田中 伸明

この度、香港セブンスにおいて香港協会との交流、研修に参加させて頂き感謝しております。久しぶりの香港セブンスは相変わらず世界一のセブンス大会でありましたし、日本の震災被害をよく知っている観衆からのチームへの大きな声援はこの大会が単に7人制の試合というものにとどまらず、人類がスポーツを通して一つになっていくひとつのきっかけになると実感しました。このような貴重な体験の場を与えて下さった日本協会、審判委員会に厚く御礼申し上げます。
研修の内容につき報告させて頂きます。

1 研修日程 3月24日(木) ~ 3月28日(月)
2 活動内容 IRBレフリーへのパフォーンス及びアシスタントレフリーのランキング
3 参加レフリー IRB  Federico Anselmi(Argentina), Anthony Moyes(Australia), Nick Briant(New Zealand), David Keane(Ireland), Andrew Lees(Australia), Harry Mason(Singapore), James Matthew(Scotland), David Smortchevsky(Canada), Laurent Cardona(France) 以上9名
4 参加アシスタントレフリー Mike Wyer(Singapore), Warren Needham(New Zealand), Tobi Lothian(Hong Kong), (Ms)Gabriel Lee(Hong Kong), Ryan Nixon(New Zealand), Norman Drake(UAE), Dewi Rowlands(Hong Kong), 真継丈友紀(Japan)
5 レフリーマネージャー Keith Lawrenxe(IRB), Bernard Feinberg(Hong Kong)
6 パフォーンスレビュー&コーチング Des Hastie(Hong Kong), Les Millard(Hong Kong), Dick Byers(Australia), 田中 伸明
7 活動詳細 25日(金)
午前 香港フットボールクラブにて女子7人制大会を視察
午後 香港セブンス
予選プール 12ゲーム中、6試合のパフォーマンスレビューとコーチング
1.Fiji vs Malaysia  J Matthews(Scotland) 7人制にしてはアドバンテージの適用が長すぎるケースがあった
2.Samoa vs Mexico L Cardona(France) レフリーの笛尾吹くタイミングよってトライを作ってしまった
3.Argentina s Canada A Lees(Australia) 帰りながらのオフサイドが7人制なら影響が大きかったのでは?
4.Wales vs Hong Kong D Smortchevsky(Canada) 素晴らしいアドバンテージの適用でトライが生まれた
5.USA vs Japan J Matthews(Scotland) インゴールでのトライ後に肘うちを見逃す(ジャパンの選手)
6.Nick Briant(New Zealand) Not10mの見逃しが繰り返された
26日(土)
午前 香港セブンス
予選プール 前半の12試合でアシスタントレフリーとインゴールジャッジのパフォーマンスからランキング1~8位を決定する
結果 1 M Wyer(Singapore)
2 N Drake(UAE)
3 W Needham(HK)
4 D Rowlands(HK)
5 T Matsugu(Japan)
6 R Nixon(NZ)
7 G Lee(HK)
8 T Lothian(HK)
*12ゲームからアシスタントレフリーのランキングを決定する作業は大変困難であったが、わずかなポイントとしていいタイミングでサポートを入れていたりハーフタイムでのレフリーとのコミュニケーションであったり決定的な場面での遅れなどこの大会の中だけでのランキングをつけた。真継はやはりなんと言ってもコミュニケーションでのポイントが落ちてしまう。G Leeは女性であったがランキングは低くつけたものの男性との差は感じられなかった。
午後 香港セブンス
予選プール 後半の12試合のうち4試合のパフォーマンスレビューとコーチング
1.Canada vs Zimbabwe N Briant(NZ) 問題なく素晴らしいレフリングだった
2.Hong Kong vs Spain D Keane(Ireland) ブレイクダウンが厳しすぎてぶつ切れのゲームに
3.Australia vs Argentina N Briant(NZ) 接戦の好ゲームだったが最後に時間稼ぎのプレーを裁けなかった
4.South Africa vs Wales A Lees(Australia) アドバンテージを見ずスクラムにしたことで30秒のロス
27日(日) 香港セブンス
決勝トーナメント 前半ゲームのパフォーマンスレビューとコーチング
1.Kenya vs Malaysia H Mason(Singapore) モールの成立を見損なう。基本的に笛が早い
2.Hong Kong vs China D Smortchevsky(Canada) タックルエントリーが厳しすぎ、ゲームがぶつ切れ
3.Canada vs France N Briant(NZ) フランスのオフサイドを見逃す。局面での切り換えスピードが欲しい
4.Argentina vs Wales J Matthew(Scotland) 一般プレーのオフサイド見逃し。off the feetは立っていたのでは?
*ランキング
Top4   A Lees, A,Moyes, D Keane, N Briant
決勝トーナメントの割り当てについては上記評価結果をもとに進出してくる国を見て割り当てることに。
8 まとめ セブンスのゲームにおけるレフリングはわずかな笛のタイミングによって、その時間のつぶれ方が大きく影響をしてくる。判断の基準はもとより、ゲームをマネージメントしていく能力が問われる。今回、まずIRBレフリー達のレフリング能力は一定水準高いものであったことは当然であったが、年齢的には28歳前後を中心として皆若く、インターナショナルのテスト経験はほとんど皆無である。
アジアから選出されていたシンガポールのHarry Masonは留学経験を活かし、コミュニケーション能力には問題なくフィットネスも抜群のものを持っていたが、判定に疑問を抱かざるを得ない笛も多く日本協会としてはターゲットとなりうる人物である。
しかし、アシスタントとして参加したシンガポールのM WyerやUAEのN Drakeはしっかり仕事をする能力を持っており、日本のレフリーにはライバルになる可能性がある。
レフリーチームを全体的に動かせていたのはフルタイムレフリーのAndrew Leesであった。今後、彼を中心にセブンスのレフリーは動いていくものと思われる。
真継レフリーもいいパフォーマンスを発揮はしていたが、いかんせん英語コミュニケーション能力に弱点がある。まわりの言っていることが理解できても積極的に自分の意見や主張を言い張るところまでの英語力を持った若手レフリーの出現が望まれる。そういった意味からも若手を積極的に海外に派遣させることはつくづく重要であると再認識した次第である。