5月7日(土)

香港戦直前合宿5日目。香港戦を翌日に控えた日本代表は、当初予定していた秩父宮での前日練習を、昨夜から降り続いた雨と選手のコンディションを考慮し、中止としました。それでも、何名かの選手はグラウンドに来て最終調整を行っていました。

午前中に行われた萩本監督・箕内キャプテンによる前日会見では、両者とも明日の試合に対する意気込みを力強く語ってくれました。

日本代表国内初登場。8日はぜひ、秩父宮ラグビー場にお越しください。新生JAPANと共に戦いましょう。

◎萩本監督

「チームは非常にいい状態です。一戦一戦大切に戦い、いい試合をしたいと思います。具体的には、グラウンドを横だけでなく縦にも大きく使って自分たちから仕掛けて球を動かしていきたい。

ファンの皆さんに、いま我々が取り組んでいることをわかっていただけるようなラグビーをしてしっかり戦い、すっきりと勝ちたいと思います」

◎箕内キャプテン

「フランス合宿・南米遠征を経て、選手が仕掛けることができるようになった。また、相手に対して仕掛けてコントロールしていけるようになった。

明日の試合は、自分たちのラグビーを貫いて、結果・内容共にこだわりたい。明日の試合は、今までやってきたことを自分たちで自問自答しながらやっていきたい」

◎カトニ・オツコロ選手 ※香港戦で初キャップ
「精一杯頑張ります。パーキンソン選手とのコンビは、この間の遠征から話し合っていたし、コミュニケーションもとっているので大丈夫。調子もいいし、ばっちりです。明日の試合は、いいプレーをするだけ。ファンの皆さん、そして自分自身のために頑張ります」

前日会見での萩本監督・箕内キャプテン
前日会見での萩本監督・箕内キャプテン

初キャップとなるカトニ選手。右はコンビを組むパーキンソン選手
初キャップとなるカトニ選手。右はコンビを組むパーキンソン選手

5月6日(金)

グラウンドを大きく使った展開   集中した練習が行われた
グラウンドを大きく使った展開 集中した練習が行われた

香港戦直前合宿4日目。香港戦まで残り2日となり、香港戦のメンバー発表が行われました。これを受け午前中の練習も香港戦に向けたものが中心となりました。メニューは、コードプレー、ボール争奪、ゲームデザインの3つ。

中でもこの日は試合を想定したゲームデザインに重きがおかれ、佐野コーチから時間帯・地域を常に考えてゲームを組み立てること、グラウンドを大きく使って行くことなど何点かのポイントが示され、練習が行われました。試合を2日後に控え、非常に集中した練習となり、練習終了後もバス出発ぎりぎりまで個人練習を続ける選手たちも多く、チーム全体に程よい緊張感があふれています。

7日、秩父宮でキャプテンランを行い、8日の香港戦に挑みます。

なお、夕食時には、この日誕生日を迎えた大野選手(東芝府中ブレイブルーパス)にチームからバースデーケーキが贈られました。

◎萩本監督

「フランス合宿・南米遠征で取り組んできたことを、メンバー全員に共通認識として持たせ、チームに厚みを持たせるためにこのメンバーを選出しました。試合を経験することで、選手全員の試合の経験値を増やしたいと思います。

香港代表に関しては、現状をみれば力の差はある。ただし、我々が目指しているのはもっと上。何点取ろうが、また取れずにクロスゲームになってもやろうとしていることをきちっとやる。成長したラグビーをしなければならない。

ファンの皆さんには、変化にとんだ攻撃でグラウンドを縦横左右大きく使った重みのある試合を見せたいと思います」

◎箕内キャプテン

「国内最初の試合ですので、日本ファンの皆さんの前で必ず勝ちたい。フランス合宿・南米遠征で取り組んできたこともチームに徐々に浸透してきているので、今までとは違った日本代表のラグビーを見せられると思います。

とにかく、チームはもちろん、ファンの皆さんも"勝ち"に飢えていると思うので、勝利の瞬間を見に来てください。共に戦いましょう」

◎大畑バイスキャプテン

「国内最初の試合なので、なんとしてでも勝つ。新しいことにもいろいろ取り組んできたので、勝利はもちろんですが、内容にもこだわっていきたい。ぼく個人としても久々のWTBですので、自分に与えられた仕事をきちんとこなしていきたい。トライをさせずにトライを取ります。会場に来てくれるファンの皆さんのために、トライを取ります」

◎香港戦で初キャップとなる中林選手

「とにかく頑張ります。チームも国内初ゲームですし、自分のプレーを心がけチームの勝利に貢献できるよう頑張ります。フランス合宿、南米遠征からずっと調子はいいです。遠征中の試合に出られなかったことは悔しかったですが、これはまだ自分に足りない部分があるということ。この試合でアピールしていきたいと思います。地味ですけど、頑張ります。」

◎RWC2003のコンビとなる辻選手・廣瀬選手

辻選手

「日本代表を常に目標としてやってきたので、しっかり結果を出していきたい。日本最高のチームとして最高のパフォーマンスをして勝ちます。廣瀬さんとはワールドカップ以来のコンビですが、凄い楽しみです。ちっちゃいコンビでタックル頑張ります」

廣瀬選手

「南米遠征で培って来たことを発揮して、香港を圧倒したい。自分自身の調子はずっといいです。辻とはワールドカップ以来のコンビなので非常に楽しみです。ボールが良く動くテンポの速いラグビーでたくさんトライをとります。頑張ります」

◎小野澤選手

「久々のフルバックですが、自分自身はWTB・FBはセットプレーの位置だけだと思っています。一度、ボールが動けば、WTB・FBというポジションにとらわれずバック3でトライを取りにいくというイメージです。JAPANでも以前FBはやっていますし、問題ありません。僕の走りを観に来てください」

箕内キャプテン   大畑バイスキャプテン   中林選手
箕内キャプテン 大畑バイスキャプテン 中林選手

辻選手   廣瀬選手   小野澤選手
辻選手 廣瀬選手 小野澤選手

5月5日(木)

タックルからジャッカルまで
タックルからジャッカルまで

香港戦直前合宿3日目。本日も晴天に恵まれました。午前の練習前には、古田テクニカルより香港戦に向けた分析結果の報告があり、それに基づく対応策などを示すミーティングが行われました。このミーティングの中でキーワードとして『JAPANの20分』が掲げられました。このキーワードは、今までの試合を振り返ると後半20分まではゲームを作れているのに、最後の20分で得点を重ねられるケースが多いので、この時間帯にもう一度、気持ちを入れ直していくことで、最後まで勝負していく。JAPANのゲームをし続けなければならないということをあらわしています。これに加えて、キックオフ直後や、前半終了間際なども注意していこうとの意思統一が図られました。

ミーティング終了後の午前の練習は、

・ウォーミングアップ
・ボールプレゼンテーション
・モールの活用
・ジェネラルプレー
・クールダウン

で行われました。

午前中は、特にモールの活用の部分を重点的に行いました。フランスラグビーを取り入れることで、今までのラック主体のゲームからモール主体のゲームになることから、モールは攻撃を組み立てる上で非常に重要なプレーになります。

ここでは、"なぜモールなのか?"という基本概念から"モールからどのように組み立てていくのか?"という実践的な部分までを行いました。地域や時間帯を考えながら様々なシチュエーションを想定した練習となりました。

午後の練習メニューは、

・ウォーミングアップ
・タックルベーシック
・3対2、4対3のディフェンス
・ジェネラルディフェンス
・ユニット

(FW:スクラム・ラインアウト、BK:香港対策のDF・アタック)

という流れで行われました。特に"ディフェンス"にフォーカスをあてた練習となりました。

タックルにしっかりと入ること、タックルからジャッカル(ボールを奪う)まで、しっかりとした一連の動きで行うことを繰り返し行いました。その後、実際にアタックを付け、流れの中でディフェンスの入れ替えや、様々なアタックオプションへの対応などを行いました。6日は、いよいよ香港戦のメンバー発表です。香港戦まで後3日。

◎日本A代表から合流した木曽選手(ヤマハ発動機ジュビロ)

「今、取り組んでいるディフェンスに関しては、日本A代表から継続的に行っているので戸惑いはありません。今後、選手相互のコミュニケーションをとることにより、さらにレベルアップしていけると思います。サポーターの皆さん、応援よろしくお願いします」

練習直前のミーティング   実戦に近い形でのディフェンス
練習直前のミーティング 実戦に近い形でのディフェンス

踏み込んで前へ  
踏み込んで前へ

5月4日(水)

香港戦直前合宿2日目は、強風の中での練習となりました。グラウンド到着後すぐにミーティングが行われ、古田テクニカルよりフランス合宿から取り組んでいることの再確認、南米遠征の2つのテストマッチを終えてから見えた課題について等の説明がありました。

午前の練習は、

  ・ウォーミングアップ
・ボールプレゼンテーション

(様々なシチュエーションでボールをいかに扱うか)

・13対13アタックディフェンス
・ユニット FWスクラム BKサポート体系の確認
・クールダウン

以上のようなメニューで行われました。最後に行われたFWのユニットでは、エリサルド テクニカルアドバイザー(以下TA)から様々な局面でスクラムをどのように組んで行くか、8人それぞれの押す方向など、細かな指導がありました。日本代表の屋台骨 山村選手は「今回のエリサルド テクニカルアドバイザーのやり方は、ニュージーランドやオーストラリアとは異なりますが、組み込んで行くしかない。もっとコミュニケーションを取って行く必要がありますね。スクラムは奥深いですよ」と語ってくれました。

午後の練習メニューは、下記の通り。

  ・ウォーミングアップ
・ディフェンスベーシックスキル
・13対13、13対11のアタックディフェンス:コンタクト有り
・コンタクトフィットネス(タックルの連続からのゲームデザイン)
・クールダウン

ディフェンスベーシックスキルでは、ディフェンス時の立ち位置の確認が行われました。また、フロントタックルにおいては"前に出ること" "きちっと踏み込み一番強い形で正対すること"に重点を置き、コンタクトバックに激しくタックルをしていました。アタックディフェンスでは、ポイント周辺でのディフェンスの考え方やチームとしてディフェンスの形を統一することが目的でした。フルコンタクトということで激しい攻防が見られました。

日を追う毎に練習は激しくなってきていますが、箕内キャプテンが練習後に「まだまだやらされている。もっと自分たちから動いて行こう」と語ったように、より上のレベルで戦う意識が高まってきています。

明日からは、香港戦を見据えた練習も行われます。香港戦まであと4日。

◎萩本監督

「香港は、オーソドックスなチーム。パワーラグビー主体なのでこれを受けてしまうと後手を踏む。フランス合宿・南米遠征から取り組んでいる"仕掛けて動かす"をキーワードにファンの皆さんに今、我々が取り組んでいることをわかってもらえるようなラグビーをしたいと思う。私は、日本はアジアの中ではウェールズ・アイルランドのようなチームであるべきだと思っている。ただ勝つのではなく、しっかりとしたラグビーを見せないといけない。

南米遠征で悪かったことを修正し、進化させる。もっと個々人の責任の上に成り立つラグビーをしないといけない。一人一人が大人になってほしい」

前に出て踏み込み一番強い形をつくる   ボールプレゼンテーション
前に出て踏み込み一番強い形をつくる ボールプレゼンテーション

エリサルド テクニカルアドバイザー   ボールキャリアーには必ずサポートが入る
エリサルド テクニカルアドバイザー アタックディフェンスでは激しいプレーが

5月3日(火)

南米遠征を終えた日本代表が、いよいよ5月8日に控える「ラグビーワールドカップ2007アジア地区予選」対香港代表戦のため直前合宿に入りました。南米遠征での激戦の疲労も癒え、新たな気持ちで集合した日本代表は、さっそくトレーニングに入りました。南米遠征から合流しているフランス人テクニカルアドバイザー ジャンピエール・エリサルドも来日し、チームにフランスラグビーのエッセンスを引き続き注入します。

初日の3日は、ウォーミングアップ→サポートスキルの確認→14対12のアタックディフェンス→クールダウンというメニューで行われました。サポートスキルの場面では、フランス合宿・南米遠征から取り組んでいる『扉を破るのではなく、開ける』という考え方の再確認となりましたが、選手たちの意識も高く攻撃にサポートの厚みが出てきました。続いて行われたエリサルド テクニカルアドバイザーによるアタックディフェンスでは、練習前に『ステレオタイプではなく、創造してください』と話し、プレーヤー自身で考えて組み立てて行くという、より実戦に近い形での練習となりました。

いよいよ国内でのテストマッチシリーズがスタートします引き続き日本代表の応援をよろしくお願いします。

◎ジャンピエール・エリサルド FWテクニカルアドバイザー

「日本代表を指導することに関しては、確かに新しいことで戸惑いがあることは事実であるが、問題ではない。日本の選手たちの印象は、非常に真面目で我々のいうことを非常に良く理解している。しかし、良い部分であることが反対に作用することもあるのできちんと方向性を示していきたいと思う。

具体的には、誰が何をするかを決めるのではなく、ラグビーが持つ創造性を失わずにプレーヤーが演じなければならないことを意識づけること。例えると『馬に鞍を付けるような感じ』です。馬は鞍をつければ、きちんと走れるようになるでしょう。一つの方向性に向かっていくことが大切です。

私の仕事は、萩本監督が見て足りないこと、やりたいことをサポートしていくことであり、萩本監督の要望に応えることです。まだ一ヶ月しか見ていませんが、日本代表は一つの方向に向かっています」

充実した表情で練習に臨む山村選手   エリサルド テクニカルアドバイザーの指導にも熱が入る
充実した表情で練習に臨む山村選手 エリサルド テクニカルアドバイザーの指導にも熱が入る

バイスキャプテンの大畑選手   ボールキャリアーには必ずサポートが入る
バイスキャプテンの大畑選手 ボールキャリアーには必ずサポートが入る