準決勝2試合目は、総合力で勝る早稲田大学がFW戦を挑んだ京都産業大学を退け6年連続で関東学院大学との決勝戦(1/13国立競技場)に進んだ。

京産はキックオフ直後にSO曽我部のタッチキックをチャージするなど早い出足で早稲田を苦しめ、10分にはWTB江藤がインターセプトから先制トライしてスタンドを沸かせた。しかし20分過ぎから徐々にペースを取り戻した早稲田は、25分敵陣ゴール前ラックのチャンスに曽我部からWTB菅野への3人飛ばしのパスで初トライ。36分にはラインアウトからLO後藤主将が大きくゲインした後の左オープンでCTB谷口が粘り、PR畠山のトライに繋げた。さらに39分にもラインアウトモールでトライを追加した早稲田は、17-7とリードして前半を終えた。

前半は京産のペースに合わせてしまった感がある早稲田だが、後半は始めからテンポを上げて攻めた。3分に右サイドのスクラムからブラインドを攻め、その後のラックからSH矢富が持ち出し大きくゲインした後、畠山が2つ目のトライ。8分には京産のノータッチをFB五郎丸がクィックスローイン、再び矢富のランからWTB早田がトライ。17分にも連続攻撃から矢富→早田でトライと京産を振り回した。ブレイクダウンで人数をかけずにボールを出し、FL豊田や走力豊かなPR陣も攻撃参加の機会が増えた早稲田は、32分谷口と代ったCTB長尾、38分菅野、40分早田とBKが次々にトライを追加した。この日矢富は積極的にボールを持って走り、早稲田の後半6トライ中4つに絡む働きぶりだった。

京産は後半にも、スクラムでのターンオーバーから連続攻撃でFL山田がトライし、関西2位の意地を見せた。FWがボールキープしWTB徐のキックで前進というスローな戦い方で時間を使いたかったが、ボールを動かし始めた早稲田には付いて行けず、関西勢久々の決勝進出は第2試合でも叶わなかった。(米田太郎)

早稲田大学 55-12 京都産業大学 早稲田大学 55-12 京都産業大学 早稲田大学 55-12 京都産業大学
 

大西監督(中央)、ミルステッド ヘッドコーチ(左)、小西キャプテン
大西監督(中央)、ミルステッド ヘッドコーチ(左)、小西キャプテン

 

早稲田大学 55-12 京都産業大学(1月2日)

◎京都産業大学
○大西健監督
「早稲田に勝つにはFW戦で勝つしかないと臨みましたが、接点のところで早稲田さんの粘り、集中力に翻弄されたゲームでした。ラインアウトも研究されていました。小西キャプテンも後半最初まで頑張ってくれましたが、2ヶ月本調子でなく、選手権初先発というところで厳しかったと思います。BKも差がありすぎました。我々は若いチームですので、これから頑張っていきたいと思います。FWは、3回生がほとんどですので、BKを鍛えて、勉強させてFWの優位を生かすチームにしたいと思います」

○クリス・ミルステッド ヘッドコーチ

「今日はどうもありがとうございました。前半20分は予定通りで、結構、早稲田にプレッシャーをかけられましたが、残りの10分くらいでミスが多く痛かったです。ハーフタイムまでは接戦でいけると思いましたが。後半はうちのデコイの動きが多すぎて、ラインアウトが取れませんでした。でも、今年の京産の選手は初めて国立に出て、頑張りました。来年も国立に出て勝てるように頑張りたいと思います」

○小西賢一キャプテン
「ありがとうございました。皆、法政に勝って満足するのでなく、勝ちにいこうと言い合って臨みましたが、さすが王者はパスも速く接点も強くて完敗です。(スクラムは)テレビで見たよりも、たいしたことはなかったです」

早稲田大学 55-12 京都産業大学 早稲田大学 55-12 京都産業大学 早稲田大学 55-12 京都産業大学
 

中竹監督(左)、後藤ゲームキャプテン
中竹監督(左)、後藤ゲームキャプテン

 

◎早稲田大学
○中竹竜二監督
「やはり、予想通り京産大はFWにこだわって来ました。我々も20分位はまってしまい、意識していましたが、ああいうモールでじわじわ来られて、受身になってしまいました。準決勝ですので、そのくらいタイトな相手だと考えていたとおりでした。自分たちのテンポにできない、うちが『行かれる』パターンとして一番つらいと予想していた通りの試合でした。ただ、前半の最後に早稲田のペースにできて、3トライ獲れたので乗っていくことができました。ディフェンスやブレイクダウンで課題が残りましたので克服していきたいと思います。
(点数をつけると)前回6割ですので、準決勝8割といいたいところですが、7くらいです。決勝までで残りの3割を埋めていきたいと思いますが、並大抵の練習じゃダメです。このチームは一戦一戦強くなるチームです。決勝も同じです。一つの試合にすべてを賭ける、命を賭ける、身体を張る、そういう気持ちで戦っていきたいと思います。決勝では今シーズン初めて東条キャプテンとバイスキャプテンが揃います。今年のベストゲームにしたいと思います」

○後藤彰友ゲームキャプテン
「前半20分、相手のペースで自分たちのプレーができませんでしたが、立て直す力が付いてきました。前半の残りと後半の入りは良かったと思います。中竹さんから、『チームトークの精度を上げろ』といわれて、どこが悪かったかを短時間で正確に指摘し、実行できるように練習時から時間をいただいてきましたが、その成果を出せたと思います。今日は自分たちのペナルティから自陣に釘付けになり、中盤でだらだらモールを押されたので、絶対反則せず、敵陣でやろうと修正できました。僕らはこの決勝目指してやってきました。春負けた悔しさは、まだ残っていますので、次に勝たないと僕ら4年生は報われないし、優勝して初めて肯定されるので、そういう意気込みで戦いたいと思います」