第55回日本選手権 出場4チーム記者会見レポート

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戦いは既に始まっている
~日本選手権出場4チーム記者会見~

8月18日(土)に開幕してから4カ月。13節に及ぶ長丁場のリーグ戦を終えて、ジャパンラグビー トップリーグ2017-2018はレッド、ホワイトの両カンファレンス内の順位が確定し、両カンファレンスの1位2位のチームは、第55回日本選手権兼トップリーグ総合順位決定トーナメントに進出する。
ラグビー日本一の称号と、トップリーグ優勝の2冠を目指すこの戦いに進出するのは、レッドカンファレンス1位「サントリーサンゴリアス」(2大会連続18回目)、同2位「トヨタ自動車ヴェルブリッツ」(4大会ぶり19回目)、ホワイトカンファレンス1位「パナソニック ワイルドナイツ」(11大会連続13回目)、同2位「ヤマハ発動機ジュビロ」(2大会連続9回目)の4チームとなった。
リーグ戦104試合すべてが終了した12月24日(日)から開けて25日(月)、東京・新宿区の日本青年館ホテルで、4チームの監督と主将の8人が共同記者会見に臨んだ。
リーグ戦を終えた安堵感に浸る間もなく次なる決戦に備え、既に熱い戦いは始まっている。

会見出席者:
サントリーサンゴリアス
沢木啓介 監督
流  大 主将
トヨタ自動車ヴェルブリッツ
大藪正光 チームコーディネーター(ジェイク・ホワイト監督の代理出席)
姫野和樹 チームキャプテン
パナソニック ワイルドナイツ
相馬朋和 ヘッドコーチ(ロビー・ディーンズ監督の代理出席)
布巻峻介 主将
ヤマハ発動機ジュビロ
清宮克幸 監督
堀江恭佑 主将

―まず各チームから日本選手権に臨む意気込みを語ってもらいます。

沢 木 「今季のリーグ戦のヤマハ戦は、内容的には負け試合でした。年明けの準決勝ではサントリーのスタイルで文句 なく勝利したい」
   「同じく、準決勝は接戦になると思いますが、自分たちのやってきたことを信じて勝ちたいです」
大 藪 「今季のリーグ戦ではここにいる3チームすべてに負けているので、次の試合でトヨタの成長した姿を見せて勝ちたい」
姫 野 「我々はチャレンジャーらしく、ひたむきに泥臭く戦えば必ずチャンスはあると思います。パナソニックにはリーグ戦で負けているので、準決勝ではいい勝負をしたいです」
相 馬 「リーグ戦の13試合同様、目の前の相手に全力で戦うのみです」
布 巻 「相馬さんの言う通り、目の前の相手に対して全力で向かうだけ。それを楽しめるようチャレンジします」
清 宮 「ここ数年、ヤマハのチーム力はしっかりと上向いており、いろいろなことができるチームになったと思う。それが裏目に出て、リーグ戦では4敗を喫してしまいました。今はけが人が多く準決勝のサントリー戦もベストメンバーが組めるかどうかわからないのですが、絞り込んだ戦術でヤマハらしい試合をします。堀江もプロップで出てもらうことになるかも(笑)。いずれにしても盛り上がった一日になればいいですね」
堀 江 「敗戦から何を学んだか、生かしていきます」

―それでは、記者さんからの質問をお受けしましょう。

記 者 「大藪さん。トヨタがジェイク・ホワイト監督になってから、チームにとっての一番大きな変化はどういう点ですか」
大 藪 「ジェイクはとにかく熱い言葉で語る監督です。ダイレクトに選手やスタッフに伝わるのでこちらも目頭が熱くなることもありますね。ファンからも心がしびれる戦いぶりだと言われます。それだけ監督の想いがチームに浸透して、決してあきらめない試合ができるようになった点は明らかに去年とは違います」

記 者 「布巻さんに聞きます。リーグ戦終盤では試合に出ない状況が続きましたが、今のコンディションと、どんなパフォーマンスを示したいかお聞かせください」
布 巻 「ここしばらく怪我のために試合に出られる状態ではありませんでしたが、昨日の最終戦にも出てコンディションは上がってきていますので、チームが苦しい時に力になれるようなパフォーマンスで貢献したいです」

記 者 「相馬さんに。準決勝の相手のトヨタをどう見ていますか」
相 馬 「伝統的にフィジカルが強いところへ、ジェイク監督が来てコーチ陣も一新され、芯が一本通っているチームという印象です。でも相手云々よりも、自分たちのやるべきことにフォーカスして戦うしかありません」

記 者 「沢木さんにお聞きします。リーグ戦終盤は接戦が多かったという印象ですが」
沢 木 「去年までのことにプラスして新しいことにチャレンジしているからでしょう。そのうちで精度があがってきているところもあるので、ベストメンバーで臨める準決勝は楽しみです」

記 者 「監督皆さんに聞きます。今シーズン最も成長した選手は?」
沢 木 「個人名は言わないことにしているので。今年のルーキーは皆頑張っていると思います」
大 藪 「主将の姫野の他に、フッカーの彦坂圭克です。ピンチもチャンスもどちらでも活躍してくれています」
相 馬 「特定の選手ではなく全員が成長したと思います」
清 宮 「13番で出ることが多い小林広人ですね。怪我が多かったのですが、リーグ戦終盤にチャンスを与えたら宮澤正利を超える選手になってきたかな、と見ています」

記 者 「準決勝で戦う相手チームで抑えたいプレーヤーは?」
沢 木 「堀江主将は自分の体でチームをけん引する存在なので、警戒しています」
清 宮 「ジョージ・スミスにはここぞというところで仕事をされていたので…。出るの?(笑)新しいターゲットを探します」
相 馬 「やはり姫野主将です。調子に乗せさせたくない選手です」
大 藪 「パナソニック相手ではこちらは20人で臨まないと、というくらいです。中でも警戒するのはベリック・バーンズ。かき回されないようにしたいものです」

記 者 「お互いの対戦相手のキャプテンに対する印象を聞かせてください」
  「堀江さんはフィジカルに強い選手。トライを取るとチーム全体を勢いづかせる存在です」
堀 江 「流ですか、パスが上手い選手ですね(笑)。テンポの良いパス回しとFWの使い方が上手いので、ブレイクダウンで球出しを遅らせたい」
布 巻 「姫野とは日本代表でもポジションが同じこともあって、元気をもらえる選手だと思っています。それが相手にいるわけですから、勢いに乗せたくない選手です」
姫 野 「熱いものを胸に秘めている人ですから、布巻さんに仕事をされるとパナソニックが勢いづきますね」

―ここからはラグビージャーナリストの村上晃一さんの進行によるトークショー形式で、さらにお話を伺います。

村 上 「清宮さんと沢木さんは普段からよく話をする仲ですか?」

清 宮 「沢木さんが選手時代に私がサントリーの監督で、選手を辞めさせてコーチにしたのは私です。多くが反対する中でコーチに推薦した理由は、クセのある男だから(笑)。自分の意見を持っている男の方がチームの先々を考えると良いと思ったのです。そういう関係なので、一緒に食事をしたりはします」
沢 木 「清宮さんにラグビー指導者の世界に誘って頂きました。普段はラグビーの話はあまりしません。先日も幸太郎君の話題でしたし(笑)。清宮さんは一戦必勝でトーナメントでは勝ちにこだわり、いろいろな戦術を考える人ですが、あまり深読みせずにヤマハの強み見せつけたいと思います」
清 宮 「沢木さんは選手にプレッシャーをかけて力を出させる監督ですね。こちらはヤマハの強みを消されないようにしますよ」

村 上 「このカードの主将のお二人は相手チームで特に意識する選手はいますか?」
堀 江 「サントリーのフロントローには大学時代の知り合いが多いので負けたくないですね。明治の同期の石原慎太郎、後輩の中村峻太とか」
村 上 「明治は先輩に花を持たせるとか?(笑)」
  「ヤマハのFW全員を警戒しますが、BKで大田尾竜彦さんはヤマハラグビーを引っ張る存在なので、プレッシャーを掛けなければなりません。対戦できたら楽しみな選手は荒尾高校で一緒にやった仲の清原祥です」

村 上 「さてこちらのカードで、相馬さんと大藪さんの関係は?」
相 馬 「選手時代はトップリーグが始まる前のことなので、直接の対戦はなかったと思います」
村 上 「先ほどの記者さんの質問にもありましたが、トヨタはどう変わったと思いますか?」
相 馬 「それはジェイクさんが全てでしょう。本当は今日、ロビー・ディーンズ監督とジェイク・ホワイト監督のバトルを記者さんは楽しみにされていたんでしょう?(笑)とにかく、フィジカルという古くからあるものに、メンタル面の芯という新しいものが融合されたチームです」
村 上 「大藪さんはパナソニックの強みをどう見ていますか?」
大 藪 「トライを取る嗅覚に優れた選手が多いことです。ラグビーを楽しんでいるように見えます。こちらは必死でやらないといけないのですが」

村 上 「こちらの主将は、対戦が楽しみな相手選手はいますか?」
布 巻 「やはりポジションが同じの姫野、安藤泰洋さんなどバックローの選手です」
姫 野 「全員がすごい選手なので…。帝京で同期の松田力也との対戦は楽しみです」
村 上 「松田選手とはトップリーグの新人賞も争っているのでは?」
姫 野 「日本代表ではその話題で先輩の皆さんからいじられていました(笑)」

村 上 「ところで、今回の日本選手権はトップリーグの優勝も兼ねているので一気に2冠獲得になりますが、その点はどうでしょう」
清 宮 「一本化でいいと思います」
沢 木 「トップリーグチャンピオンとは別に日本選手権が欲しいです」
相 馬 「取れるタイトルは多いほどいいですね」
大 藪 「いっぺんに2冠、は分かりやすいともいえるのではないでしょうか」
村 上 「キャプテンはどうですか?」
姫 野 「とにかくトヨタにとっては久しぶりのチャンスなので、一つでもタイトルを取りたいという気持ちです」
布 巻 「タイトルも、ですが、自分は試合がたくさんできればうれしいので…」
  「自分は目の前のことに集中するだけです」
堀 江 「布巻と同じくできるだけ多く試合をしたいほうです」

村 上 「対戦カードごとに、お互いの過去の対戦を振り返ると?」
清 宮 「ヤマハに来てからはやはりサントリーに対して特別な想いを持っています」
沢 木 「ヤマハとの対戦は、リスペクトしているからこそ負けられません」
清 宮 「サントリーに初めて勝った時(=第52回日本選手権)、沢木監督がおめでとうと握手をしに来てくれました。一生大事にしたい。サントリーの選手の中には、面白くないと思っていた人もいたようですが(笑)」
堀 江 「とにかくサントリーとの試合はしんどいです。大きく動き回ることとフィジカルの両面ですね。試合後の疲労感は他のチームとの試合とは違います」
  「ヤマハとの試合はタフなものになります。特にFWはダメージがあるようですから、今回もそこがポイントだと思います。うちのバックローではジョージ・スミスが不在になった影響は大きいのですが、代わりになろうと頑張っている選手の姿を見ているので、期待して下さい」

村 上 「もう一方のカードはどうでしょう」
相 馬 「トヨタとの試合では、トップリーグの初年度、トヨタが入れなかった時のことですが、三洋電機(現パナソニック)がトップリーグに入るのはおかしいという論調もあったようで、実際にその年度の日本選手権(第41回)ではトヨタに負けてしまい、その論調の正しさを証明してしまった格好になりました。そういう過去もあるので、ここまでの結果は別にして何が起きてもおかしくないと思っています」
大 藪 「2010年の第47回大会日本選手権決勝で当時の三洋電機に負けて以来のチャンスと思っています。パナソニックの強みはゲームのあやとか雰囲気を把握する点で、うちとしては食らいつくしかありません」

村 上 「キャプテンにお聞きします。この大会における自分のチームのお奨め選手は?」
堀 江 「マット・マッガーンです。ここにきて進化しています」
  「ヤマハ戦でのスクラムのリベンジに燃えているサントリーFWに注目してください」
布 巻 「ベン・ガンターです。ものすごい勢いで成長しています。練習でも皆が刺激を受けています
姫 野 「チーム全員に活躍してほしいです。先ほど大藪さんがおっしゃった彦坂さんはいいプレーをしてくれています」
村 上 「では最後に、ラグビーといえばキャプテン、ですので日本選手権に臨む意気込みをお聞かせください」
  「前回のチャンピオンということは意識していません。今年のチームスローガンであるSTAY HUNGRYのとおり、まずはヤマハ戦に集中します」
堀 江 「ここまで来た以上、自分たちの強みを出して相手の強みを消すだけです。ヤマハのスタイル、プライドであと2週間、準備をしていきます」
布 巻 「優勝を狙います。自分は目の前の練習や試合を全力でやりきれるかということしか
考えていません」
姫 野 「チャレンジャーとして全力で取り組みます。試合に出ないメンバーも含めてひたむ
にやるだけです」
村 上 「皆さん、ありがとうございました。年明けの日本選手権、熱戦を期待します」

1時間の短い会見は、表面上の穏やかさとは裏腹に、4強が火花を散らす瞬間も垣間見えた。
日本選手権の名称に相応しい最高のラグビーを約束してくれたトップ4は、2018年1月6日(土)、まずは大阪・ヤンマースタジアム長居の準決勝2試合で激突する。

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