7月24、25日の2日間、台湾の高雄で「第8回ワールドゲームズ2009」の中の7人制ラグビー競技会が行われる
2日間の直前合宿を経て、7人制日本代表メンバーは21日に現地入り。
村田亙監督は、平均年齢23歳(選手登録もしている岩渕健輔コーチを除く)という若いメンバーを引っ張る主将として、15人制で代表キャップ4を持つ佐藤貴志(ヤマハ発動機ジュビロ)を指名。
3月のドバイ7人制W杯でプレーしたのは桑水流裕策(コカ・コーラウエストレッドスパークス)のみ。6月のケニアセブンズを経験した選手も豊前貴士(日本体育大)、夏井大輔(関東学院大)の2人のみという、全くの新チームといっていい若き純和製軍団を引っ張るスキッパーに、離日前に意気込みを聞いた。

  佐藤キャプテン
  佐藤キャプテン

──メンバーには若い選手が多いですね。
「確かにみんな若いんですけど、その分、ポテンシャル自体は高い選手が揃ったと思ってます。もちろん、7人制の戦い方を身につけるのはこれから。代表レベルの厳しさというのは、実際に世界と戦わないとわからない。今回、ワールドゲームズでしっかり結果を出して、東アジア大会(12月、香港)に臨みたい。今回のメンバー構成は、育成という面も大きいので、しっかり引っ張っていかないといけないと思っています。ワタルさん(=村田監督)の考えていることを、グラウンドレベルでしっかり若いメンバーにわかりやすく伝えていきたいですね」

──ワールドゲームズで対戦するフィジー、アルゼンチンは7人制でも常にトップクラスの成績を残している国。
「世界のトップクラスとの対戦を経験することで、いまの自分たちのレベルというのがわかる。そういう相手と試合をやると、まず、ボールがなかなか回ってこない。いかにしっかりDFして、アタックになったらボールキープするかがキーになってくる。そういうのは、実際に国際大会を経験しないとわからないけど、そういう経験を続けていくと、どうしたら日本が勝てるのかということもわかるようになる。7人制は前・後半7分間ずつしかないけど、だからこそ日本にもチャンスはある」


多くのケガ人、学生の試験、あるいはチーム事情……。現在の7人制代表を巡る厳しい環境にプラスして、将来を見据えてのチームづくりという意図もあり、国際経験のないメンバーばかりとなったワールドゲームズに臨む村田ジャパン。「あいつしかいない」と、村田監督が全幅の信頼を置いてキャプテンに指名した佐藤主将の役割も当然重要になる。

──キャプテンは初めて?
「そうですね」

──どんなチームにしたいですか?
「チームのルールがある中で、個性を出してくれたらいい。そこをはき違えないで、思いっきりプレーしてもらいたい」

──若いチームの中で、圧倒的な経験値を誇る佐藤主将の役割が重要になりますね。
「まだみんな7人制の経験がないので、いまはまだひとつひとつ教えている段階です。ポジショニングや走るコースにしても、15人制は浅いところが、7人制は深かったりする。そういうことを、一気に全部教えちゃうと混乱すると思うんで、ひとつひとつ教えている段階です」

「まずはDFで引っ張っていきたい」という佐藤キャプテン  
「まずはDFで引っ張っていきたい」という佐藤キャプテン  

──いちプレーヤーとしては、どんなプレーで貢献したいですか?

「まずはDFで引っ張っていきたい。守りの判断は7人制では特に大事ですね」

──普段15人をプレーしながら、7人制に呼ばれて混乱したりすることはないものでしょうか?
「僕の場合は、7人制をプレーすると調子が上がるというか、個人の身体能力がまわりに引っ張られて上がるみたいな面がある。本当にいい経験になるというか、今回も若いけど刺激的な選手が多いので、僕の方がまわりに成長させてもらえるように期待してます(笑)。
僕だけじゃなく、今のジャパンを見ても、菊谷主将をはじめ、7人制で頑張って15人制でも代表になった選手っていっぱいいるんで、若いメンバーにも代表に選ばれているということに自信を持ってプレーしてもらいたいですね」


今回のワールドゲームズは、五輪種目入りが検討されている7人制ラグビーにとっては、世界に向けたアピールの場。当然ながら、村田ジャパンにも単純な勝敗という結果以外に、いかに魅力的なプレーを世界に向けて発信するかという役割も求められている。

──五輪入りを見据えた大会になります。
「オリンピックに採用されたら、7人制はもちろんラグビー全体が凄く盛り上がると思うんですよ。僕自身、7人制にお世話になっているというか、自分を伸ばしてくれたのが7人制という意識があるので、そういう意味からもオリンピック種目になって、もっと盛り上がってほしい。セブンズの素晴らしさを伝えるという意味では、日本らしさを出すことも大事ですね」

──メンバーも日本人だけ。
「外国人がいないということで、アタックに関しては、インパクトは少なくなるかもしれないですけど、コミュニケーションはとりやすいので、DFなどではむしろやりやすい面も多い。日本人だけでできるんだぞというところをアピールしたい。それが、東アジア大会にもつながると思うので」

──ズバリ、今回のワールドゲームズでの目標は?
「一戦、一戦、結果を出していくことが一番重要ですね。フィジー、アルゼンチン、香港。どの試合も結果を求めて、強い意志で臨むということがまず大事だと思うんです。暑さもあるし、どのチームにとっても厳しい大会になると思うので、逆に日本にもチャンスはある」

7人制日本代表を率いる村田監督(右)と、岩渕コーチ  
7人制日本代表を率いる村田監督(右)と、岩渕コーチ