個一個のセットプレーでも、スクラムでもプレッシャーを受けて、自分たちのアタックの時間を取れませんでした。一つ一つのブレイクダウン、タックルの精度、ミスしないこと、全部東海大学さんが上でした。僕らのシーズンは終わりましたが、次の世代がこの結果以上のことをやってくれると思います」

——雰囲気が違ったのか?

「秩父宮が、慣れたグラウンドのように応援してもらったのですが、最初にミスして、ブレイクダウンでは集中的に枚数を多くして練習してきたものの、ディフェンスの時に相手に少ない人数で回されて、余られました」

——東海大学は1:1で強かったのか?

「想像以上に強かったです」

——タタフ選手に数多くトライを獲られたが?

「マークしていましたが、それ以外の選手も強くて、ダブルタックルもしようとしましたが、疲労もあって、この結果になりました」


■東海大学

○木村季由監督

「本日はありがとうございました。同志社さんは脚の速いBKがあり、ラグビーの理解度が高いチームで、しっかり用意しようとやってきました。自分たちのプレーに集中して、一つ一つ積み重ねて、正しく厳しく80分戦っていこうと臨みました。ゲームの中では、チャレンジして、リーダー中心に良く判断して、全体的にゲームコントロールできたと思います。まだ細かいミスがあるので、気を抜かず自覚して決勝に臨みたいと思います」

——決勝への意気込みを。

「去年の決勝からここを目標にしてきました。一つのチャレンジとして喜ばしいのですが、次に行くことが目標なのでなく、勝つことが目標です。積み重ねて来たことが正しかったことを証明したいと思います」

○湯本睦ゲームキャプテン

「本日はありがとうございました。今日の試合では同志社さんの強みを流す取り組みを心がけました。スローダウンしたラグビーをして、自分たちの強みを活かしたつもりです。色々と反省する部分もあったので、満足しないで決勝に臨みたいと思います」

——今日、得たものは?

「80分通して、相手を終始止めるディフェンスと、BKで取り切る力、FWは身体を張ったアタック、我慢する力です。前半、開始から10分で気持ちを入れて敵陣で試合を続けて、相手の足が止まったところで、良いBKでクリアできたのは収穫でした」

——最初の10分の意識は?

「1トライ取った後も積み重ねて来た次の一歩を、点差が開くまで緩めず、選手からもそういう声が出ていました。1本1本、自分たちの強みを出して、0対0のつもりで、真っ向勝負で戦うことができたと思います」

——決勝への意気込みを。

「日本一に向かって一歩一歩成長して来ました。決勝へ駒を進めることができましたので、去年の悔しさを晴らしたいと思います」