マッチリポート 第49回 全国大学選手権大会

立命館大学 43-12 福岡工業大学
【セカンドステージ 2012年12月9日(日) /大阪・長居スタジアム】
これまでとは仕組みの変わった全国大学選手権大会、今週からプール・マッチのセカンドステージに入る。大阪長居での第1試合は、関西大学ラグビーAリーグ2位の立命館大学とファーストステージ1位の福岡工業大学との一戦。立命館大学は、リーグ最少失点でディフェンス力のチームとの評価が高い。一方の福岡工業大学は、ファーストステージをいわゆる100点ゲームを含む圧倒的な得点力で勝ち抜いて来た。対照的な両チームの戦いといえるが、全国大会となるとステージが上がるにつれて、総合力が問われるようになる。どちらが攻守両面にわたって安定した力量を発揮できるかが焦点となる一戦。

試合は、長居スタジアムという新しい装いの全国選手権大会のステージ・アップにとってはまさに桧舞台で、フラッグをはためかす強風の下、立命館のキックオフで始まった。先手をとったのは立命館、福岡工大の反則から相手陣深く攻め込むとラックを連取、3分SH9番 井之上がサイドを衝いて中央にトライ(G成功、7-0)と試合が滑りだす。
続いては、福岡工大、ゴール前パワープレイで立命館を攻め立て、12分FL7番 キャプテン下川が押し込むようにしてトライ(G成功7-7)、同点に追いつく。この後しばし両者の力が拮抗するが、立命館、パスアウトにブラインドサイドWTBが鋭く切れ込むプレイが奏功し大きくゲイン、中央ラックから左へBK展開し26分にWTB11番 岩村が左隅にトライ(G成功14-7)、再びリードする。その後は、両者決め手を欠く中、福岡工大受けに回ってのオーバー・ザ・トップの反則、35分立命館CTB13番 中本PGを決め17-7として前半を折り返す。

後半に入ると、立命館FW、BK共に動きが良くなり、7分FL6番 杉下、10分FB15番 平岡、そして、14分には相手のエリアを狙ったキックをチャージダウンしての13番 中本のトライと立て続けに3トライを挙げ、36-7と大きく差を拡げる。これに対して福岡工大ようやく36分になって、またも7番 キャプテン下川がゴール直前のラックからパワーでねじ伏せるようなトライ(36-12)、粘りを見せる。しかし、大詰めは立命館、40分に入って相手反則からタップキック、素早く回してラックから右LO18番 宇佐美がインゴールに飛び込み、43-12と突き放して勝利を収めた。

チャレンジャーとして臨んだという福岡工大、確かにFWのパワープレイ等光るものを見せはしたが、反則で再三チャンスをものにできなかったディシプリンについては修正が必要だろう。一方の立命館にとっては、バランスのとれた力を見せたもののブレイクダウン・サイドを攻められて2トライを挙げられており、そのDFを固めることが次節以降への課題として浮かび上がった試合だったと言えよう。

会見リポート
 

福岡工業大学の宮浦監督(左)と下川キャプテン

福岡工業大学

○宮浦成敏監督

「ファーストステージ2試合を戦ってきて、今日で大学選手権の3試合目で強豪校と対戦できることが有難い。しっかりチャレンジすることができた。
ブレイクダウンで差し込まれ、獲れるところで獲れなかったミスが大きなポイントだった、選手達は良くやってくれた、大きな経験となったと思う」

○下川謙典キャプテン

「セカンドステージで対戦する立命館大学に向けて勝利を目標に取り組んできた。
ボーナスポイントの4トライを目標にしたが、ブレイクダウンで力の差が出た。2トライしか獲れなかったが、関西2位立命館大学のブレイクダウンも経験できたので、次の2試合は立て直して、自分達の力を出し切りたい」

──ファーストステージのメリットとデメリットは?

○宮浦監督
「メリットは、試合数も多くなり、しっかり準備もできた。いきなり強豪校と対戦することなく、力試しができることが良かった。
デメリットは、予想以上に点差がついたこと。しかし、新しい目標設定もできるようになったので、メリットの方が多いと思う」

 

立命館大学の中林監督(右)と落合キャプテン

立命館大学

○中林正一監督

「この様な素晴らしい大学選手権に挑戦できることを嬉しく思います。
今日の試合は、大学選手権セカンドステージの一回戦、方式も変わって普段対戦することのない、福岡工業大学だったので、自分達がやってきたことを出しきろうと臨んだ。
ゲーム前半、想像以上に激しかったので受けてしまった。後半に入って自分達がやってきたことをしっかり取り戻してくれたことは、成長できたと思う。2トライ獲られたことを修正して、次に試合に臨みたい」

○落合佑輔キャプテン

「本日は有難うございました。セカンドステージの緒戦に向けて準備をしてきましたが、激しいディフェンスとアタックを受けてしまった。フォワード、バックスの接点で勝負をしようと再確認して、立て直した。
2トライ獲られたフォワードの近場を修正して次の試合に臨みたい」

──関東勢に向けての修正は?

○中林監督

「ディフェンスは、激しさと、リアクションを修正していきたい。
アタックに対しては、ボールを動かす意識はあったが、獲りきれない課題があった。前半最初の簡単なミスが流れを失っているので、自分達のできることにフォーカスして、しっかり次に臨みたい」

(記事:村島博、玉川育夫、蜷川善夫 写真:柳元啓志)