第43回 全国大学ラグビーフットボール選手権大会準決勝。関西から2大学が進出したのは13年ぶり、大阪体育大学は、実に17年ぶりのベスト4進出である。関東学院大学は、9年連続決勝に進出しており、大体大が、関東学院にどのような勝負を挑むのか、注目の一戦である。

前半7分。大体大は自陣ゴール前でオフサイドの反則。関東は迷わずスクラムを選択し、スクラムで大体大にプレッシャーをかけ、NO8土佐がトライ。
その後、大体大も反撃し、前半10分から約15分間、FW、BKが一体となって関東学院のゴールに迫るが、肝心の場面でのノックオンや、ラインアウトのキャッチミスがあり、なかなかゴールを割ることができない。ようやく27分、関東学院陣内10mでのラインアウトからモール、ラックで連続して攻め、関東学院のハンドの反則を得る。ここで15番、松岡がペナルティーゴールを決めて3点を返す。
しかし、関東学院は、31分。大体大陣内でのラインアウトから、左右にサイド攻撃を繰り返し、3番の原田がトライ。さらに、前半終了間際の38分、大体大のタッチキックミスを15番山下がカウンター攻撃、これをSH吉田、SO藤井、WTB中園と繋いでトライ。大体大を突き放し、前半を15対3の関東学院リードで終了する。

後半に入ると、関東学院はさらに得点を重ね、5分には大体大陣、22mでのラインアウトから、FW、BKによる連続攻撃、またもや3番原田がトライ。12分には、キック攻撃の応酬の後、BKのオープン攻撃から大体大のゴールに迫り、最後はSO藤井がトライをする。37分には、ハイパントキック後の競りあいから、ボールがWTB中園に渡り、ゴール右隅にトライ。34対3で関東学院の勝利となった。
大体大は、SH金のサイド攻撃や速攻により、FW、BKが一体となって懸命に関東学院のゴールを目指すが、終始、スクラム、ラインアウトなどのセットプレーでプレッシャーをかけられ、肝心な場面でのミスがあるなど、残念ながら関東学院のゴールを割ることができなかった。

大阪体育大学 3-34 関東学院大学 大阪体育大学 3-34 関東学院大学 大阪体育大学 3-34 関東学院大学
 

坂田監督(左)、平瀬キャプテン
坂田監督(左)、平瀬キャプテン

 

大阪体育大学 3-34 関東学院大学(1月2日)

◎大阪体育大学
○坂田好弘監督
「我々は15人だけでなく、残っている選手皆のチーム力で勝ちあがってきたチームです。しかし、個々の力を持っている関東学院さんに破られたゲームでした。関東さんのパワーに通じなかったのは残念です。個々に劣っていてもチームで勝てることを証明したいと思います。スクラムもラインアウトも落ち着いて、それから今年のテーマである『接近、突破、連続』をしようと試みましたが、今日は突破するチャンスが少なかったと思います。今シーズンはある程度のレベルへ行ったので、来年広げていってどんなチームにも『接近、突破、連続』できるチームにしたいと思います。関東さんは想像以上に速く、ディフェンスも圧力があるので、こちらの速いテンポにできませんでした。今日のところは力の差だと思います」

○平瀬健志キャプテン
「今日の試合の大きなテーマは『ディフェンスで低く刺さる』でしたが、関東さんの大きなFWにゲインラインを破られて、後半はFWの圧力に負け、思うようにいきませんでした。4回生の多いチームでしたが、後輩に良いお手本を見せることができましたので、次は後輩がやってくれると信じています。関東さんのラグビーはポイントで一人一人が圧力をかけて来るので、ブレイクダウンでそれを受けてしまったのが敗因です」

大阪体育大学 3-34 関東学院大学 大阪体育大学 3-34 関東学院大学 大阪体育大学 3-34 関東学院大学
 

関東学院大学の春口監督(左)、吉田キャプテン
春口監督(左)、吉田キャプテン

 

◎関東学院大学
○春口廣監督
「満足のいくゲームだったと思います。ここへ来てラインアウト、スクラム、ラック、モールすべてでプレッシャーをかけ続けてノートライに抑えられました。今シーズン一番良いラグビーができたんじゃないかな。もう一歩、13日に向けて最後に調整しますが、良い勝利でした。藤井にはとにかくお前の好きなようにやれ、4年間、この日のために練習してきたんだろうと伝えました。SOに一番大切な『ひらめき』を出してくれたゲームでした。そこに、これまでプレッシャーを私がかけすぎていたのかな。
(10年連続の決勝進出について)あー、もう本当に10年連続はこれまでの選手たちの力のおかげですが、5年(連続)のとき、10年いきたいなあと思いました。今日は15年(笑)。図々しいですかね。今日の力ならいけそうですね。関東にとってこういう重要な記録の中で、彼らが誇りに思ってくれて、そして伝統になってくれたらと思います。山下が言っていましたが、『僕ら国立でやるために関東に来た』って。吉田キャプテンもそうですが、そういう気持ちで来て、こういう結果を出してくれたんですね。
(どんな決勝戦か)まだ、第二試合が終わっていないんで、なかなか言いづらいのですが、6月、8月とやってきて、口にこそ出さないけれど、みんなの気持ちはそこにあります。もう、言っても良いでしょう。早稲田大学と決勝でぶつかって、最初の一本、パワーでがちっといきたいですね」

○吉田正明キャプテン
「FW戦になると思っていましたが、FWがしっかり頑張ってくれました。関東の良い試合ができました。チーム全体でノートライに抑えられたのが、一番良かったんじゃないかと思います。前半は、自陣ゴール前で全員で集中して止めようという意識があり、皆しっかり粘ってくれました。あそこで、相手がタッチに蹴ってくれたので、もう一度リセットして一からやり直すことができました」