■第4回近畿地区「女子セブンズブロックアカデミー」練習会
日時:2011年9月25日(日) 9:00-11:30
場所:神戸製鋼灘浜グラウンド人工芝

今回は、神戸製鋼コベルコスティーラーズから、林慶鎬選手、吉田永昊選手、そして男子セブンズ元日本代表でもある正面健司選手が指導してくれました。練習メニューは、代表の練習でも実際行っている内容を正面選手がアカデミーの練習生たちに合うように考慮して組み立てて下さいました。

軽くジョギング、準備運動をした後、5人1組になりウォーミングアップからスタートしました。まずは、ボールを使って、数種目のハンドリングスキルから。腰のまわりを左右に回したり、股の間を8の字で回したり、ボールを真上に上げている間に、手拍子5回など、いろいろな種目をグループ間で競争しながら行いました。最後になったチームには罰ゲームがあると言われて、みな悲鳴のような歓声のような声をだしながらも必死でボールをまわしていました。

各種目で最下位になったグループには、両手両足を広げてジャンプするスタージャンプ、大声で自分の名前を叫ぶ、はたまた正面選手のいいところを叫ぶなど、ユニークな罰ゲームが与えられ、大いに盛り上がっていました。

第4回近畿地区「女子セブンズブロックアカデミー」練習会   第4回近畿地区「女子セブンズブロックアカデミー」練習会   第4回近畿地区「女子セブンズブロックアカデミー」練習会   第4回近畿地区「女子セブンズブロックアカデミー」練習会

ウォーミングアップが終わったところで、ランニングパスの練習に移りました。先程の5人組で、最初は短い距離から、徐々に隣との距離を広げてパスをしました。慣れてきたところで再度距離を縮め、サポートランの練習に移りました。横一列に並び、パスを隣の選手にしたら、一番外側までサポート、という動きを前に進みながら順番に繰り返します。このときの注意点として正面選手が挙げていたのは、ボールをもらう選手は、まっすぐ走るだけではなく、パスが来る方向に向かって走り込むということ(インサイドラン)。そうすることで、外側にスペースができ、サポートする選手が外側にサポートしやすくなる、とのことでした。

次は、ハンズパス(クイックパス)の練習を4人1組ずつになって行いました。最初は、単純に、走りながら真横の選手にクイックでパスを繋ぐ練習。次は、外側の2人がクロス(入れ替わり)します。お互い声を掛け合うと同時に、3番目の選手はパスをもらったら素早く斜め前に走り込み、4番目の選手が走り込めるスペースを作ってあげるように、と指示が出ていました。

続いて、ループパスの練習です。最初の2人がループ(後ろから回り込む)して後は、ハンズパスをします。最後に、ここまで練習した、ハンズ、クロス、ループ、どれかを使っての練習になりました。ここではしっかり声を掛け合わないとどのパスを通すのか分からないので、普段の練習よりさらに声が出ていたように思いました。

第4回近畿地区「女子セブンズブロックアカデミー」練習会

パス練習が終わったところで、1対1の練習に移りました。この練習では、ディフェンスは、前に出てしっかりプレッシャーをかけること、足を小刻みに動かし、左右どちらにも素早く対応できるようにすること、またサイドラインを味方につけるため、内からプレッシャーをかけ、外に押し出せるようにして、と実技を交え丁寧に指導されていました。
次に同じ要領で2対1に移ります。数的優位にたったアタックは、必ずディフェンスを抜けるよう、スピードを意識して、1人が引きつけてパスを出すのか、ボールを持っていない選手がおとりとなるのか考えて動くよう指示が出されました。

最後に、3対2が行われましたが、このとき、ディフェンス2人はボールが出される内側からスタート。アタックは外側に大きくスペースがあるシチュエーションです。7人制ラグビーでは、フルバックが1人後方で守るため、実際の試合でも7対6というようにアタック側が数的優位に立つシチュエーションが多いのです。そして、そうなったときに必ずトライまで行けるよう日頃から訓練しておく必要があります。アタック側はスペースを活かして攻め込むと同時に、ディフェンスが迫ってきたら、数的優位を活かしループやクロスパスで翻弄し空いたスペースへさらに走り込んでトライに繋げることができます。繰り返し練習することでそういった動きが試合でも自然と出せるように何度も練習が行われました。

つづいて、林選手、吉田選手指導のもと、スクラムとラインアウトの練習が行われました。
ここでは、FW・BKに分かれて練習する予定でしたが、今回FWの選手が少なかった為、BKの選手も交えて練習することになりました。まず、同じような体型同士で2人1組になり、1対1で組むスクラムの基本的な練習からはじめました。しかし、スクラムそのものになれていない女子選手たちは、腹筋や背筋、足に力がなく、そのままの姿勢をキープすること自体が難しく、すぐに崩れてしまいます。そこで林選手から、スクラムに慣れていない女子選手でもできる、スクラムの姿勢の練習からやってみるよう指示がありました。その後、もう一度1対1でスクラムを組む練習をしました。吉田選手からは、背中を丸めてしまうとすぐに崩れてしまうため、背中は常にまっすぐに伸ばし、斜め上へ押し合うイメージで押し合うようにと説明がありました。なんとか姿勢がキープできるようになった女子選手たちは、少しずつ1対1のスクラムが組めるようになったようです。

次に、3人1組になってラインアウトのリフティングの練習です。2人が1人を持ち上げて5秒キープ。コーチ陣たちは軽々と持ち上げてみせましたが、やはり非力な女子選手にとっては難易度が高いようです。後ろの選手は、お尻の下を持ち、前の選手は膝を持って、腰を落として腕だけでなく体全体で一気に持ちあげるよう指導されましたが、慣れていないためうまくいきませんでした。また、持ちあげられる選手には、「怖がらず、お腹に力を入れてまっすぐ」と指示が出されましたが、こちらもなかなか安心して体を預けられないようでした。最後は、なんとか持ちあげられるところまではいきましたが、繰り返し練習を積み、タイミングを体で覚えるようにとの指導がありました。

その後、7対7のゲームが行われました。ルールは、タッチされたディフェンスの選手は外に出るというものです。数的優位に立つアタック側は、必ずトライまでもっていって終わるようにとのことでしたが、最初のうちはスペースをうまく使うことができず、なかなかトライまで行くことができませんでした。スティーラーズの選手やコーチ陣が一緒になって声を出していくうちに、徐々にスペースを使えるようになり、トライまで行って終わることができるようになりました。
最後に、全員でタッチフットをして練習終了です。
今村コーチからは、「実際に日本代表で試合をしているような選手が練習を見てくれるのはとても貴重なこと。こういう機会を活かしてどんどん成長していってほしい」と、話がありました。

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今回指導していただいた正面選手にセブンズの特徴と今回の練習について伺いました。セブンズと15人制の違いは昔に比べてなくなってきているが、違いと言えばスペースが広いので一対一の重要度が大きく、このためセブンズに必要なことはスペースをうまく使える技術と一対一のアタックディフェンス能力だということです。また練習で、「ラインを浅くしないとディフェンスに前に出られる」と指導されていたので、昔のセブンズのDFはゆっくり前に出て、相手にミスがあった時にディフェンスにプッシュをかけていたが、現在は最初から早いプッシュなのか伺ったところ、内側から追いかけてくるディフェンスの場合、深くポジショニングをとると簡単に追い付かれるので人数が余っているときはフラット(浅く)で追い付かれない位置でボールをもらうのが大事だとのことでした。もちろん普通のラインの時はしっかり深くポジショニングして走り込みながらボールを回さないといけないとのことでした。
男子の代表の場合、ディフェンスはフィジカルで勝る相手に簡単にボールをキープされるのでリスクをおかしてでもパスでボールが浮いてる間にしっかり間合いを詰めてプレッシャーをかけるようにしているとのことです。最後に日曜に教えた選手たちには、何が必要か尋ねると一番は経験を積み重ねることであるが、今回指導して感じたのは、皆練習するとすぐに上達したので今後の伸びシロがたくさんあり、成長が楽しみとのことでした。
正面選手以下コベルコスティーラーズの皆さんありがとうございました。