ラグビーワールドカップ2007アジア地区最終予選 第1戦

11月18日、香港
香港代表
3
3-33
52
日本代表
0-19

ウォーミングアップを見守るJK ラインアウトをチェックする
ウォーミングアップを見守るJK ラインアウトをチェックする

18日、開幕したラグビーワールドカップ2007アジア地区最終予選。日本代表は香港代表と対戦。

試合日を迎えた日本代表は、午前中は基本的にフリーにし、各々カフェで読書をしたり、部屋でDVDを見たりとリラックスした時間をすごしました。午後3時に散歩を行い、体を徐々に起こしていきます。その後、炭水化物中心のプレマッチミールをとりエネルギーを貯めます。そして、テーピングを行い、直前ミーティングを行いました。ミーティングでは、太田GM兼HCが最初に「いよいよ今日、アジア地区最終予選を迎えます。いまここにいる26名は日本ラグビーを代表する最高のメンバーが集まっています。その中で今日ジャージを着る22名の選手たちにはそういう重みを持って戦うということを忘れないでほしい。しっかりとしたゲームをしましょう」とスピーチし、大畑キャプテンに「14」番のジャージが手渡されました。その他のメンバーには、大畑キャプテンからジャージが渡されていきます。そして最後に大畑選手が、「今日ジャージを着る22名は、ここにいる日本最高のメンバーを代表する22名ということを忘れずに、桜のプライドを持って戦って絶対に勝とう。圧倒しよう」と選手たちに語りかけ宿舎を後にしました。

会場到着後、ロッカールームで今日の課題やポイントを示し、その後ウォーミングアップを行い試合に向けて準備をしていきます。

4000人で埋まった試合会場 優位に立ったセットプレー
4000人で埋まった試合会場 優位に立ったセットプレー

19時、香港ボールのキックオフで試合開始。試合開始直後から日本代表は香港陣に攻め込みます。迎えた前半2分、ラインアウトモールで押し込みオライリーがトライを上げ日本代表が先制。その後も20分で試合を決めるという公約通り7分山本、13分オライリーがトライを上げ一気に突き放します。対する香港も接点での攻防を見せ、17分日本陣内で得たペナルティーからPGをSHが決め一矢報います。それでも、日本代表のペースは崩せず、終始日本ペースで試合が進み27分大野、32分オライリーがこの日3本目のトライを上げリードを広げます。迎えた35分、日本が誇る世界のWTBが羽ばたきました。自陣10mやや右付近のスクラムからSH伊藤がブラインドサイドを突破し、走りこんできたWTB大畑選手にパス。そのままWTB、FBを外に振り切り約50mを走りきってトライを上げ、テストマッチ通算トライ数の世界記録を更新し66としました。前半終了間際にSO沢木がPGを確実に決め33-3で折り返しました。

後半に入ると、序盤は香港のリズムに日本代表が合わせる形で一進一退の攻防が続きました。しかし、19分、香港陣22mライン付近中央やや左で得たスクラムからSH伊藤がパスアウト、走りこんだWTB小野澤が1ステップで相手を抜き去り左隅にトライをあげます。このコンバージョンを、前半はキックの調子が上がらなかったFB有賀がゆっくりとした間合いからしっかりと蹴りこみ成功。その後、31分にモールから変わったばかりのLO赤塚がトライ、有賀のゴールも連続成功。そして、39分この日初代表のFB有賀がブラインドサイドに走りこみ外にスライドするように相手をかわしダメ押しとなる代表初トライをあげたところでノーサイドの笛が高らかに吹かれました。結果的には、52-3、トライ数でも9-0で圧勝し、W杯出場権獲得に王手をかけました。

伊藤選手から大畑選手へのラストパス 52-3でノーサイド
伊藤選手から大畑選手へのラストパス 52-3でノーサイド

この試合、終始徹底していたのは、前に出続けるディフェンス。香港に日本陣の22m以内に攻め込ませなかった点は、大きく評価できます。1対1のディフェンスにおいても、PR西浦、HO山本、LO大野、両CTBの大西・吉田らがビッグタックルを連発。No.8箕内、FLオライリーなどは密集周辺で抜群の力を発揮し、ボールのリサイクルに務め、LOバツベイは、迫力ある突進で何度も好機を作りました。
課題であったラインアウトはHO山本とLO大野、FL木曽が中心となってほぼ完璧でした。スクラムもスクラムトライを狙うなどプレシャーをかけ続け、セットプレーで終始香港を圧倒した試合でした。バックスもタイトなディフェンスで香港にラインブレイクを許さず、日本が誇るバックスリーの大畑・小野澤・有賀が揃ってトライを上げるなど徐々にいい形が見えつつあります。
ただ、簡単なミスでチャンスの芽を摘んでしまった場面も多々あったのも事実です。後半、疲れが見えていた香港に対し、ペースアップできずに相手に合わせてしまったことも攻撃のリズムが単調になってしまった要因に挙げられます。次は、アジア最強のライバル韓国。JAPANスタイルで圧倒しワールドカップ出場を決めたいと思います。


◎初キャップ、初トライの有賀選手

「初のテストマッチをいい思い出にしようと思って臨んだ試合でしたが、そうはなりませんでした。ずっと日本代表を目標にしてやってきましたので、国歌を聴いたときには気持ちが高まりました。ただ、試合では普段どおりの気持ちでプレーできたのですが、キックやスペースを上手く使えるようなポジショニングを取るなど課題も残りましたので、しっかりと準備していきたいと思います。韓国戦は、今日のような試合にはならないと思うので、いいゲームにしたいと思います」


◎後半途中出場で初キャップを獲得した北川選手

「何もできませんでした。もっと積極的に行けばよかったところも、迷ってしまってラインが浅くなってボールをもらえなかった場面もありました。韓国戦にチャンスがあれば、落ち着いてトライを取れるように頑張ります」


◎激しいプレーを見せた西浦選手

「まだまだ相手のプレーに合わせてしまっている。常に安定した力を出せるよう韓国戦に向けて頑張っていきたい」


◎攻守の核、箕内選手

「ディフェンスが切れなかったのが、成果。次につながる締まったゲームでした。韓国は、油断できないし、絶対に負けられない相手。しっかりと準備して臨みたい」。