マッチリポート 「第20回 全国クラブラグビーフットボール大会」
六甲ファイティングブル 38-29 神奈川タマリバクラブ
【準決勝 2013年1月13日(日) /埼玉・熊谷スポーツ文化公園(県営熊谷ラグビー場)】
過去7度の優勝を誇る神奈川タマリバクラブと、連覇に向けてこの試合が全国初戦となる六甲ファイティングブル。昨年の決勝と同じ組み合わせとなった準決勝第2試合は、互いのプライドが激しくぶつかりあう好カードとなった。

先手を取ったのは風下の六甲。前半8分、タマリバ陣スクラムから左に展開。11番・トケが左隅に先制トライを決める。

一方のタマリバもすぐさま反撃。直後の11分には主将でもある15番・飛野がタッチキックを猛チャージ。インゴールに転がったボールをそのまま抑え込み同点トライ。14番・畑のゴールキックも決まって5-7と逆転に成功した。

昨年11月の東日本トップクラブリーグ決勝で敗戦した時から、この試合に照準を絞って来たタマリバ。接点では六甲に次々と突き刺さり、六甲自慢の豪脚WTBにもひるむことなくタックルを繰り返し前進を許さない。21分、タマリバは六甲陣内でラックを連取して10番田村が右裏にキックパス。熊谷の広いインゴールに転がり込んだボールを競り合いに勝った14番・畑が抑えて12-5。タマリバ陣営が多いに盛り上がった。

タマリバの激しい当たりに受けに回った六甲だったが、前半終了間際の42分。自陣ゴール前のラックをターンオーバー。11番トケがタマリバ防御を2人かわして、そのまま相手ゴール下まで95メートルを走り切り、12-12で前半を終了した。

勝負の後半。風上に立った六甲は10番リチャードのキックを有効に使って敵陣に襲い掛かる。後半3分、タマリバのラインアウトを六甲4番・大内がカットして前進。速攻から右に展開して14番内山が右中間にトライを決める。23分には交代した22番・李修平が回り込んでトライ。さらに23分、27分にはトケが連続トライを決めて勝負を決めにかかる。

だが、32分に六甲からシンビンで一時退場が出ると事態は急転。タマリバが逆襲に出る。

キックを使わない得意のスピードラグビーで32分に12番羽田がトライ。六甲も必死のディフェンスを続けるが、1人少ないあせりから反則を連発してしまう。40分には5番井戸が、42分には22番の武田がトライを決めて、場内は異様な雰囲気に包まれたが、ここでノーサイド。六甲が2年連続12回目の「秩父宮切符」をつかみとった。

試合後のファンクションで、六甲・鎌田主将は「タマリバさんの激しさは想像以上で、何とか勝たせてもらった。厳しい試合ができたことを感謝したい」とコメント。同志社大時代の後輩でもあるタマリバ・飛野主将は「(昨年の決勝で敗れ)六甲さんに勝つまではタマリバを離れるわけにはいかないと、この1年頑張ってきましたが、倒すことはできなかった。僕らの分まで決勝は頑張って欲しい」とエールを送った。

この試合のレフェリーを務めた戸田京介氏(日本協会A)も「初めてクラブの試合を吹きましたが、本当に楽しかった。大学選手権決勝にも負けない情熱を感じました。日本ラグビーの"草の根"を感じさせる熱いゲームでした」と両チームの健闘をねぎらった。

決勝に進む六甲は後半続出した反則への修正が急務か。北海道バーバリアンズとは全国大会10回目の対戦となるが、決勝での対決は初めてとなる。
尚、決勝は1月20日(日)の12時、秩父宮ラグビー場で、トップリーグのプレーオフトーナメントセミファイナル、パナソニックvs東芝の前座試合として行われる。