準決勝第2試合は対抗戦同士の戦い。対抗戦では11-0と帝京大学が勝利したが、ほとんど差のない戦いであった。そして12月25日の2回戦は、クリスマス寒波で冷え込む中、まさに薄氷を踏む思いで辛くも勝利して勝ち上がってきているところも両チームに共通するところ。帝京大は国立慣れしているが、一方の筑波大は初の準決勝進出というところが不安材料か。ただ、筑波大はこの試合から大駒WTB竹中祥選手が先発に復帰しているところが好材料といえる。
かなり強い風上に立った帝京大のキックオフ。筑波大は突破を試みようと自陣22m付近で積極的に展開を繰り返すが、ノックオンにて帝京大にボールを渡してしまう。このファーストスクラムで帝京大が強烈なプッシュ。筑波大はたまらずコラプシングの反則を犯してしまう。帝京大は敵ゴール前中央にもかかわらず、PGを狙わずスクラムを選択。これでこの試合の帝京大のひとつの戦略が明らかになった。筑波大は終始スクラムで苦しむことになる。ブレイクダウンも帝京大が制し、FWサイドを繰り返し攻め込み、インゴールにボールを持ち込むものの筑波大得意の粘りのあるディフェンスによりトライを許さず、しばらくの間こう着状態が続く。
そして9分、筑波大が強烈なカウンターラックでターンオーバー、マイボールスクラムとする。しかし自陣ゴール前スクラム。不安がよぎるが、ここで帝京大のアーリープッシュに助けられる。助けられたのもつかの間、フリーキックから蹴ったボールはタッチを切らずハーフウェイラインほぼ中央へ、ピンチ脱出に失敗する。このボールを帝京大FB武田宣純選手⇒FL松永浩平選手とつなぎカウンターアタック。22m付近で再三FW近場を突き、SO森田佳寿選手のゲインもあり徐々にゴール前へ。そして12分、帝京大LOティモシー・ボンド選手がゴール前ラックサイドを突き、中央やや右サイドにトライ(ゴール成功 7-0)。
このあとのキックオフ後、筑波大はよくプレッシャーをかけ敵陣ゴール前に攻め込むが、肝心のゴール前ラックでターンオーバーを許す。そして徐々に戻されてしまう。レイトチャージによる敵陣30m左中間のPGチャンスを得るも風の影響もあったか、残念ながらものにできず。
27分筑波大ボールスクラムを帝京大がプッシュ、続けてできたラックでターンオーバー、またもやFW近場を執拗に攻めてHO白隆尚選手がポスト下にトライ。(ゴール成功 14-0)
36分筑波大WTB彦坂匡克選手が自陣ゴール前から大幅ゲイン、前半最も観客が沸く場面を作った。続けてSO松下真七郎選手がラインの裏に出て深くキックを蹴りこむが帝京大CTB中村亮土選手がしっかりとセービング、そこにおおいかぶさってしまいペナルティーで大きなチャンスをつぶしてしまう。このまま前半終了。
後半も前半と同様帝京大がFWを前面に出して攻める、筑波大が展開を試みるも早くて強いディフェンスラインの押し上げにより、局所局所ではチャンスを作るがミスを犯してしまい連続することができない。
4分帝京大のPG成功(17-0)の直後、8分にようやく筑波大が3点を返し17-3とするが結局これが筑波大唯一の得点となった。
帝京大は11分にハーフウェイ付近でSH滑川剛人のインターセプトから独走してトライ(22-3)。その後一進一退を繰り返し、お互い細かいミスによりチャンスをつぶすが、39分に帝京大がトライ(ゴール成功)、29-3で危なげなくこの試合を制した。筑波大は再三展開を試みるが、帝京大のラインディフェンスの押し上げが早く、力強く筑波大の良いところを消すことに成功した。
筑波大はリザーブも含めた多くのメンバーが来季以降も残るので、これまで以上にひとまわりもふたまわりも大きくなって来季も活躍を期待したい。
帝京大は今日の戦い方、FWを前面に押し出し、強力なディフェンスが決勝戦でも発揮できれば、三連覇を大きく手繰り寄せることになるであろう。(澤村 豊) |