新春快晴の国立競技場での大学選手権第2試合は対抗戦1位の早稲田大学と2回戦で筑波大学を接戦で破った上り調子の帝京大学との戦いとなった。この日早稲田はゲームリーダー五郎丸が欠場、バックス陣は1、2年主体の若いメンバーで臨んだ。

前半早稲田が風上、前半開始10分、帝京のBKライン突破役のNo.12山田が負傷退場し、No.20内田と交代、その後12分早稲田敵陣右ゴール前にて帝京キックをチャージし、帝京FWを集散させてのラック形成、早い球出しで左BKオープンをワイドに展開しNo.13がトライ、No.9がゴール成功0-7。
前半28分帝京のFWが中央左を縦攻撃からゲインし、BKが速攻にて右オープン展開し、早稲田ディフェンス網の隙をつきNo.14トライ、ゴール失敗5-7。
この後、早稲田がたびたびチャンスをつくり攻撃を仕掛けるが、帝京の激しいタックルに阻まれトライに至らず、帝京:早稲田、5:7にて前半終了。

後半、帝京は開始早々から約15分間早稲田を自陣に釘付けにし、FW、BK一体となり集中攻撃、途中ゴール前での早稲田反則にてPK得点機会を得るがあくまでトライを狙いにいく。この間早稲田はチーム一丸の防御にてひたすら堪える。
後半17分、早稲田右敵陣ゴール前ラインアウトからの反撃の機会を得てFWのモールにて押し込みNo.2トライ、ゴール失敗、5-12。
この後も帝京の最後までチームの集中力を切らさない攻撃に対して、早稲田は厳しいディフェンスにて凌ぎ、このままいずれも追加得点が無いままノーサイド。
帝京は早稲田の若手BKにプレッシャーを掛け続け、早稲田にチャンスを作らせず、チームとして最後まで集中し健闘したことは来年への大きな成長となるはず。
早稲田は今季一番の苦戦を強いられたが、後半の鉄壁のディフェンスで接戦を乗り越えたことは、決勝に向けての大きな自信へと繋がることだろう。12日の慶応との決勝戦が楽しみである。(高野 敬一郎)

帝京大学 5-12 早稲田大学   帝京大学 5-12 早稲田大学
帝京大学 5-12 早稲田大学(1月2日、準決勝 at国立競技場)

帝京大学の岩出監督(左)と、堀江キャプテン

帝京大学の岩出監督(左)と、堀江キャプテン

◎帝京大学
○岩出雅之監督
「善戦で終わらず、勝利をものにしようと自信を持って臨みました。試合開始早々、選手が怪我をしたのは残念でした。しかしながら、力はしっかり出し切れたのではと思います。勝負所でトライが獲れなかったのがこの得点差になったと思います。もう一歩だった今日の気持ちを、4年生は忘れないでほしいし、下級生はこれをお手本に来シーズン頑張ってくれると思います」

――早稲田の分析は。
「まず、一年生は早稲田のゲームの仕組み、パターンに染まっていないと思いました。ファーストフェイズからの一年生の動きで、軽くプレーしてくれればゲーム展開が面白くなると思っていました。また、豊田くんがタテを突いて来るので、しっかり叩こうと。相手の名前に負けずに戦えば必ず勝機は我にあると。ファースト、セカンドフェイズできっかけをつくらせなければ、とねばり強いディフェンスができました。早稲田は数のディフェンスはしっかりしてきますが、個々のタックルはそれほど強くない。そこで、ダイナミックなラックを考えました。しかし、早稲田さんは球際でのボールの殺しがうまかったと思います」
(最後にマイクを取って)
「対抗戦の敗戦で、選手たちははねつけられましたが、早稲田さんに引っ張り上げてもらった部分もありました。力の差はない、やればできるという自信を持ってくれたと思います。対抗戦のベスト4の他の2チームにも見習うべきところが多々ありました。来年度は若いチームですので、そこに挑戦し続けて早稲田を倒すチームになってほしいと思います」

○堀江翔太キャプテン
「対抗戦で早稲田に負けてからディフェンスを意識してきました。試合に負けたのは満足していませんが、自分たちがやれたことには満足しています。来年、必ず早稲田に勝つ、自分たちがやったことを後輩たちが、残りのメンバーが必ず継承してくれると信じています。胸を張って帰ります」

――試合は?
「ディフェンスがうまくいったと思います」
――4年間で一番点差が少なかったが。
「圧力、ブレイクダウンの部分をしっかりして、FWが互角のプレーをすれば、次は勝てるかなというところまで来ました。ディフェンスはやっていればレベルが上がるので楽しみです」

帝京大学 5-12 早稲田大学   帝京大学 5-12 早稲田大学

早稲田大学の中竹監督(右)と、権丈キャプテン 早稲田大学の中竹監督(右)と、権丈キャプテン

◎早稲田大学
○中竹竜二監督
「今日の試合は、おそらく権丈のチームになって以来の一番大きな壁だったと思います。その中で責任を果たす、すなわち勝つことができたのは良かったと思います。春からAチームで頑張ってきたメンバーを欠く中で、この試合を乗り越えて、さらに進化してほしいと願って送り出しました。帝京さんのエリアマネジメントが良く、帝京さんのやりたい地域で試合してしまい、近場でトライが獲れず、初めてのロースコアになりました。原因はチャンスで、つながなくて良いところでつないでしまうイージーなミスで獲り切れなかったこと。ディフェンスではタックルで飛び込んでしまったことです。次の試合が最後ですので、いろいろな経験ができて良かったと感じています」

――五郎丸君の欠場は?
「怪我です。本人も出たい、メディカルからも出して良いと言われましたが、万全な行ける人を出そうと。いつも判断する五郎がいなかったことで、競った中でエリアを考えて、自信を持ってどこで何をやるか、経験できなかったことをやらせたかったので、選手は辛かっただろうが、乗り越えないとと思いまして。反省と自信になると思います」
――慶應が決勝の相手ですが。
「明治も帝京も慶應も、対抗戦で完敗して目の色を変えてやっています。相当な成長を見せています。慶應さんはガラッと変えて、本来の慶應らしさを出していると思います。ただ、詳しく分析はしていないので、あまり相手に合わせることなく当初のプランどおり戦っていきたいと思います」

○権丈太郎キャプテン
「このゲームに入るに当たって、怪我人が多くリーダーがいない、Aチームとしてはほど遠いメンバーになって、選手一人一人に早稲田の責任を問いただして送り出しました。BKに若い選手が多く、FWで圧倒しようとしました。ブレイクダウンでは優勢でしたが、獲りきれなかったのがこういうゲームになった原因です。しかし、ディフェンスで抜かれることはなく、焦りなどはまったくありませんでした。正直なところ、決勝をやっと戦えるという気持ちです。今年、唯一経験していないロースコアでの競り合ったゲームもできて、すべての準備が整った、あとはやるだけです」

――五郎丸君は?
「まあ、いつもの試合では五郎丸がサインを出したりする司令塔なので、今日は田辺、三井さん、山中に任せて臨みました。ミスチョイスしてしまって、いつもならゲインできたところでゲインできない、前半はあまり前へ行けない、いつもの形とかリズムに乗れないことがありました。改めて五郎が精神的な柱だと感じました。しかし、彼を欠いても大丈夫でしたし、他のメンバーもプレッシャーを感じていて、いつも以上の力を出してくれました」

――慶應相手ですが。
「やっとここまで来れた。去年負けて、この1戦のためだけにやってきて、思い切り試合したいです。すべてのことをやり終えました。もう、何が起こっても大丈夫です」