リポビタンDチャレンジ 2012

6.24「リポビタンDチャレンジ2012」フレンチ・バーバリアンズ戦 JAPAN XV試合登録予定メンバー発表記者会見でのエディー・ジョーンズHC(以下、EJ)および薫田真広アシスタントコーチへの一問一答

──今回のセレクションに関する概要の説明を。

EJ
「水曜日(対フレンチ・バーバリアンズ第1戦)はこのチームになってから、ほとんど試合経験のない選手たちを中心にメンバーを組んだのに対して、今度の試合は最も大きく、最も強いチームをセレクトした
 ただし、スコッドの中で3人は最初からセレクション対象外とした。すなわち、キャプテンの廣瀬(俊朗=WTB)、隆道(佐々木副将=FL)、仙波(智裕=CTB)。理由はフィジカル面のデータが、日曜日にはベストのパフォーマンスが出せない可能性が高いことを示していたため。試合を重ねてきた影響が出ているので、日曜日のセレクションの対象から外した。
 先発メンバーは前の試合から12人変えた。そのまま変更のない3人は、第1戦でとてもいい働きをしてくれた選手たち。ブロードハースト(マイケル=LO)、晃征(小野=SO)、竹中(祥=WTB)。
 昨日、いい対話が報道関係者とできたのと同様、チームに対してもいい話をすることができた。昨日の前半の40分を除けば、今日(21日)の午前中もいい練習ができた。とても、厳しいスケジュールにもかかわらず、選手全員がとても素晴らしい努力を続けてくれていることに関しては、喜こばしく思っている。昨日は本当に残念だったが、その厳しい経験を生かして、日曜日にはより強いチームとして、いいプレーをしてもらいたい。
 ジャパンのラグビーに対して誇りを抱き続けてもらうために、エネルギッシュなパフォーマンスで勝ちたい」

──フィジカルデータというのはいつの段階でとったものか。

EJ
「毎日、選手のフィジカルデータの集積・分析はしている。試合中も何人かのデータを取ってもいる。どれだけ走れたか、どれだけハイ・インテンシティ・ランニングができたか、あるいは加速はどうだったのかなど、チェックしている。例えば、廣瀬に関しては、加速の回数が減っていた。それは疲労の蓄積が顕著であることを示している。ということで、4日後に再び試合をするのは、過剰すぎるという判断をした。それ以外の判断も基本的にはデータを元にしている」

──ゲームキャプテンを大野(均=LO)にした理由は。

EJ
「何よりも経験。ゴロー(五郎丸歩副将=FB)と隆道の副将というのは、あくまでも廣瀬主将の下でのもの。たとえば、副大統領が必ずしも次の大統領となるわけではないのと同じです。ラグビーでも同じ。前面から引っ張っていってくれる人材が必要。春からの代表の活動の中でも、非常に存在感を示してくれているのが均ちゃん。日曜日には言葉ではなく行動で示してくれる人物が必要。たくさんのアクションで引っ張ってくれるでしょう」

──フレンチ・バーバリアンズ第1戦の後、メディアに言った以外で選手たちに伝えたことは。

EJ
「メディアに言うことと違うことを選手たちに言うことはない。大事にしなければいけないのは、正直であるということ。いま自分たちがどこの地点にいるのか。どこに行きたいのか。選手たちは、ひとりひとり、昨日の夜から朝食にかけて、みんな会いにきてくれた。それぞれが、自分がどれだけ一生懸命、トレーニングして、日本のラグビーを変えていきたいのかを話してくれた。それは、日本ラグビーが前に進んでいくか大きな選択になる。
 いまは、プレースタイルをつくり始めているところ。日本の選手たちを成長させていきたい。(フレンチ・バーバリアンズ第1戦のあった)昨日の夜は、自分が正しい選手たちを選んでいるのか、疑問が生じてきていた。その疑問自体、正しいものだと思う。自分は、日本チームを日本のものにしていきたい。つまり、若い素晴らしい日本人選手を起用していくということ。もちろん、それには痛みを伴うだろう。
 昨日の試合では、恐らく9人の若い選手が初めてシニアレベルのラグビーを経験したと言っていい。ファーストクラスチームに対して。
 たとえば、村田(毅=FL)もそう。あのレベルと試合をしたのは初めてだったはず。最初の40分間はどうやってプレーしていいかわからないようだった。でも、次の40分間では、我々は勝った。こういう試合をもっと経験すべき。それが成長につながる。最初の40分から、精神的に準備ができた状態で試合に臨んでいける。
 なぜ、フィジカル面を強調するのか。ラグビーというのはフィジカルのゲーム。その上で正しいテクニックと、正しいタクティカルを使っていかなければならない。ただ力任せでいい訳ではない。
 いまのジャパンは、あるステージでは正しいプレーができても、持続的にできるわけではない。今季、ファーストクラスのチームと対戦した時、相手がポイントを挙げているのは、試合の25分から50分にかけて。つまり、20分間はいいラグビーができている。ただし、それを持続していくだけのフィジカル面での強さが備わっていない。一般的に、試合の最後はいい状態でフィニッシュすることが多い。
 フィジカル面でもっと強くなって、タクティカル面、テクニック面で向上していかないといけない。20分間が30分間になり、さらに40分間になっていく。50分間になれば、ビッグテストマッチに勝てるようになる。そこを目指していく」

──試合後の会見で「選手たちが変わらなければ、今日プレーした多くのプレーヤーが2度とジャパンでプレーできない」と言っていたが、考えは変わっていないか。

EJ
「選手たちは変わりたいと思っているようだ。変化の必要性を感じてもいる。日本のラグビーの環境自体を変えていく必要がある。代表もU20も7人制も。企業チームも大学のチームも。もっとハイレベルなトレーニング、そして試合をしていく必要がある。いまの日本代表のメンバーが、そういう変化をしていく日本ラグビーのリーダーにならないといけない。
 たとえば、菊谷(崇=FL/NO8)が随分早く本来のプレーのレベルに戻れた理由は、インターナショナルレベルでのトレーニングが積めたから。そういうトレーニングができれば、他の選手も4週間で菊谷と同じかそれ以上良くなることは可能。ただし、いったんチームに戻ってしまうと、同じようなトレーニングができないということがある。ジャパンとして選手を拘束できるのは年間16から18週間ほど。それ以外の32週間も代表レベルでトレーニングできなければ、代表レベルを維持することはできない。それが現実だ。近道はない」

──スクラムはどう修正するのか。

薫田
「(フレンチ・バーバリアンズとの初戦は)経験のなさが顕著に表れた。2戦目のメンバーは、3番のハタケ(畠山健介)もそうだし、特に1番の長江(有祐)のところで、もう一度、今年経験してきた経験値をしっかり出して組んでいきたい。あと、今回マイケル(ブロードハースト=LO)が入って、長江とはリコーのチームメイト同士なのでずっと合わせてきている。この前の試合では、相手の3番に崩されるケースが多かったので、1番と4番でしっかり重さを伝えていきたい。自分たちの強みを出していくためには、相手との間合いをつくらないで、ヒットするスペースを消していく。あとは低さ、そしてタイトさ。そのあたりは、今日の練習で確認できた」

EJ
「(フレンチ・バーバリアンズとの初戦の)最初のスクラム2本はトランプを使ったトリックのようなものだった。最初の1本目でフランスは当たった後、下がって、スクラムを崩した。でも、最初のスクラムではレフリーはペナルティを取らないもの。そして、2本目。今度はフランスはハードにヒットしてきた。我々はそういうタクティカルに慣れていない。そういうことをしてくるトップリーグチームはどれくらいあるか。
 薫田コーチがいい指摘をしてくれた。我々は外国人FWとやりあう経験をして成長していかないといけない。外国チームと試合をし、練習を重ねながら、外国人との駆け引きを学んでいく必要がある。たとえば、スクラムが崩れた時に、相手のロックがフロントローをキックしてきても、それに対してファイトするようなことはなかった。日本ではあまり起こらないことだが、そういことを学んでいく必要がある」

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