マッチリポート 第49回 全国大学選手権大会

帝京大学 65-3 拓殖大学
【セカンドステージ 2012年12月9日(日) /東京・秩父宮ラグビー場】
全国大学選手権セカンドステージ プールD、関東大学対抗戦A 2位枠の帝京大学と関東大学リーグ戦1部3位の拓殖大学の対戦。選手権4連覇を目指す帝京大学に拓殖大学が挑む。

拓殖のキックオフで始まった前半、開始早々から両チームとも積極的に攻撃する。

帝京はゴール前で得たペナルティでショットを選択せずに、ラインアウトからモールでのトライを狙う。そのモールは崩れたがゴール前のラックを支配した帝京のLO小瀧が、前半10分最初のトライをあげた。SO中村のゴール成功。(7-0)

14分には相手のタッチキックミスをキャッチした拓殖FB山本が、巧みなランニングでゴール前に迫るシーンがあったが、惜しくもボールをこぼしてしまった。
拓殖の攻撃に思わずタックルが高くなり、帝京がハイタックルの反則。25分ゴールほぼ正面のペナルティキックを拓殖SH岩谷が決めた。(7-3)

28分、タイミングよく出たラックから帝京が左に展開、3対2の体制になり左WTB磯田がトライ。ゴール失敗。(12-3)
37分、帝京のラインアウトからこぼれたボールを得た拓殖が攻撃をしかける。そのディフェンスで帝京SO中村が危険なタックルを犯してしまいシンビンとなる。
38分、14人で戦う帝京だが自陣から攻め上がり、相手陣10mライン中央のラックを素早く出し右に展開、WTB磯田がふたつめのトライ。(前半 17-3)

前半は拓殖もよく攻め、相手陣にいる時間も多かったがトライを挙げられなかった、逆に帝京は確実にチャンスを活かし3トライを挙げた。

後半開始早々の1分、帝京はラインアウトモールからLOマニングが抜けでてトライ。(22-3)
8分にもハーフライン付近からFL松永が抜け出て22mまで持ち込み左に展開、WTB磯田が楽々とトライ。(27-3)

その後も帝京は、17分FB竹田、19分No8李、25分WTB磯田、29分WTB南藤、36分SH流とトライを重ねた。
終了間際の39分には、WTB磯田がこの日5本目となる60m独走トライをあげた。

終わってみれば、前半3トライ後半8トライと65-3の大差をつけて帝京大学がセカンドステージの初戦を勝利した。前半は拓殖に若干の隙を見せたが、後半はまったく寄せ付けず、セットプレー、ブレイクダウン、タックルすべてに勝ったゲームだった。

帝京大 65-3 拓殖 帝京大 65-3 拓殖 帝京大 65-3 拓殖 帝京大 65-3 拓殖
会見リポート
 

拓殖大学の遠藤監督(右)と岩谷ゲームキャプテン
拓殖大学の遠藤監督(右)と岩谷ゲームキャプテン

拓殖大学

○遠藤隆夫監督

「今日はブレイクダウン勝負で、春から帝京さんと練習して、やられていたところを一歩でも近づこう、前へ出ようと臨みました。点では前へ出られましたが、全体で出られず、後半は0チャンネルを攻められ、ディフェンスが内に寄ってしまい、外にスペースをつくられてしまいました。マイボールラインアウトのほとんどを取られ、スクラム、ターンオーバーも継続させてもらえず、トライを獲れなかったのが敗因です。ゲームを作れなかったと感じています」

──帝京の強さは?

「正直、スクラム、ブレイクダウン、タックルと、今まで遊ばれていましたが、少しうちのチームの成長は感じられた試合でした。勝つことにこだわると、かなり足りない部分があります。2部時代、帝京さんにスクラムを組んでもらうなど、常に越えたい山です。早く、その域に到達したいと思います」

──3試合戦えることについて?

「今まではリーグ戦でもアップアップでしたが、やっとうちもリーグ戦7試合、フィジカルにやってもバテることがなくなってきたところです。もう一つ、チームとして壁を乗り越えるための、極めて重要なチャンスと位置付けています」

○岩谷奎太ゲームキャプテン

「前半はある程度、ディフェンスでもアタックでも自分たちの形を作れましたが、後半、プレッシャーに負けて足が止まりました。次のゲームまで一週間あるので、しっかりやっていきたいと思います」

──リーグ戦の相手と違う強さは?

「ブレイクダウンが強くて、BKの外側の選手も力強く入ってくるのが違いました」

──前半、風上を取ったが?

「とりあえず、風上の利点を生かしてキックと考えていましたが、その前のラインアウト、スクラムが安定せず、うまくいきませんでした。修正したいと思います」

帝京大 65-3 拓殖 帝京大 65-3 拓殖 帝京大 65-3 拓殖 帝京大 65-3 拓殖
 

帝京大学の岩出監督(右)と泉キャプテン
帝京大学の岩出監督(右)と泉キャプテン

帝京大学

○岩出雅之監督

「Bブロックの難しさを、どう、学生が感じてくれるかという試合でした。前後半通じて、14人になった時、動きが良くなりました。学生の中に、気持ちの隙があったのではと思います。ハーフタイムに『執念がないよ』と話しましたが、監督として作り切っていなかった反省があります。相手に対するリスペクトはしっかり持っていると思いますが、揉まれてきた中に隙があったなあと。ラグビーの競技性として、厳しいこと、痛いことをやっていく心理、そこに我々の生命線、チームとしての根幹がありますが、今日の試合では、良い経験をさせてもらいました。次の試合は気合を入れていきたいと思います」

──今日、見たかったプレーは?

「『ハートが入ったプレー』です。プレーは相手によってつくられることもありますが、学生には、相手でなく自分たちの中で心をしっかりつくろうと言ってきました。技術的には、筑波戦で少しFW周辺が甘くなっていたので、ここでFWの帝京のイメージをつくろうと言ってきました。これまでの試合よりこだわってくれたかと思います」

○泉敬キャプテン

「今日のゲームは自分たちのテーマ『激しさ』を出すつもりで臨んだのですが、どこかタックルが甘く、一人一人が人任せでした。執念が足りないと監督に言われて、自分たちのスイッチが入りました。前半から行かなくてはいけないのにスロースタートでした。次への課題だと思いますし、次につながる試合でした。後半は一人一人が激しく厳しくプレーして、中村がいないときに引き締まりましたが、良いところも悪いところもありましたので、修正して次の福岡工大戦に臨みます」

──筑波戦の反省は?

「悔しさを『一人一人が絶対に忘れない』を合言葉に、まず拓殖大学戦に臨みました。自分たちが向かうべきところに向かっていると思います」

──心の隙を修正するために?
「甘い、軽いプレーや、人任せのタックルがありましたので、自分たちの強みであるタックルをしっかりやっていこうと言ってきました」