3月2日(月)、気持ちよく晴れ渡った午後、日本ラグビーフットボール協会において、ラグビーワールドカップの2015年・2019年大会日本招致に関する記者会見が開催され、多数のプレス関係者が訪れました。
ワールドカップの日本招致については、昨年の10月に発表しておりますが、会見は初めて。森会長、真下専務理事・副会長、そして日本代表キャップ58、トップリーグ・キャプテン会議代表の大畑大介選手が出席して行われた会見の模様をダイジェストでご紹介します。

なお各国の立候補状況は以下の通り。2019年に立候補していたロシアは2月16日に撤退を表明しました。

2015年大会
オーストラリア、イングランド、アイルランド、イタリア、日本、スコットランド、南アフリカ、ウェールズ
2019年大会
オーストラリア、アイルランド、イタリア、日本、スコットランド、南アフリカ、ウェールズ

◎森喜朗・日本ラグビーフットボール協会会長

森会長
森会長

「2005年の11月でした。2011年のラグビーワールドカップの招致に、残念ながら僅少差で敗れ、開催国はニュージーランドに決定しました。
2011年大会で7回目となるワールドカップの開催国はこれまで、ずっと伝統国、即ちIRB創設8協会に限られています。ラグビーを世界に、もっと多くの国に普及させていくために、その突破口を開こうと、日本は(2011年大会に)立候補しましたが、我々のチャレンジは伝統国の世界の厚いモールに屈しました。
このとき英国をはじめ世界のメディアは、IRBはラグビーをグローバルなスポーツにする絶好の機会を逸した、と報じたものです。

ワールドカップを日本で開催する意義についてですが、まず、この素晴らしい世界的なイベントを、世界の人々に、活力ある日本、スポーツ大国ニッポンに導くことにあるのではないかと思います。経済的には難しい時期ですが、日本は2016年のオリンピック招致を進めていますし、また2018年・22年のサッカーのワールドカップ招致についても日本サッカー協会が意思表明をしています。

そして、ラグビーの象徴的な言葉に、One for all, all for one. というものがあります。世界ではまだ紛争地域があります。ノーサイドの精神というものも、地球すべてに伝わる大事なテーマです。そういう意味からも、日本の青少年の皆さんに、ラグビーを知ってもらい、観てもらい、できれば体験してもらう。そういうことにラグビー協会は力を注いでいきたいのです」

◎真下昇・日本ラグビーフットボール協会副会長/専務理事

真下副会長/専務理事
真下副会長/専務理事

「これまでの経緯についてご説明します。2011年大会招致については残念な結果に終わりましたが、その経験を活かしていきたいと思います。2015年大会はイングランド、2019年大会は南アフリカ、オーストラリア、あるいはイタリアが実質的な強敵とみています。前回の招致活動では、各国の理事とコミュニケーションを密にしてのロビー活動を展開しましたが、今回はむしろ、たいへん高額ではありますがトーナメントフィーという条件をどうクリアしていくかが最大のキーポイントになります。
信頼性の高い保証書をどう書くか、です。政府保証というものは難しく、また他国もどこも取れてはいません。その次に金融、その次に保険、ということになろうかと思いますが、具体的には、他国に真似をされても困るので、ぎりぎりまでは公表できないでしょう。

集客については、きちんと予算を組み、数年ごしのプロジェクトを考えています。また招致については、日本のことだけで考えるのではなく、アジアの日本という観点で、アジアを巻き込んでの招致をやっていくべきと思います。たとえばアジアでのトーナメント開催など、です。
また日本のトップリーグは、世界からみると希有なリーグであり、『なぜ優良企業がラグビーチームをもち、それを支援していくのか』『日本のトップリーグは素晴らしい』という評価を得ています。そういったトップリーグの経験を活かしていきたい。そしてレフリー、コーチ、マネージメント、といった部分での交流、ユースレベルの大会の実施、タグラグビーの大会の実施など、アジア各国との連携を深めていきたいと思います。

2016年のオリンピック招致については、協力体制をとっています。私自身、アジア各国の理事に、東京オリンピック実現に向けてアピールしていますし、7人制ラグビーのオリンピック復帰ということもあります。

もうひとつ、ワールドカップ招致が実現した場合、日本代表が決勝ラウンドに残れるのか、という課題もあります。たしかに厳しいと思います。しかし、今年の6月、U20世界ラグビー選手権を日本で開催しますし、ユース世代の強化をすすめる一方、大学ラグビーでは1・2年生のみのU20のリーグを結成してもらう、そしてATQプログラムもさらに発展させていきたいと考えます。
競技人口という面では、青少年については幸いにも、毎年5~7パーセント増になっています。現在の競技人口12万5000人を、2015年には20万人の規模にしたいと思います。

◎大畑大介・ジャパンラグビートップリーグ キャプテン会議代表

大畑代表
大畑代表

「ワールドカップは1999年・2003年と経験しました。2007年は(二度の)アキレス腱断裂で出られませんでした。(始めに1月に)右アキレス腱断裂をしたときには、ワールドカップが遠のいたと思いましたが、切ったことによって改めて、ワールドカップというものが自分のなかでとても大きな目標であったと実感しました。これ以上ないというくらい、ワールドカップへの想いが内側からわいてきて、もう二度とあんなリハビリはいやだ、というくらいのトレーニングができたのも、ワールドカップがあったからです。

ワールドカップの日本開催が実現するまであと一歩というところに来ているのが、とてもうれしく思いますし、選手として20年以上、日本代表として10年以上プレーさせていただいて、日本代表は確実に力をつけてきていることを実感しています。
そしてトップリーグの充実なくして、ワールドカップの成功はありえないと思っています。トップリーグの試合のレベルも確実に上がってきていますし、観客動員も伸びてきています。3月8日には、近鉄花園ラグビー場で、オールスター戦も行います。チャリティが主題で、社会への貢献もラグビーの大きなテーマです。ワールドカップが日本で開催されれば、成功は間違いないと思っています」

ラグビーワールドカップ2015年・2019年大会の開催国は7月28日に決定する
ラグビーワールドカップ2015年・2019年大会の開催国は7月28日に決定する

【今後の招致に関するスケジュール】

2009年 5月8日

入札文書提出締切

5月13日

IRB理事会でのプレゼンテーション(アイルランド・ダブリン)

5月~6月

ラグビーワールドカップリミテッド(RWCL)による入札内容の検証

6月30日

RWCL入札による分析報告書の発表

7月28日

IRB理事会にてRWC2015、2019開催国が決定