HSBC アジア五カ国対抗

ジャパンは2年ぶりの花園ラグビー場

日本代表が2年ぶりに花園ラグビー場に戻って来る。前回はちょうど2年前、2006年の5月、対グルジア戦で大畑大介選手が世界記録の65トライをあげた時。あれから、フランスワールドカップを経て、カーワン・ヘッドコーチ2年目のジャパンが、今年はどういう試合展開を見せてくれるのか。

太田GMは、明日の目標は「スピード、クイック、インテリジェンスの3つを使って、ノートライで圧勝すること」。一方、カーワン・ヘッドコーチは、「80分間のディシプリン(規律)の維持」を到達点に挙げる。先週の韓国戦では、後半にパフォーマンスがダウンしただけに、今回は「80分間の戦い」の重要性を強調している。

注目のバックライン

まず、注目されるのはスタンドオフのアレジ。日本でのテストマッチ出場は明日でまだ2試合目。キック、パスの妙に変幻自在のランプレー。精悍なマスクもあり、早くもファンの間で人気が出てきている。今シーズンのジャパンで最も注目される選手のひとりだろう。韓国戦で初キャップのSH佐藤貴志とのコンビに期待がかかる。

アレジのパスワークを受けるベテランの大西将太郎、若手の今村雄太の両CTBにも注目したい。日本代表の攻撃の要になるのがこの3人。さらに外のウイングには、ベテランの小野澤が左に、韓国戦で初キャップの吉田大樹が右サイドにつく。フルバックは安定感のあるブライス・ロビンス。

明日は、スピード感ある攻撃的バックスラインが楽しめそうだ。

箕内と大野が引っ張るフォワード陣

フォワードの平均体重は106.8キロで、アラビアンガルフ(105.6キロ)とほぼ互角。現在のスコッドで最多キャップの箕内(41キャップ)と大野(25キャップ)が若手をリードする。この2人を除くと6人のフォワードが合計で23キャップという数字を見ても、いかに今回のジャパンのフォワード陣が新しいかがわかる。

注目は尾崎と池谷のサントリーのプロップ・コンビ。尾崎は先週の韓国戦で初キャップ、池谷は明日の試合が初となる。先週おなじく初キャップを獲得した中山、今季ジャパンにカムバックした菊谷の両フランカーにも期待がかかる。カーワン・ヘッドコーチはロック北川の成長ぶりも楽しみにしている。

関西の大学出身者の多い明日のジャパン

花園で行われる試合だからというわけではないだろうが、明日の登録22選手では、関西の大学出身者が半数近くを占めるのも興味深い。
尾崎、中山、佐藤、大西、吉田とスターティングメンバーの5人までが同志社大学出身。菊谷、猪瀬が大阪体育大学、リザーブの田中が京都産業大学、守屋が立命館大学・・・と、日本の大学出身選手19名のうち9名だ。

リザーブには、NECの猪瀬、佐藤平、三洋電機のSH田中の3人がノンキャップで名を連ねるが、特にチーム最年少の田中は、昨季のトップリーグ新人王に選ばれただけに、彼のジャパンでのプレーを一日でも早く見たいファンにとっては、明日が「その日」になる可能性は高い。

ベールに包まれたアラビアンガルフ

アラビアンガルフについては、あいかわらず情報が少ない。先週のホームでの香港戦では12対20で初戦を落としたが、サザン団長によると「シンビンで、14人で戦っているうちに10点取られた」ということで、内容的には決して負けていなかったという。12点の得点は、すべてスタンドオフのポール・ベアードによる2PGと2DGだった。韓国戦での日本のプレーもビデオでしっかり分析している。

ロックのダイアード・ムレイ主将はアイルランド出身、副将のCTBスティーブン・クーパーは南アフリカ出身というように、いわゆる英連邦国出身者からなる混成軍。主流は、ドバイ・ハリケーンズ、ドバイ・エグザイルズ、ドバイ・ドラコンズの主要メンバーだ。2年前の初来日では、9-82と日本に完敗しただけに、その汚名を晴らすべく、明日はアラブの戦士たちが牙を剥いて日本代表に挑む。

花園ラグビー場で前日練習をするアラビアンガルフ代表
花園ラグビー場で前日練習をするアラビアンガルフ代表