前半は失トライ1とディフェンスで粘った日本代表だったが、後半運動量が落ち、タックルも甘くなったところをジュニア・オールブラックス(JAB)に衝かれて完敗した。前節ですでに優勝を決めていたJABは、今年から豪州Aが参戦した大会を、前年に続き全勝で締めくくった。

昼過ぎから雨が落ちてきたが『チャレンジ!ジャパン!』などピッチ上でのイベントも予定通り行われ、日本SO安藤がキックオフする時には、仙台で果たせなかった勝利を信じる多くのファンが秩父宮を赤く染めた。JABには南半球スーパー14で活躍する選手達が勢揃い。そんな相手に対して日本は早めにタックルに入り、オフロードパスも許さない。ブレイクダウンではFLマーシュと渡邉、NO8マキリらを中心に激しくファイト。キックを使わずボールを繋いできたJABを抑え、5分には安藤が先制PG、10分のPG機は逃すも、32分にJAB SOブレットにPGを返されるまで多くの時間をJAB陣で戦った。しかし決定的な場面を作るには至らず、ついにトライは奪えなかった。前半終了間際には、日本のタッチキックを取ったJAB FBハミルトンのクィックスローインをWTB小野澤がカットして前進したが、スタンドが沸いた次の瞬間にJABのカバーディフェンスに追い付かれ、ラックでPKを取られた日本はこの日最後の好機を逃した。

FWが疲労してきた日本は後半、4分に連続攻撃からJAB CTBツイプロツにトライを許すと、直後のキックオフリスタートからWTBウルフに大きくゲインされ、ブレットにノーホイッスルトライを決められる。日本はその後も17分、24分、32分、39分、41分と計7トライを奪われ、サモア戦同様、前半の1PGのみと沈黙してしまった。

JABは前半こそ日本の抵抗に遭い苛立つ場面が見られたものの、ワールドカップでのオールブラックス(NZ代表)入りを狙ってモチベーション高い選手たちが、同国トップクラスのプレーを日本のファンに見せつけた試合となった。

試合後は、初の試みとして『ファンファンクション』(日本代表選手とファンの交流会)が場内で開催され、春先からハードな練習と試合を続けてきた代表選手達はファンの労いを受けた。この後日本代表は、8月の壮行試合(秩父宮でのナイトゲーム)を経て、いよいよワールドカップへと向かっていく。(米)

IRBパシフィック・ネーションズカップ TOSHIBAジャパンラウンド

日本代表 3-51 ジュニア・オールブラックス   日本代表 3-51 ジュニア・オールブラックス   日本代表 3-51 ジュニア・オールブラックス

日本代表のジョン・カーワン ヘッドコーチ
日本代表のジョン・カーワン ヘッドコーチ

大野均ゲームキャプテン
大野均ゲームキャプテン

日本代表 3-51 ジュニア・オールブラックス(6月24日(日)14:10 at東京・秩父宮ラグビー場)

◎日本代表

――前半はよかったのに、後半は崩れましたが。
○ジョン・カーワン ヘッドコーチ

「前半はハーフタイムに非常に満足して入れましたが、ラインの機能と1対1でのタックルが課題でした。後半のはじめに1対1のタックルを外され、思うように走られてしまいました。修正点としては、80分間続けてプレッシャーをかけることと、1対1のタックルの精度を上げることです」

――後半、どうしてうまくいかなくなったのでしょうか。
○大野ゲームキャプテン

「今日に関しては、ジャパンのディフェンスに対して、JABが後半対応して合わせて来られたと思います」

――先週のサモア戦と比べると。
○大野ゲームキャプテン

「フィジカルな部分については、サモアと大差なく耐えられましたが、ハンドリングスキルというか、パスを放るスキルにやられたと感じました」

――ワールドカップに向けて、選手の能力は高くなってきたのでしょうか。
○カーワン ヘッドコーチ

「まず、ターゲットどおりに向かっています。局面、局面では対応できているので、後はプレッシャーの下でやれるかという問題です。また、最後までアタックを終わりきれないところがあります。しかし、パシフィック・ネーションズ・カップでは、これまででベストの出来でした。JABは他のチームからも50点取るチームですから」

――サモア戦からトライが獲れていませんが。
○カーワン ヘッドコーチ

「(日本語で)がまん(笑)。まず我慢することです。今日のラインブレイクは良かったし、リードも良かった。最後まで我慢し切れなかったのが問題です。そこで、我慢できたらフィニッシュまでもっていけたのは見えています」

――後半はノートライでしたが。
○カーワン ヘッドコーチ

「今はゲームマネジメントを勉強しているところですが、後半の最初の20分が良くなかった。常に敵陣でゲームをしていくことが大事です。今後はアタックを敵陣で進め行きたいと思います」

――ワールドカップでは2勝できますか。
○カーワン ヘッドコーチ

「PNCでは、ベストを尽くしてジャパンのスピリットをお見せすることができてハッピーです。本来、サモア、フィジー戦は勝つべき試合でしたが、結果をネガティブに捉えず、ポジティブに受け止めています」

――後半、選手が疲れているように見えたが、サモア戦の疲れが残っているのですか。
○カーワン ヘッドコーチ

「イエスと答えれば、言い訳になります。テストマッチは1週間ごとに1回のこのレベルです。ワールドカップではもっとタフな試合が続きます。前半競った試合を後半もできるように、ゲームマネジメントとメンタルタフネスを高めていきます」

日本代表 3-51 ジュニア・オールブラックス   日本代表 3-51 ジュニア・オールブラックス   日本代表 3-51 ジュニア・オールブラックス

ジュニア・オールブラックスのコリン・クーパー コーチ
ジュニア・オールブラックスのコリン・クーパー コーチ

ジュニア・オールブラックスのダニエル・ブライド ゲームキャプテン
ダニエル・ブライド ゲームキャプテン

◎ジュニア・オールブラックス
○コリン・クーパー コーチ
「ジャパンは最初の40分間の出来が良く、苦しい試合でした。特にボールハンドリングのエラーから苦しみました。ジャパンはボールに対してのアタックが強いので、その対策をハーフタイムに指示したのが良かったと思います」

○ダニエル・ブライド ゲームキャプテン
「ジャパンのアクションが早く、非常に苦労しました。特にタックルがものすごく厳しくて、ラインアウトでも後手を踏みました。グレン・マーシュ選手の突進やスローインに対しての反応の早さ、ブレイクダウンでのスロウダウンが特にすばらしく、苦しみました」

――後半への指示はどんなものでしたか。
○ブライド ゲームキャプテン

「ハーフタイムにコーチから指示されたのは、前半のペナルティの多さで、ボールを早く出してペナルティを少なくしようというものでした」

――日本で優勝セレモニーを受けた感じはいかがでしたか。
○ブライド ゲームキャプテン

「先週厳しい試合でしたので、多くの皆さんに祝福されエキサイトしました」

――ハカを試合後にやったわけは。
○クーパー コーチ

「ご存じのとおり、ハカはオールブラックスとマオリ・オールブラックスのためのものです。うちはちょっと低いレベルのチームです(笑)。でも、選手たちが、勝ったことだし、日本の皆様に見てもらいたいとやったのでしょう」

――このチームからワールドカップに行く選手は何人くらいいますか。
○クーパー コーチ

「この試合no.3のキャンベル・ジョンストンとキャプテンを務めたダニエルが上がれるのではないかと思います。私はオールブラックスのコーチも兼任していますので、おそらく、そういうことになると思います」

試合後の表彰式で森会長からメダルを受け取るジュニア・オールブラックス
試合後の表彰式で森会長からメダルを受け取るジュニア・オールブラックス