攻守の課題を修正できず流れを失う

8強入り果たせず9〜12位決定戦へ

 

 

アイルランドのダブリンで開催中の女子ラグビーワールドカップ(WRWC)2017。現地時間の17日に行われたプール最終戦でオーストラリアと対戦した女子日本代表は、フィジカルなオーストラリアの攻めに低いタックルで対抗したものの、完全に防ぎ切れずに前半だけで3トライを献上。

日本も前半終了間際のトライを皮切りに、後半12分、18分と得点を重ねて、一時は4点差に追い上げたものの、終盤、再び離されて15—29で敗れた。

 

健闘むなしくオーストラリアに力負け。順位決定戦は9ー12位グループで戦うことに

 

これで日本のプール戦での成績は3戦3敗。

 

場所を北アイルランド(英国)のベルファストに移して行われる順位決定トーナメントでは、日本は9〜12位グループで戦うことになり、22日にはイタリア戦が予定されている。

 

 

4日前のアイルランド戦がそうだったように、初戦のフランス戦で入りに失敗した教訓を生かして、しっかりとした立ち上がりになりそうな雰囲気はあった。

 

自分たちで蹴ったキックオフをキープ。

アイルランド戦で手応えをつかんだスクラムは1本目からしっかり押し込んで相手ボールをターンオーバー。

 

間違いなく、先に主導権を握ることができそうなのは日本だったが、課題のひとつだった攻めながらのペナルティが続き、勢いを失ってしまう。

 

「(アイルランド戦でも)ボールキャリーのところで何回もペナルティを取られている。そこが修正点」

 

HO齊藤聖奈キャプテンは、オーストラリア戦へ向けての課題をそう語っていたが、残念ながら気をつけていたはずのノットリリースザボールの反則が続き、勢いが削がれるかたちになってしまう。

 

「前半は硬さがあって自分たちのスタイルでプレーすることができなかった」(有水剛志ヘッドコーチ)

オーストラリアに最初のトライが生まれたのは前半17分。短いワンパスでパワフルに縦を突かれるシンプルなアタックを続けられた後にBKに外側を走り切られた。

 

ずっと意識してきた「入りの20分間」を自分たちのものにできなかったことで、日本が浮き足立ったのは間違いなかっただろう。

31分、37分と、ペナルティやミスが響いてオーストラリアにトライを重ねられ、0—19 。

 

日本は前半のインジュアリータイムにFW陣のがんばりでようやく1トライを返して、後半の逆転に望みをつないだ。

 

 

後半、一度は4点差に迫るも

高いタックルが致命傷に

 

後半、CTB黒木のトライなどで4点差までに追い上げたが、最後は力尽きた

 

「オーストラリアのフィジカルは強いと分かっていたが、想像していた以上だった」(SH津久井萌)

 

それでも、前半、体をぶつけあったことでフィジアカルの強さに慣れた面もあったのか、後半しばらくは日本のペースで試合は推移。

想像以上だったオーストラリアのパワフルな突進。徐々に後退するシーンも少なくなかった

 

12分には、SH津久井が自陣から蹴ったボールを追って、相手を潰して自らボールを奪い、絶妙なタイミングでCTB黒木理帆にパスを通して10—19。

 

さらに18分にも、動きが鈍くなってきたオーストラリアに対して、NO8高野眞希がオーストラリアゴールへ(15—19)。

明らかにオーストラリアに疲労の色は濃く、日本がそのまま捲り上げることが期待されたが、ところどころで散見されていたタックルの甘さが響く形で、26分にパワフルな相手BKに大きくゲインされ、再びオーストラリアが点差を開くと、残念ながらサクラフィフティーンにはそれ以上の余力は残っていなかった。32分にも豪州に1トライを加えられ、目標のベスト入りは果たせず、プール戦を終えることになった。

「覚悟を決めて臨んだ試合だったが、勝てなかったのが今の私たちの実力 」(HO齊藤聖奈キャプテン)

 

 

タックルラインの攻防を見直して残り2戦に勝利し、9位を目指す

 

それでも、フランス、アイルランド、オーストラリアという強豪との試合を続ける中でチームの実力が上がっているのは紛れもない事実。

 

再び、6カ国対抗の雄との対戦となるイタリア戦でそれを証明する。

Text by Kenji Demura, Photo by Michael Lee