プレビュー:日本代表「リポビタンDツアー2017」フランス代表戦

攻守に進歩を感じさせたトンガ代表戦を超える
パフォーマンスで、フランスでの歴史的一戦に

リポビタンDツアー2017 フランス遠征中の日本代表が現地時間の25日(日本時間26日早朝)、パリ郊外ナンテールでフランス代表とのテストマッチを戦う。
ラグビーワールドカップ(RWC)2019日本大会でベスト8入りを狙う日本代表にとって、ワールドラグビー世界ランキング8位のフランス代表は「自分たちがいまどこの地点にいるのかはっきりする」(FLリーチ マイケルキャプテン)腕試しとしては最適の相手。
39−6で快勝したトンガ代表戦から先発15人中14人が不動のかたちで、過去のRWCで3度の準優勝を誇る強豪にチャレンジする。

39—6で快勝したトンガ代表戦よりもさらに進歩した内容でフランスを追い詰めたい日本代表
photo by Kenji Demura

「誰に聞いても、フランスといえば”シャンパンラグビー”と言うけれど、本当はスクラムとモール。そこさえ戦えれば自分たちの強みを出していける」
FLリーチ マイケルキャプテンがそう語るとおり、「自分たちがフィジカリティで勝てるチームはない」(同キャプテン)という日本にとって、まずはFWがセットプレーなどのコンタクトエリアで対抗できるかが6カ国対抗の雄に対してアウェー戦で勝利を収めるための絶対条件になる。

重責を担うことになるFW陣の先発メンバーは前週と全く同じ顔触れ。

「大きな相手でも、体重差があってもしっかり組めるな、という手応えにはなった」
HO堀江翔太がそう振り返るトンガ代表戦で安定感が光ったスクラムだが、「強いのはもちろん、いろんな引き出しを持っている」(長谷川慎スクラムコーチ)というフランス代表に対しては、当然ながら違うレベルのチャンレンジになることも想定される。

「特に、敵ボールの時にペナルティを狙ってくる相手に対していかに防ぐか。やるべきは今までやってきたことの継続。一人ひとりがそれぞれの仕事を100%やり切れるか。理解度プラス遂行度が重要になってくる」(PR稲垣啓太)

トンガ代表戦では、ヴィンピー ・ファンデルヴァルトに加えて、「自分の役割としては、経験値があるので、苦しい時にどういうふうに流れを持っていくか。ゲームになってくると、プレッシャーがかかって黙ってしまうメンバーが多い中で、そこはできたかな」という、ベテランの真壁伸弥がLOに入ることでFWパックの核がしっかりした印象。

「大きな相手なので大きいFLが有効と考えた」(ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ)と言い、姫野和樹をブラインドサイド、リーチキャプテンをオープンサイドに起用し、NO8にアマナキ・レレイ・マフィというFW第3列コンビも機能した。

「スクラム、セットピースのプレッシャーとディフェンス。それさえしっかりやれば、いい形はつくれる」(リーチキャプテン)

LOペアは2m超、FW第3列の3人もいずれも1m90㎝を超えるという、トンガ代表はもちろん、オーストラリア代表でさえも比較にならない大型選手が揃うフランスFWに対して、サイズの劣る日本がどこまで抵抗できるかが、試合のポイントになることは間違いないだろう。

途中出場したトンガ代表戦でのテンポを上げるプレーぶりが評価されて先発起用されるSH流
photo by Kenji Demura

「人工芝のグラウンドで練習してきたし、
速いトラックは日本に有益」(ジョセフHC)

トンガ代表戦から唯一先発メンバーが入れ替わるのはSH。
1週間前のトゥールーズでは後半8分からの途中出場だった流大が先発に回る。
「流が出てから、アタックテンポがスピードアップした。素晴らしい仕事をした」
途中出場したトンガ代表戦での流のプレーぶりをそう振り返るのは、トニー・ブラウンアタックコーチ。
後半19分にレメキ ロマノラヴァ、同34分に福岡堅樹という両WTBがフィニッシュしたトライに象徴されるような、スピード感溢れるアタックでのアップテンポなつなぎ役ぶりでチームに勢いを与えた。
「スピードをキーワードに、今回は最初からゲームスピードを上げていきたい。スピードを持って引っ張っていければいいアタックができると思う」

そんなSH流とコンビを組むSO田村優を中心とする、キックも多用しながらのゲームメイクも、ブラウンコーチが「キッキングゲームは随分成長した。チェイスもよくなった。いいバランスになってきていると思う」と評価するとおり、明らかな進歩が見られた。

「大きく、フィジカルなトンガ代表に対して、ディフェンスでもいい仕事をした」(ジョセフHC)
ジョン・プラムツリーディフェンスコーチの下、取り組んできた新たなディフェンスシステムも、相手をノートライに抑える試合をやってのけたのだから、自分たちのものにしてきていると言っていいだろう。

「準備してきたことを出せた。自分たちがやってきたことを信じてノートライに抑えられたのは収穫」と語る立川理道、ラファエレ ティモシーのCTB陣、チームを救うトライセービングタックルを見せたFB松島幸太朗、SH田中史朗の守りでの貢献も大きかった。
その田中をはじめ「途中出場するメンバーのインパクトプレーも試合を左右する」(ブラウンコーチ)ことも間違いない。

「フランスのBKにはたくさんの素晴らしい大きな選手がいる。彼らにスペースを与えると素晴らしいアタックをされてしまうので、我々のチャレンジは彼らのスペースをシャットダウンすること。BK陣にプレッシャーを与えること」(同コーチ)

RWC2011で日本と対峙したベテランSOフランソワ・トゥランデュクの一方で、10日前のニュージーランドB戦で2トライを奪ったフランスB戦でのプレーが評価されて今回の日本代表戦が初キャップとなる新鋭、WTBガブリエル・ラクロワがメンバーに加わるなど、多様なメンバーが揃ったフランス代表のBK攻撃を抑えられれば、ディフェンス力にさらに自信を深めることになる。

試合会場のUアリーナはこの秋に新設された屋根付きの人工芝の競技場。
フランス代表—日本代表の一戦がスポーツイベントとしてはこけら落としになるが、欧州の重い天然芝に苦しむ傾向のある日本代表にとっては、人工芝でのプレーはベネフィットになるとジョセフHCは言う。
「(2週間滞在した)トゥールーズでも人工芝のグラウンドで練習してきたし、とても速いトラックで試合できるのは有益に働くだろうし、エキサイティングな気持ちでいる」

2023年のRWC開催が決まり、ラグビーの注目度が上がっているフランスの目の肥えたファンを驚かせるパフォーマンスで2017年を締めくくることを期待したい。

text by Kenji Demura

トンガ代表戦でモールでのトライを喜ぶリーチ主将。フランス代表に対してもFW戦が鍵を握るのは確かだ
photo by Kenji Demura

スポーツイベントとしてはフランスー日本戦がこけら落としとなるUアリーナ。人工芝は日本にとってプラスになるか
photo by Kenji Demura

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