マッチリポート 第49回 全国大学選手権大会

東海大学 45-36 明治大学
【セカンドステージ 2012年12月23日(日) /東京・秩父宮ラグビー場】
セカンドステージで最も注目されていたカードは、期待に違わぬ好ゲームとなった。その中で東海大学は、FWがセットプレーで優位に立ち、BKもここぞという時に決定力を発揮。接戦を制して、2年ぶりの準決勝(1月2日)進出を決めた。

前半早々のFW戦から、双方のNo.8が1トライずつ上げ、まずは互角の立ち上がり。東海の阪本主将と明治の染山という、学生随一である両チームのSOが蹴り出すキックは、ともに規則正しい回転と美しい放物線を描き、前日の雨で荒れた秩父宮のピッチ上空を交互に飛んでいく。18分には明治が、お馴染みとなったCTB西村のモール参加からのトライでリード。その後、東海はゴール前モールからFL谷が2回ゴールラインを超えたが、いずれも明治必死のディフェンスからトライに至らなかった。しかしやっと24分、左右に振った展開からWTB小原がトライし追い付く。さらにFB高平が、外に開いてパスを受ける見事なラインブレイクからのトライで逆転すると、前半最後のトライも東海。FL谷のラインアウトモールからのトライで、東海が24-12のリードで折り返し。

後半はいきなり明治がビッグプレーからのトライで勢いを吹き返す。左サイドの染山から右サイドのWTB斉藤へキックパスが通り先制。さらに5分、フロントローとは思えないラインブレイクを見せたPR石原が飛び込み、2連続トライで同点に戻した。しかし東海は慌てず、14分にはFWの、24分にはBKの、いずれもスクラムを基点としたサインプレーで2トライ、またリードを奪い返すと、それ以降は逆転されることなく逃げ切った。

明治は前後半の立ち上がりに勢いよく攻め、ディフェンスにも粘りがあったが、よく鍛錬されている東海は慌てず、優勢なスクラム、ラインアウトを基点にしたプレーで譲らなかった。スタンドにいる部員の声援のせいか、競技場にいると感じる独特の雰囲気。ファンの間から「学生ラグビー、いいね」という声が漏れていた。1月2日も楽しみだ。(米田)

会見リポート
 

明治大学の吉田監督(左)と竹内キャプテン
明治大学の吉田監督(右)と竹内キャプテン

明治大学

○吉田義人監督

「まず、正々堂々と真っ向勝負を挑むことができた試合でした。キャプテンはじめ、4年生にはご苦労さん、ありがとうと伝えたいと思います。早明戦の勝利から大学選手権に入り、今日の試合に勝てば、また、国立の舞台に進めると、我々のラグビーを貫きたいと臨みました。東海さんの重いFWに、前半はモールでペナルティを取られ、我々のラグビーがほとんどできませんでした。後半は、今年の武器にしていた15人が一体となって、FWが縦を突き、BKが獲り切るラグビーをしようと臨みました。序盤に、24-24にして、ここから巻き返したいといったときに、今年ずっと通年で課題だった、ディフェンスが淡白で獲られてしまう面が出ました。ギャップを突かれて、トライを決められました。後半の後半は、選手も最後まで力を振り絞ってくれましたが、届かず、ノーサイドのホイッスルが鳴ってしまいました。結果は残念ですが、選手たちが成長してくれました。来季は今年の4年生がやってくれたことを生かして、他の選手が巻き返してやってくれると思います」

──モールのトライを獲られたが?

「東海さんのFWの持ち味も、明治のFWの持ち味も出た試合だったと思います。相撲で言えば、がっぷり四つでした。東海さんはトライを獲ってくる手段に鋭いものがありました。もちろん、獲り切る力があったからですし、明治も獲り切る力があったということでしょう」

○竹内健人キャプテン

「今日の試合は結果がすべてだと思います。それだけです」

──後半、良い流れで、もう一つ畳み掛けられなかったが?

「流れをつかめなかったのは、コミュニケーションのところが原因です。シーズン通してできたことができませんでした。1対1のところで、タックルで粘れれば良かったのですが。タックルミスもあったが、それよりもコミュニケーションのミスでした」

──東海大のFWは?

「あれだけモールで獲られたのは、明治の対策が甘かったということです。セットプレー、モールは、うまくかみ合わなかったが、あとは戦えたと思います」

 

東海大学の木村監督(右)と阪本キャプテン
東海大学の木村監督(右)と阪本キャプテン

東海大学

○木村季由監督

「本日はありがとうございます。今日は、やってきたことをすべて出しきろうがテーマでした。勝ち負けは俺に任せろ、仲間を信じてやりなさいと伝えました。スタンドにいる仲間やすべてを背負って戦おうと、ボールゲームというより、格闘技の部分で戦おうと臨みました。敵陣で試合を進めることができましたが、シンビンもあり、苦しい時間帯もありましたが、良いラグビーをしてくれたと思います」

──大きいFWで、選手はFWで獲りたいと感じているのでは?

「今も苦労している最中です。どうしてもFWで獲ろうという意識が出てしまいます。最終的にはFW、BK両方で獲れるチームにしたいと思います」

──明治が直前に相撲部屋へ練習に行ったが?

「新聞で見ましたが、ああ、明治だなあと思いました。こちらは、今までやってきたことを信じて、冷静に臨みました」

○阪本圭輔キャプテン

「本日はありがとうございます。負けたら終わりという状況で、練習してきたことをすべて出し切ろうと臨みました。なかなか、スコアしても追いつかれて、落ち着いた時間がなかったのが課題です。選手たちは必ず勝とうと最後までやってくれました。個人的には、日大のキャプテンから、リーグ戦のチャンピオンとして頑張ってくれと言われて、リーグ戦を代表して戦おうと思って臨んだ試合でした」

──明治のディフェンスは?

「セットプレーでも、スクラム、モールで簡単に取らせてくれないし、モールも簡単に押せず、凄いFWに力のあるチームだなと感じました」

──ペナルティを狙わずミスしたが?

「あの時は、ごめんなさいと思っていました。キャプテンという立場で、ああいうミスをしてはいけません。しかし、チームが勝ちたいと切り替えてくれたので、一人のSOとしてゲームを組み立てようとそのあとプレーしました」

──ループしての素晴らしいトライは?

「準備していました。ここぞの一本が欲しい時に使おうかなと思っていました」