HSBCアジア五カ国対抗2010
3月1日(月)、日本協会にて「2010年度日本代表スコッド発表記者会見」が行われ、2010年4月以降の日本代表の活動、今年度の大会や試合、そして、62名のスコッドが発表されました
62名のスコッドのうち、初スコッド入りが11名、そしてその中でも大学生が9名選出されています。
この62名から、30名の日本代表選手と5名の若い選手が、3月18日に選出され、4月1日から2010年度の日本代表がスタートします。

記者会見には、日本代表の太田治ゼネラルマネージャー、ならびに、ジョン・カーワンヘッドコーチが出席、そして「HSBCアジア五カ国対抗2010 特別協賛社」のHSBC(香港上海銀行)在日代表兼CEO、スチュアート・ミルン様にも、同席頂きました。

スコッド総評について
──太田GM

太田GM

「本日は、お忙しい中、多くの皆様にお集まりいただきまして、ありがとうございます。

昨日の日本選手権決勝をもちまして、2009年シーズンが幕を閉じました。今シーズンもトップリーグファイナル、昨日の日本選手権決勝に象徴される実力の拮抗した素晴らしい試合が繰り広げられました。

日本代表の基盤を担う国内リーグの充実は、日本ラグビーのレベルアップに不可欠な要素であり、年々激しさを増す中で強化に励む参加各チームの選手・スタッフの皆様に心から敬意を表したいと思います。

さて、本日は2010年度の日本代表スコッドとともに日本代表のスケジュールを発表させていただきますが、2010年の最大のターゲットは、ワールドカップの出場権獲得です。5月に行われる『HSBCアジア五カ国対抗2010』を勝ち抜き、出場権を獲得するために全力を尽くします。

もちろん、W杯で勝利するための準備も必要になりますので、フィジー、トンガ、サモアと対戦する『IRBパシフィック・ネーションズカップ』で勝ちきることができるチーム作りをカーワンHC以下、コーチングスタッフには求めていきたいと思っております。

今回選出したスコッドメンバーは、昨年までの日本代表チームのラグビーをさらに進化させてくれるはずですし、若い選手たちには、この選出を起爆剤にさらなる成長を期待します。
もちろん、日本代表として戦う以上、結果を残していくということは大前提ですので、W杯を戦うにふさわしい、強く、そして魅力的な日本代表を目指していきます。

また、来シーズンの新たな取り組みとして、指導者育成・選手育成の両面を担う強化基盤の構築を目指します。『日本スタイル』をキーワードとした日本ラグビーのベーシックスキルが、すべてのカテゴリーのチームに行き渡るような取り組みを目指します。

さらに、日本A代表、U20日本代表や7人制代表も強化のスピードを上げていかなければなりません。次世代を担う選手の発掘・育成、国際試合の経験値向上など、2016年のオリンピック、2019年のW杯日本大会とターゲットは明確ですので、着地点を見据えた強化を図っていきたいと思っています。
先に述べました、強化基盤構築のための具体的な取り組み、各カテゴリーの職務に実際に当る人選等につきましては、改めて発表する機会を設けさせていただきます。

最後になりますが、日頃より我々の活動にサポートを頂いております『大正製薬株式会社』、『株式会社カンタベリー・オブ・ニュージーランドジャパン』、『コカ・コーラウエスト株式会社』様に御礼申し上げます。
また、本日ご同席いただきましたHSBCアジア五カ国対抗の大会オフィシャルスポンサーであります「香港上海銀行」様には、今年も日本代表がすばらしい試合をすることをお約束し、参加各国を代表いたしまして御礼を申し上げます。

本日、ご出席いただきました報道関係者の皆様におかれましては、引き続き日本代表に温かいご支援の程、よろしく御願い申し上げます」

スコッド選出にあたって──
ジョン・カーワンヘッドコーチ

ジョン・カーワンヘッドコーチ

今回の日本代表スコッドの選出について、ジョン・カーワンヘッドコーチからは次のような説明がありました。

「今回のスコッドには、多くの選手を選びました。そこから30名プラス5名の若い選手を選考したいと思っています。今年、大事なのは、昨年と同様、HSBCアジア五カ国対抗に向け、ベストメンバーを選び、ワールドカップの切符を獲ることです」

5名の若手選手については、2011年よりも2015年のワールドカップを見据えて選んだ、とのことでした。

また、本大会に多大なるサポートを頂いている、HSBC(香港上海銀行)に対し、「今年もHSBCに大会をサポート頂き、感謝しています。10、20年後、この大会がシックス・ネーションズやトライネーションズと同様の大会になることを期待しています」と謝意を表明するとともに、本大会で優勝し、ワールドカップに出場した際には、この大会でアジアのリーダーになり、アジアは強いという証明をしたいともコメント。

また、6月以降に、フィジー、サモアで開催される『IRBパシフィック・ネーションズカップ(PNC)』については、

「昨年トンガに勝ち、サモア、フィジーには僅差で負けました。今年は結果を出す年です」と明言。PNC全勝を目指す意気込みを語りました。

最後に、「国内のレベルが上がっています。代表選手の選考にあたり、各コーチとも話し合いを重ね、良い選手を多く選ぶことができ、トップリーグチーム、企業、そして運営している方々に感謝しています」と、トップリーグの成熟について評価しました。

ご挨拶──スチュアート・ミルン
香港上海銀行在日代表兼CEO

スチュアート・ミルン香港上海銀行在日代表兼CEO
スチュアート・ミルン香港上海銀行在日代表兼CEO

「皆様こんにちは。私自身、熱心なラグビー・ファンですので本日この場に立たせていただき、大変光栄に思います。本年のHSBCアジア五ヶ国対抗やHSBCのラグビーに対する思いをお話しさせていただくこのような機会を設けていただいたことを、太田様、カーワン様をはじめ、日本ラグビー協会の皆様に感謝申し上げます。

2008年に始まったHSBCアジア五ヶ国対抗は、アジアにおいて有数のラグビー大会へ飛躍しただけでなく、今や国際的なラグビーの試合としても確固たる地位を確立しました。

この2年間で、西はヨルダンから東はグアム、また北はカザフスタンから南はインドネシアに至るまで、アジア全域18都市にわたって50以上の試合が開催されるに至りました。
本年の大会では31試合が予定されており、注目すべきはそのうち10試合が次期ラグビーワールドカップの予選とされていることです。

新興国市場に強みを持つ世界有数の金融・銀行グループであるHSBCとして、本年度、大会の規模が拡大し、より多くのチームをラグビー新興諸国から召集でき、結果レバノンやヨルダンなどのチームが初の国際試合に参戦できることになったことを誇りに思います。

アジアにおいて、ラグビー人口が増えていることの表れだと思いますが、昨年は世界130を超える国々でHSBCアジア五ヶ国対抗が放映され、アジアにおいては2億3千万を超える家々に映像が届けられました。アジア地域における多くの国々において、今年は初めて全ての試合が生放送されます。
観客動員数に関しては、昨年、前年対比35%増を記録し、今年も同じ伸びを見せるのではないかと期待しています。

日本が2019年にアジア初となるラグビーワールドカップ開催国となったことで、ラグビーが今後アジアでますます注目されることは明らかで、HSBCアジア五ヶ国対抗がラグビーの盛り上がりをさらに加速する役割を担えることを嬉しく思います。

HSBCは、当グループが支援するスポーツとしてラグビーは最もふさわしい競技であると考えています。私たちがビジネスを遂行していく上で基本原理としている、リーダーシップ、誠実さ、精神力などを反映したスポーツだからです。

もちろん、ラグビーの特徴の1つである『迅速機敏であること』も、私たちが学び、業務に活かしたいことです。これらを忘れることなく日々邁進していくことを誓いながらスピーチを締めくくらせていただきます。カーワン監督と日本代表チームのトーナメントでのご活躍を心よりお祈り申し上げます。ご清聴、ありがとうございました」

記者の方からのご質問に答えて

──このメンバー選考のポリシーは? HSBCアジア五カ国対抗では若手の育成をしながら、ベストメンバーで戦うのか?
JK「ベストメンバーで戦います。ただその中でも全員に試合をさせるチャンスは与えたいと考えておりますが、リスクは背負いたくない。とにかくベストメンバーで戦います。
今回選考する30名は、ワールドカップに向けた土台を作る選手たち。フィットネスでのレベルをもう一つ上げていきたい。今年中にやることとしては新しいことをやり終えて、来年はすべての選手を知って、ワールドカップに臨みたいと思います」

──今回の30名がワールドカップに向けた土台となると言っていますが、ここから外れた選手は今後どのようなアピールをし、努力していかなくてはいけないのか?
JK「今回外れても決して選ばないというわけではない。代表への扉は閉じません。チャンスはあります。今年は日本A代表も活動します。その中から日本代表に入ってくることもありえます」

──昨年の目標は世界ランキング13位。今年の目標は?
JK「世界ランキングで10位に入ることが最大の目標。今サモアが12位でイタリアが11位。そしてフィジーは9位だと思いますので、今年はとにかくPNCでサモア、フィジーに勝てば自ずと目指すランクに上がると思います。できるところまで上げていきたいと思います」

──アジア五カ国対抗の初戦は韓国代表戦。韓国代表選手は日本でも活躍しているが?
JK「韓国はすごく強い相手。また参加全チームが強い相手だと思っています。その中でも韓国、香港は強敵です。初戦の韓国戦ではベストチームを作り戦います」

固く握手をかわすミルンCEO、カーワンヘッドコーチ
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