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第16回全国ジュニア・ラグビーフットボール大会
大会副委員長 永阪 誠

1.大会概要

期日
平成22年12月29日(水)・31日(金)
集合・代表者会議は12月28日(火)
会場
近鉄花園ラグビー場
東花園市花園中央公園多目的球技場
参加チーム
関東地区代表: 東京都中学校選抜・東北中学校選抜・神奈川県中学校選抜・東京都スクール選抜・千葉県スクール選抜・群馬県スクール選抜・神奈川県スクール選抜
関西地区代表: 大阪府中学校選抜・愛知県中学校選抜・京都府中学校選抜・奈良県中学校選抜・愛媛県選抜・大阪府スクール選抜・静岡県スクール選抜
九州地区代表: 長崎県選抜・福岡県選抜
表彰

優勝、準優勝、3位チームを表彰する。

2.大会結果
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3.観客動員数(延べ人数)
4000人

4.大会を振り返って

(1)ジュニア・ラグビーの多様化と今後の全国ジュニア・ラグビーフットボール大会

今年度より日本協会では普及育成委員会を組織改変し、普及・競技力向上委員会となりました。この改変は、7人制ラグビーが2016年オリンピックで採用されたことや2019年のワールドカップの日本開催に向けた体制強化の一環と捉えられており、本大会の実行委員会も現行大会を精査し、今まで以上に全国各地域における普及発展と選手の育成、及び競技力向上等の事業遂行に寄与できるよう大会の改変・再構築を目指す必要があると考えております。

ご存じのように本大会は全国ジュニア・ラグビーフットボール交流大会として、全国の中学生の交流を目的に産声を上げ、第1回大会より開催日程、開催地、大会方法などを模索し、安全性と競技力向上の成果をあげるべく、様々な改革を行いながら現在に至っております。

しかしながら中学校チームとスクールチームを分けてリーグ戦で行っていた1回大会から9回大会までは、大きな点差のミスマッチと呼ばれる試合が多発しておりました。これを解決するためにスクールチームと中学校チームの枠を撤廃し、第10回大会からは全国ジュニア・ラグビーフットボール大会と名称を変更して、2ブロック制によるトーナメント形式で実施いたしました。1ブロックと2ブロックへの振り分けは推薦する三地域協会で行い、運営委員会がそれを参考にして組み合わせを決定することといたしました。

トーナメント形式に変更した理由は、安全面をより重視(ミスマッチの削減)したことと、財源の課題を克服するという(参加チーム数を2削減)苦肉の策でしたが、ミスマッチと重傷事故の激減する結果となり、競技力と各チームの選手と指導者のモチベーショの向上をもたらしました。このように常に、U15世代である中学生を取り巻く環境に配慮し、その変化に対応し大会運営方法や日程などの改善を続けて現在に至っています。今大会も小さな改善ではありますが、会場を提供していただいている近鉄花園ラグビー場のご理解・ご協力によって、試合開始時間を選手のスケジュール管理に配慮した時間帯に変更することができました。

また、2016年オリンピックでは、女子部門の7人制ラグビーが採用されたことから、審判委員会の要請を受け、今後、女子ラグビーが急速に普及する可能性があることに考慮し、昨年度よりARなどで女子レフリーを起用しております。昨年と今大会はARとしての起用でしたが、この起用は将来的には、レフリーの可能性の検討も視野に入れております。

もう一つ大きな取り組みとして昨年度より、将来のジャパンの発掘を目的にした優秀選手のセレクトを実施しております。今年度は競技力向上部門と中学生部門が一体となってセレクションチームを組成し、大会優秀選手を選出いたしました。このような事業が可能になったのは前述した委員会組織の変革が大きく寄与しており、様々な年代をつなぐ一貫指導の構築によって、更に選手を始め関係者の方々のニーズを満たすことができる活動に変化していくものと期待しております。

このように様々な改善と模索をしながら運営されてきた全国ジュニア・ラグビーフットボール大会ですが、15人制、7人制、女子ラグビーなど様々な課題に対応するには、より一層の変革の必要があると考えております。しかし、オリンピックやワールドカップまでには、今までのように長い時間をかけて少しずつ変化を行う余裕はありません。三地域協会の共通理解の基に短時間のうちに大きく変化することが、本大会が日本ラグビーの発展に寄与するものと確信しております。しかしながら、その大きな変化の中で失ってはいけないものもあります。それは三地域協会とのしっかりとした絆の下、本大会がさらに発展するよう変革し、結果として最大の目的である各地域のジュニア・ラグビーの正常な普及・育成・発展に寄与するよう配慮する所存です。

(2)すばらしい選手達と指導者の集う大会を終えて

さて、昨年はすばらしい好天でスタートした全国ジュニア・ラグビーフットボール大会ですが、今大会も比較的おだやかな中で第1日目を迎えることができました。しかし、2日目には小雪がぱらつくなど、厳しい寒さの中での熱戦となりました。今大会は例年にもまして、各地域の競技力に差がなく、特に第1ブロックの1回戦は殆どの試合が1トライ差に近い僅差の試合になりました。これは、16回の大会の中でも希有な事であり、各地域のこの大会に向けた取り組みの成果が出ていることは間違いありません。

第1ブロックでは大阪府中学校選抜と長崎県選抜、京都府中学校選抜と東京都中学校選抜が準決勝へ駒を進め、決勝では大阪府中学校選抜と京都府中学校選抜の隣県同士の対戦となりました。優勝は京都府中学校選抜で、大阪府中学校選抜の終盤の猛攻を堅いディフェンスで守りきりました。京都府中学校選抜は例年高い競技力を誇っている好チームですが、今回が初優勝であり、その喜びは大会を支えていただいている京都府協会の関係者の方々からも伝わって参りました。

第2ブロックでも白熱した戦いの中、愛知県中学校選抜と東京都スクール選抜、大阪府スクール選抜と千葉県スクール選抜が準決勝に進出いたしました。決勝は大阪府スクール選抜と東京都スクール選抜の対戦となりましたが、小さいながらも走力のある大阪府スクール選抜が優勝いたしました。

今大会も各チームとも数年間単位の入念な準備をして、プログラムをこなし、本大会に臨んでおられるとお聞きしており、本大会が日本のU15 世代のジュニア・ラグビーの選手とその関係者にとって、大きな目標となっていることをあらためて実感しております。本大会は選手諸君のパフォーマンスを発揮する場だけでなく、各地域の普及育成と競技力の向上を確認するための重要な場になっているということを再確認いたしました。各チームの選手と指導者、保護者の方々が、それぞれの故郷においてたゆまぬ努力を続けられていることに敬意を表します。
また、12月28日の代表者会議においては、外山幸正大会医務委員長(関西協会)の「傷害の発生状況のまとめと分析(2009年度調)」が各チームの指導者に配布されました。今後の選手の育成において、大切な資料になると確信しております。外山先生には今年度より、試合前の選手の医務チェックも実施していただいており、選手達の安全面へのご配慮に厚く感謝しております。

最後になりますが、本大会を支えていただいた文部科学省、東大阪市、東大阪市教育委員会、役員ならびに補助役員の方々、選手を陰ひなたなく支えていただいた保護者、チーム関係者の皆様に厚くお礼申し上げます。
最後に今後とも本大会が日本ラグビーの成長の一助となることを目標に、関係者一同で努力していく所存です。ありがとうございました。