早稲田の偉業を阻む、古豪・強豪の大きな壁
司会: では、次のテーマ、「三連覇」にいきましょう。このハードルを越える使命があるような気がしますが、中竹さん、どうですか?
中竹: まわりは、そう言いますよね。過去二回優勝していないとチャンスはないわけですから。わたしは記録にはこだわりませんが、達成した時には先輩の方々には敬意を表したいと思います。ただ二連覇だろうが三連覇だろうが、常に全力でやろうと思っています。でも学生は、かなり意識していると思いますね。そのことでがんばる選手もいるので、彼らには毎日言い続けます。
村上: なんども三連覇を阻まれてきた春口さんは、どうですか。
春口: 同志社は三連覇しているけど、これまで三連覇に全部かかわった選手は、いないんじゃないですか? 今回、早稲田の場合、とても多いでしょう?
中竹: そうですね。公式戦では1、2年生は負けを知らないので。
春口: ウチもそういう時があったんですよ。慶応が百周年の年に、春はすごい点差をつけて勝ったのに、そしたら決勝でやられましてね。だから同志社には気をつけた方がいいですよ。ほかの大学に三連覇されちゃうと、自分たちの偉業が消えちゃう、という気持ちがすごくあるらしいから。だから早稲田は同志社にも慶応にも、気をつけた方がいい。なんか因縁があるような気がします。でも早稲田が2回戦で消えると、さみしいなぁ(会場ウケる)。
村上: でも、うれしそうですね。どうですか中尾さん、阻止しようという気持ちは?
中尾: やはりまわりが、いろいろ言いますからね。わたしは同志社の三連覇のあとに、憧れて入った一人ですから、当時のことは知らないのです。
中尾晃監督 (同志社大学)
中尾晃監督 (同志社大学)
司会: なかなか、勝つのがむずかしい時期でしたね。
中尾: はい、辛かった(会場に笑い)。
春口: 2回戦で早慶があたったら、注目が集まりますね。そうか、2回戦からお客さんがいっぱい来るんだ(会場に笑い)。
中竹: 同志社には、ウチが持っている慶応対策のビデオや戦略書は全部送ります(会場ウケる)。

 

ついに春口節が炸裂「ラグビーは、魂のスポーツ」
村上: 関東学院も順当にいけば、2回戦で東海大学と対戦ですね。
春口: 明日、早稲田とジュニアの決勝なんですよ。武村さんに一言文句を言いたい。なぜ(明日)関東第5代表を仙台でやらなきゃいけないんだ、と。日体が出るので、仙台に人を行かせようか悩んでいるんです。春にはセブンズで負けているし。だから(法政と一回戦で対戦する)福岡には法政のビデオを全部渡して、応援しようと思っているんですよ。でも1回戦で大丈夫なのは、早稲田だけでしょう。
中竹: そんなことないですよ。今日だって冷たい雨の中、モールの練習したんですよ。
春口: ボクも、練習してきました(会場に笑い)。
中竹: でもジュニアのメンバーをみると、必勝態勢のAチームじゃないですか?
春口: ウチは人がいないから‥‥。
村上: 部員が100人以上いるじゃないですか(会場に笑い)。
春口: このジュニアで勝つか負けるかは、全国選手権に影響します。だから、かなり入れ込んでいます。口だけでも勝っておこうかなと思って。
中竹: 明日の試合、早稲田はチャレンジャーの気持ちでいきます。
村上: 早稲田と関東は、今シーズン一勝一敗ですね。これまでは春と夏で勝った方が決勝も、ということでしたが。
中竹: ボクの一年目なんでチャンスを与えてくれたんですかね。
春口: いえいえ。清宮君がいないんで、ちょっと安心したのかもしれません(会場に笑い)。中竹さんは、悪くいえば「暗い」、よくいえば「地道な人」だと思ったんですが、ものすごく明るい人ですね。今、よっぽどフンドシを締めて、戦い方を変えなくちゃ、と思っています。東海も締め直して来るでしょう。明治と大東は、大東が有利かなと思ってます。
中竹: さらりと話題を変えましたね。
春口: やっぱりジュニアじゃなく、大学選手権の話をしようよ。
司会: 三連覇を阻むところというと、武村さん。順当にいけば準決勝で早稲田とあたりますね。
武村: 三連覇については早稲田が考えることで、我々には全く関係ありません。43回の歴史の中では、法政も何度か優勝しているんです。
村上: 武村さんも優勝メンバーですよね。
武村: ただ、準決勝には(法政という)大きな壁があるぞ、と言っておきましょう。その前に、わたしは東海と関東学院の二回戦に注目した方がよいと思いますよ。法政が負けた関東がでます。秋は関東が東海に楽勝しました。今回、東海大は春口さんが出身の日体大の仲間を呼んで、随分研究しているそうですよ。
春口: 日体大には、わたしが関東大学へ行ってから負けていませんから、まあ大丈夫じゃないかなぁ。東海に大差で勝った時はハートで勝ったと思っています。去年は負けているので、リベンジのつもりで戦いました。結局、ラグビーはハートですよ。ラグビーは魂のスポーツです。だから早稲田は、慶応には気をつけろと言っているんです。慶応はプロップは良かったが、スクラムが弱かった。早稲田はプロップがいい。走るし、ボールにからむしね。全大学のなかで一番いいのは早稲田の1、2、3番だと思います。慶応がどれだけスクラムを立て直せるか。そこが大学選手権のポイントになってくる。ただし残念ながら、スクラムは一ヶ月やそこらでは強くならないからなぁ‥‥(会場 どよめく)。
会場は大崎ゲートホール
会場は大崎ゲートホール

 

トーナメントを盛り上げる注目選手を紹介
司会: キリがよいところで、「注目の選手」を紹介してもらいます。まず早稲田。
村上: キーマンは矢富選手ですね。
中竹: たぶん誰がみても脅威ですね。それから、隠れエースがいるんです。ナンバー8、林です。ディフェンスは一流の力を持っています。以前はキープできないし、彼には「試合ではボールを触るな。とにかく邪魔はするな」と言っていたんですが。最近はボールを持ってゲインもしますし、まあ、いわゆるラッキーボーイですね。
司会: 関東学院はどうですか?
春口: ウチは2番の田中です。スローインもしますし、スクラムの中心です。ただどういう訳か‥‥言っちゃおうかな。レフリーににらまれている‥‥。レフリーとの解釈の違いで、悩み続けているんです。試合中に泣くんですよ。「悔しい。なぜ!」と。納得できないことがあっても、「我慢しろ、我慢しろ」と言いながらここまできました。注目している選手は早稲田の畠山です。去年、ウチのフランカーからボールを奪いとったんですよ。それが致命傷になった。去年は清宮監督が「ウチは矢富だ」と言うので、だまされちゃったんですよ。
中竹: 練習中、うちのフォワードは、毎日「田中、田中」と言ってマークしています。好きなのか嫌いなのかはわからないですけど(会場ウケる)。
春口: 田中が、それに耐えられるかどうか勝負ですね。田中はとても責任を感じているんです。しょうがないから「お前の責任じゃない、原田の責任だ」と言っておいた。原田は「えっ、オレですか?」とビックリしてましたが。でも畠山は、いずれサントリーに入っちゃうんでしょうね(会場に笑い)。
司会: 同志社の注目は?
村上: 深澤選手は、ご両親が会場にいらっしゃると聞いたので選びました。
中尾: どうですかね。まだ誰が試合に出るかわからないので。ちょっと悩んでいます。今年はケガとかノロウィルスとか、ナンヤカンヤ、いろいろあるんで。
司会: さて法政です。
村上: スクラムハーフの成田選手、関東学院との試合ではすごかったですね。スタンドオフの文字君は、U19に行っちゃうのですか(U19日本代表はU19アジア大会に出場するため12月14日から23日まで台湾へ遠征)。
武村: 日本のラグビーの発展も考えなくてはいけないので、協力することにしました。2回戦に出すかは、帰ってから考えます。
武村秀夫監督(法政大学)
武村秀夫監督(法政大学)
司会: それ以外の注目選手を村上さんにあげてもらいました。
村上: 大阪体育大のスクラムハーフ、金選手は強いですよ。
中竹: 非常にいい選手ですね。声もだすし、リーダーシップもある。代表を狙えるぐらいですね。
司会: そして京都産業大学のスクラムハーフ、田中選手。明治大学では日和佐選手。さらに慶応大学から山田選手(7人制日本代表のメンバーとして、ドーハのアジア大会に出場。12月11日に金メダルを獲得)。
村上: 彼の才能はすごい。
春口: 何をやるかわからない。ボディコントロールもいい。今すぐ、ジャパンでもいいと思います。

 

会場のお客さんの質問に答えて
司会: 最後に、会場のみなさんか質問をいただいております。まず、「この選手がウチにいてくれたら、と思う選手は?」という質問です。
武村: 早稲田の1番と3番です(笑)。
中竹: わたしは法政の3番、山内ですね。彼のタックルにはしびれました。ずっと法政を応援してました(笑)。
春口: ボクも法政を応援していました。欲しい選手は早稲田の畠山かな。やっぱりラグビーは3番からでしょう。3番がいいと最前列がピシッと組める。うちの原田が(畠山選手を)めざしてくれればいいなと思います。まだ2年生ですから。
中尾: わたしも、やっぱり早稲田の一列目ですかね。
春口: みんな正直なところ、そうなんですよ(会場に笑い)。
司会: 次の質問です。「春口監督へ、中竹監督は清宮さんを超えられるでしょうか」。
春口: 早稲田の監督は、比べちゃいけない人ばっかりなんですよ。でも中竹さんは超えなくちゃいけない。それじゃなきゃ、クビになっちゃう(会場に笑い)。任期をまっとうしたら、超えたことになるでしょう。
司会: 「ゲン担ぎはありますか?」という質問です。
中竹: あったらいいなと思うのですが、無いですね。
村上: ジャージを渡すときは、どうですか?
中竹: それは監督それぞれのやり方がありますね。ボクはジャージとお守りを塩で清めて、選手にひと言かけて渡しています。
春口: ジャージ渡しの時に、ウチの場合はキリスト教なんですが塩をまきますね。それがゲン担ぎかな(会場に笑い)。個人的には、白いパンツを履くとか。でも忘れるぐらいですから、その程度です。法政は部屋を真っ暗にして、ジャージを渡すと聞いて、「宗教近いなあ」と思いましたね。
司会: 中尾さんは何かありますか?
中尾: わたしも同じワイシャツを着たりしますが、コレといって無いです。ジャージ渡しも、かしこまったカタチはないですね。
武村: 春口さん、法政はジャージ渡しでは、真っ暗にはしませんよ。チームの決まりとして、グラウンドへ出る時、真っ暗なロッカーから出て行く、ということです。この前、東海大学に負けた時に、いつもは白なのに下着がグレーでした。関東との試合では、絶対に白でいきます。わたしの場合は、ゲン担ぎというより、宗教的行事ですね。願いをそこに向ける、ということです。私の父も法政の監督をしていたので、試合前には墓参りをします。OBの方も何人か、ウチの墓地で眠っていますから(会場に笑い)。
司会: みなさん、大学選手権の時は白いパンツの武村監督を想像してご覧ください。そろそろノーサイドが近づいてきました。ありがとうございました。
最後は、お楽しみプレゼント抽選会
当選されたお客さんと記念写真
当選されたお客さんと記念写真
トークバトルは無事終了。最後は、抽選で4人の監督から、それぞれの大学にちなんだプレゼントが手渡されました。賞品は早稲田・関東学院・同志社・法政の各大学から、そしてNHK、当協会からの提供です。当選された方は、おめでとうございました。また雨のなか、来場された皆さま、ありがとうございました。今回の大学選手権大会も、ぜひお楽しみください。