重量級の相手との連戦による疲労の蓄積も影響か

「我慢勝ちする」目標達成できず悔しい完封負け

 

 

女子ラグビーワールドカップ(WRWC)2017、9〜12位順位決定トーナメント初戦でイタリア代表と対戦した女子日本代表は、一進一退の攻防を繰り広げながら、チャンスをものにできずに無得点。

イタリアに前半終了間際の先制トライを皮切りに、後半3トライを重ねられ、0—22で完封負けを喫した。

 

日本は大会最終日(26日)の11、12位決定戦でアジアのライバル香港と対戦する。

 

しっかりリカバリーして臨んだが、蓄積した疲労の影響もあって本来の動きではなかった

 

プール戦ではフランス、アイルランド、オーストラリアという強豪国と中3日で対戦。

世界の強豪国とテストマッチを戦うこと自体初めての経験である上に、男子のRWCでもあり得ない過密スケジュール。

 

プール戦最終日のオーストラリア戦から、この日のイタリア戦までは初めて中4日の間隔が空き、2日間は完全オフにしてリカバリーをはかったが、重量級の相手との連戦で疲労が蓄積した体はそう簡単に元に戻るものではなかったようだ。

 

ボールキャリー、サポート。なかなか思い通りのブレイクダウンにならずリズムがつくれなかっ

 

「4試合目にして、戦うエネルギーが残っていなかった。スタートの時点から一歩ずつ、半歩ずつリアクションが遅く、アジリティやフェイズディフェンスも良くなかった」(有水剛志ヘッドコーチ)

 

アイルランド戦でもオーストラリア戦でもそうだったように、「最初の20分を意識」してきた日本はこの日も立ち上がりの時間帯は敵陣でプレーするケースが多かった。

ただし、それもプール戦の試合でもそうだったように、なかなかスコアに結びつかない。

 

フェイズアタックを重ねる中で、ボールキャリアがノット・リリース・ザ・ボールなどの反則を取られることはプール戦で出た課題のひとつだったが、この日も完全には修正できたとは言えなかった。

「ボールキャリーの部分では、ダウンしてからもしっかりレッグドライブすることを意識したはずだったが、実際になると、横になって寝てしまって、ノット・リリース・ザ・ボールを取られた」(HO齊藤聖奈キャプテン)

 

さらに、ノックオンやラインアウトでのノットストレートなどが相次ぎ、自分たちのミスでチャンスを失ってしまう。

 

チーム全体で「我慢勝ちする」(SO山本実バイスキャプテン)イメージが共有されていたこともあり、サクラフィフティーンも粘りのディフェンスでイタリアに得点させなかったが、前半終了間際に相手のピック&ゴーを止め切れずに初トライを許し、0—5で前半を終了した。

 

 

「(最終戦は)全員でアタックしてトライを取り切る

サクラフィフティーンを世界に示す」(HO齊藤キャプテン)

 

 

後半に入ると、前半と違って、積極的にボールを回してWTBのスピードランナーたちで勝負するスタイルに変えてきたイタリアのアタックに対して、前述のとおり立ち上がりから決して動きがよくはなかった日本のディフェンスがついていけない場面が目につくようになり、6分、18分、39分と3トライを重ねられて最終的には22失点。

 

日本もパスインターセプトからトライラインに迫る場面などはあったが、自分たちの意図的なアタックでトライに結びつけることはできずに無得点での敗戦となった。

 

CTBで先発した鈴木彩香もリズムをつくろうと腐心したが、イタリアのプレッシャーは厳しかった

 

有水HCが指摘したように、フィジカルな相手との連戦による疲労蓄積がプレーに影響したことは否めないだろう。

加えて、「勝たなきゃいけないプレッシャーもあった」(SO山本バイスキャプテン)。

 

「SO−CTB間のプレッシャーが結構あって、うまくボールを動かせなかった。相手のFWが開いた状態でBKに回ってきてもなかなかいいアタックができない。チーム全体としてペースがつかめない試合が最初から最後まで続いた」(CTB鈴木彩香)

 

本当の意味で、世界で戦うことの厳しさを知らなかったサクラフィフティーンにとって、世界ランキング10位以内のチームと戦い続けるチャレンジはほろ苦いものとなった。

 

世界へ挑戦しながら成長を続けているサクラフィフティーン。最終戦は自分たちのラグビーを出し切る

 

「勝ち切る難しさを感じた。自分たちで敵陣まで入ることができても、相手にターンオーバーされてしまう。逆に、こっちは、40分近く守ってきたのに、最後の最後に取られた。個人個人が相手に勝てていない。まずは個人でもっともっと強くならないと」(FB清水麻有)

 

世界と真剣勝負できたからこそ、実感した自分たちに足りないものに向き合いつつ、WRWC2017最終戦となる香港戦では「クイックに、ワイドに、しっかり全員でアタックして、トライを取り切るサクラフィフティーンのラグビーを世界に示して」(HO齊藤キャプテン)、勝利をものにする。