マッチリポート 第49回 全国大学選手権大会

筑波大学 61-3 法政大学
【セカンドステージ 2012年12月9日(日) /東京・秩父宮ラグビー場】
一週間前、三連覇中の帝京大学を破り、三校同時ながら創部以来初の関東対抗戦優勝を果たした筑波大学。迎えるはリーグ戦の古豪、法政大学。筑波大学のキックオフで試合開始。
キャッチした法政、果敢に左オープンへ展開。ディフェンスに定評のある筑波もゲインラインを切らせない。その後陣地を奪い合うキック合戦の中、筑波の14番彦坂選手が何度も大きくゲイン。試合が動いたのは4分、法政自陣22m内でオフサイド。筑波の10番松下選手がしっかりPGを決め、3-0。

その後も両校ともにしっかりとディフェンスし、ゲインラインをキープ。しかし体格で一回り、いや二回り大きい筑波バックスの攻撃に対し、受身のディフェンスとなってしまう法政。
14分、法政ラインアウトからバックスのサインプレーで筑波ディフェンスを揺さぶろうとするも、逆にロングパスを筑波の6番水上選手がインターセプト。40m近く独走し、最後は13番山下選手がトライ。ゴールも決まり10-0。

勢いにのる筑波。21分、今度は法政自陣22m内での法政ラインアウト。法政のタッチキックをチャージし、それを展開しトライ。17-0と点差を広げる。
しかしその後、法政の攻撃に自陣に釘付けとなる筑波。34分には、マイボールスクラムからのこぼれ球を法政9番本村に拾われるも必死のディフェンス。自陣5mでの法政ラインアウトから法政FWが5度、6度とサイド攻撃を仕掛ける。法政ファンの声援に後押しされるも、どうしてもゴールラインを割る事ができない。ロスタイムに入っても、防戦一方の筑波にハイタックルのペナルティ。これを法政10番猪村が決めたところでハーフタイム。17-3で前半終了。

サイドが変わった後半。筑波のBK陣が力強い走りでトライを量産する。4分には15番内田がディフェンス二人を突き放しトライ、22-3。8分には長身のSH内田のサイドアタックからボールをもらった5番鶴谷のトライ、29-3。10分には、自陣スクラムから右オープンに展開し14番彦坂が法政対面の11番半井のタックルを吹き飛ばし、そのまま70m独走トライ、36-3。筑波は15分にもPGを決めて39-3。
この後、筑波の選手の入替えが見事的中し、交代選手達が次々に3トライをあげる。筑波大学の層の厚さをうかがわせた。
ロスタイムに入り、筑波の1番古賀がトライし、10番松下の高々と上がったGKが決まり、ノーサイド。終わってみれば61-3と筑波が圧勝した。

点差こそ開いたものの、法政の必死のプレー、特に相手に突き刺さるタックルにより点差を感じさせない引き締まった試合となった。

筑波 61-3 法政 筑波 61-3 法政 筑波 61-3 法政 筑波 61-3 法政
会見リポート
 

法政大学の小野木監督(右)と岡本バイスキャプテン
法政大学の小野木監督(右)と岡本バイスキャプテン

法政大学

○小野木 修監督

「筑波大学さんはチャンピオンチームで、後半に体力差が出たと思います。それ以上に前半は、相手の上手さ、そつのないプレー、ミスの少なさの前に、うちのミスが続いて敵陣に入れませんでした。そこが勝負の分かれ目だったと思います」

──リーグ戦と比べて?

「ディフェンスが固いと感じました。こちらもディフェンスでしのいで、持って行ければと思っていましたが、それ以前の所でミスが多かったと思います」

──次に向けて?

「個々の力は正直に言ってあると思います。組織的なブレ―がまだまだでしたが、リーグ戦後半はアタックとディフェンスが機能してきました。今日は、それを出せずじまいでしたので、修正したいと思います」

○岡本圭二バイスキャプテン

「相手はチャンピオンですから、法政らしくアタックをチャレンジしようと臨みました。後半にめいっぱい力を出すつもりでしたが、やはり、筑波さんの徹底したプレーに少しやられて、良いところを出せずに終わってしまったと思います」

筑波 61-3 法政 筑波 61-3 法政 筑波 61-3 法政 筑波 61-3 法政
 

筑波大学の古川監督(右)と内田キャプテン
筑波大学の古川監督(右)と内田キャプテン

筑波大学

○古川拓生監督

「本日はありがとうございます。先週の対抗戦の敗戦から切り替えるのがテーマでした。法政戦はメンバーが替わって、ブレイクダウンでぎりぎりの思うようなプレーができず、イライラしましたが、そこを修正できたゲームでした。決して良い出来ではなかったが、トライを獲られなかったのは良かったと思います」

──今日、良かった点は?

「決して良い流れではない中で接点のところをやりつづけて、崩れなかったことです」

──気持ちの切り替えは難しくなかったか?

「先週、私が考えたことを、すでにキャプテンが円陣の中で言ってくれていました。甘い考えで臨めば、法政さんは一発のあるやりにくい相手です。その部分を対抗戦の失敗から学ばないといけないと、週の初めからやってくれました」

○内田啓太キャプテン

「大学選手権ということで、正直、負けても出られるという対抗戦の時とは選手全員の気持ちが違いました。その結果、相手に得点されず、ディフェンスが崩れなかったと思います。アタックの修正とディフェンスをブレずにやって行きたいと思います」

──前半36分辺りの猛攻をしのぎきったが?

「自陣に入らせない意識はありますが、もちろん80分の中で入られないゲームはありません。しのぎきったのは、選手が気持ちを一つにしてやっただけです」

──ハーフタイムの指示は?

「前半は風上でしたが、後半は確実に相手は風を利用してキックでくる。自分たちがやるべきことをやり、接点や地域獲得で圧倒しようと言いました」

──対抗戦で優勝して?

「筑波大学史上初だそうですが、大学選手権で優勝するためにやっているので、まだ、何も成し遂げていません。順調に来ていますが、やりきった感覚はありません」