14、15日の2日間に渡り、スリランカのコロンボで「ラグビーワールドカップ(RWC)・セブンズ2018」アジア地区予選を兼ねる「アジアラグビーセブンズシリーズ2017 第3戦」および「アジアラグビー女子セブンズシリーズ2017 第2戦」スリランカ大会が行われる。

来年7月にアメリカ・サンフランシスコで開催されるRWCセブンズ2018には、男女ともに本アジアシリーズの総合順位2位までのチームがアジア地区代表として出場できる。
現在、男女共に同シリーズのポイント数で首位に立つ日本は、アジアでのタフバトルを制して3大会連続となるRWCセブンズのアベック出場を決めたいところだ。

男子は3大会、女子は2大会が行われる今シーズンのアジアラグビーセブンズシリーズおよびアジアラグビー女子セブンズシリーズ。

男子セブンズ日本代表は初戦の香港大会(9月1、2日)では香港をカップ決勝戦で破り優勝。続く韓国大会(9月23、24日)ではカップ決勝戦で地元・韓国に12対17で敗れたものの、シリーズ総合ポイント数では韓国、香港を抑え首位に立っている。

一方、女子セブンズ日本代表は今季のアジアラグビー女子セブンズシリーズ初戦の韓国大会(同上)のカップ決勝戦で中国を破り優勝。

共に、今季のシリーズ総合制覇およびRWCセブンズ2018出場権獲得に向けて優位なポジションで、暑さやグラウンドコンディションなど過酷な条件下のスリランカ大会をスタートさせることになる。

男女ともに、同シリーズには8チームずつが参加。4チームずつ2組に分かれて初日のプール戦を戦った後、2日目のノックアウトステージに移行する。

男子はプールBでマレーシア(総合7位)、フィリピン(同6位)、香港(同3位)、女子はプールCでスリランカ(同5位)、韓国(同8位)、香港(同4位)とプール戦で対戦する(=対戦順)。

カラウナHC(中央)が提示するゲームプランをひとりひとりが理解してアジア制覇へ臨む男子セブンズ代表
photo by Kenji Demura

「一人ひとりが自分のやるべきプレーを理解してやり切れれば勝てる自信はある」
(男子セブンズ日本代表・小澤大キャプテン)

「まずはゲームコントロールすること」
男子セブンズ日本代表のダミアン・カラウナヘッドコーチ(HC)は、スリランカ大会で勝つ一番のポイントをそう語る。
昨秋の就任以来、「ジャパンフレアー」というフレーズを使って、創造性豊かなスタイルを追求してきたカラウナHCだが、蒸し暑さ、雨、ぬかるんだグラウンドなど厳しい条件となることはほぼ間違いない今大会を勝ち抜くには、"リアリスト"になる必要があると説く。
「最初にしっかり試合をコントロールして、シェイプどおりに動く。それができたらリラックスして、フレアーを見せる。雨は気にしないし、難しい条件でもプレーするスキルセットを持っているつもりだ。自分たちが持っているスキルを示す、いい機会になる」(同HC)

一方、厳しい条件の下、試合をコントロールするためには、「一人ひとりが自分のやるべきプレーをしっかり理解する」ことが必要だという認識を語ったのは小澤大キャプテン。
「自分たちのプレーをやり切れれば勝つ自信はある。逆に、一人ひとりが理解をできなければ、その時点で負け。そこの部分を全試合出していきたい。韓国では、そこの部分で自分たちのプレーができずに、つけこまれた」

確かに、準備不足は否めず韓国で敗れはしたものの、その一方で小澤キャプテンは昨季ワールドラグビーセブンズシリーズに参戦していた時のチームよりも進歩している部分に手応えを感じている。

「パスだけではなくキックというオプションもあるだろうし、前回のワールドラグビーセブンズシリーズよりも、一人ひとりのアイディアが出るようになってきている。あとは厳しい条件の中で選手たちがどう判断して、どう実行するか。まずは一人ひとりフィジカルで優って、正確なプレーを続けて、相手に日本と戦うのが嫌だなと思わせる。厳しいコンディションですけど、絶対に優勝します」(同キャプテン)

厳しいコンディションも味方につける戦い方でサンフランシスコ行きを決めたい女子セブンズ日本代表
photo by Kenji Demura

「雨や芝のコンディションなどを味方につけることも重要になる。
冷静に判断していく」(女子セブンズ日本代表・中村知春キャプテン)

「ある程度、フィジカル面で優位に立てたのは成果」
アジアラグビー女子セブンズシリーズ初戦(韓国大会)で優勝を果たしたチームのパフォーマンスに関して、そう手応えを語るのは女子セブンズ日本代表の稲田仁ヘッドコーチ。

もちろん、RWCセブンズ2018の出場権がかかる今シリーズを制することの重要性は理解しつつも、11月から始まるHSBCワールドラグビー女子セブンズシリーズへの参戦を踏まえて、チーム力の向上に取り組んできた。
「今後もあるので、この大会への調整、というよりは(さらに)上げてきた。フィジカルもフィットネスももうワンランク上げられるようにしっかりトレーニングしており、成長は見えている。あとはそれを試合の中で、ラグビーのパフォーマンスとして出していけるかどうか。アタックもディフェンスも、合宿では精度を上げることを意識してきた」(同HC)

一方、アジアで勝つ難しさを熟知する中村知春キャプテンは「雨や芝のコンディションなどを味方につける」ことも、厳しい条件下となることが予想されるスリランカ大会を制するポイントだという。
「世界のレベルに合わせて、"我慢して止める"という組織ディフェンスを強化してきたが、スリッピーな条件下だと相手を待つのではなく、従来通りのアグレシッブなディフェンスにシフトする必要があるかもしれないし、またアタックでも外にパスを放っていくというスタイルを続けてきたが、そういう状況では縦に縦に近場で、というのがキーになっていくかもしれない。冷静に判断していきたい」(同キャプテン)

「アタックではシンプルに強く勝負して、立ってボールをつなぐ。ディフェンスでは常に相手にプレッシャーをかけ続けて、早く倒してボールを奪う。あとは規律の部分。ペナルティをゼロにすること。その3つができれば勝てる」(稲田HC)

男女共にアジアの盟主としてサンフランシスコへ乗り込むため、過酷な条件をものともせず、内容の伴ったパフォーマンスを見せ、結果を出すという使命を十分理解した上で、コロンボでの戦いに臨む。

どんなコンディションでも攻守両面で頼りになるトゥキリの存在は日本にとっては大きい
photo by Kenji Demura

15人制WRWC2017出場組のセブンズへのフィットも日に日に良くなっている(写真中央は清水)
photo by Kenji Demura