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新旧混合「現時点の最強メンバー」で
フィジカルなフィリピンを迎え撃つ

ジョーンズHCはフィジカル面での成長に手応えを感じている
photo by Kenji Demura (RJP)

20日、HSBCアジア五カ国対抗2013(A5N)が開幕する。
5年連続でアジア王者に輝いている日本の初戦の相手はフィリピン代表。昨季、ディビジョン1を制して初の「トップ5」入りを果したフィリピンに対して、エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチは「現時点の最強メンバー」で臨むことを明らかにしている。

昨秋の欧州遠征で欧州勢とのテストマッチに連勝するという歴史的偉業を成し遂げた日本代表の2013年の始動は4月1日。5日間の菅平合宿(-9日)、4日間の東京合宿(9-12日)を経て、12日からは福岡・グローバルアリーナでA5N初戦(20日、レベルファイブスタジアム)に向けて直前合宿を行ってきた。
 春の時点で最も重視されてきたのは「フィジカル強化」。
 それは、前述どおりテストマッチには連勝(ルーマニア、グルジア)したものの、バスク選抜、フレンチバーバリアンズには敗れて2勝2敗に終わった5ヵ月前の欧州遠征で浮上した課題でもあった。
「ストレングスが良くなった。フィジカル面で進歩を感じている」と、正味2週間の合宿を終えて、ジョーンズHCはそんなふうに手応えを感じている。
 すでに日本代表のスタンダードとなっているとも言える朝5時台からの早朝トレーニングに始まって、夕方まで練習漬けという日々が続いたが、「去年やったベースがあるのでスムーズに入っていけたし、1日の練習が長い分、チームの結束も高まっている」(LO大野均)と、いい流れで今季初戦を迎えることになりそうだ。

とうとう日本代表としてテストマッチデビューを果たすことになるCTBサウ

photo by Kenji Demura (RJP)
PR三上、CTBサウが先発初キャップ獲得へ
PR浅原とWTB福岡もリザーブメンバー入り

18日に発表されたフィリピン戦メンバーは昨季の中心メンバーにノンキャップ組なども加わった新旧混合と言っていい顔ぶれとなっている。
先発15人中、フィリピン戦が初キャップとなるのは、左PR三上正貴とCTBマレ・サウ。
「三上はソリッドでハードに働いてくれる。マレの個人スキルは素晴らしく、『他との違いを出せる』13番の大きな選手。トップリーグでトップのパフォーマンスをし続けているし、ジャパンのスタイルに慣れてきた」というのがジョーンズHCの2人に対する評価だ。
「やはり一番はスクラム。いいサポートプレーでも貢献したい」と、抱負を語る三上のスクラムの強さは所属する東芝ブレイブルーパスでのプレーで証明済み。
HOには東芝のチームメイト湯原祐希が2011年W杯以来となる代表復帰。
右PRの山下裕史もスクラムの強さには定評があり、セット重視の先発布陣と言っていいだろう。
PRのリザーブには代表キャップ36の畠山健介とともに、三上同様、東芝のノンキャップ組の浅原拓真も控えており、「トップリーグで一番スクラムにこだわりがある」(浅原)という東芝の前3人が揃ってジャパンの最前列を支えることになる可能性もある。
浅原と共にリザーブ陣の中でノンキャッパーが、新大学2年生のWTB福岡堅樹。
3月中旬から4月上旬にかけてジュニア・ジャパンが参加したIRBパシフィックラグビ―カップ(PRC)での活躍が認められて代表にスコッドに抜擢されたスピードスターが、一気に初キャップに近づいたことになる。
「アタックではトライを取ることが仕事。DFで戻った時のバックアップもきちんとしていきたい」という福岡に対しては、同じWTBの廣瀬俊明主将も「スピードはもの凄い。僕と小野澤(宏時=WTB)さんのふたりで、『ちょっとどうしようか。困ったな』みたいな話もしているくらい(苦笑)。いい意味で競争があるのは幸せだし、その中で切磋琢磨していきたい」と、真のライバルとして捉えているほど評価は高い。
17日に行われたサニックスブルースとの試合形式に近い練習(アタック・ディフェンス)でも、スピードを生かして大きなゲインを繰り返していた福岡は、まさに実力でリザーブ入りを勝ち取ったと言っていい。
「ペースがあって、ボールが欲しいという気持ちに溢れた選手。スピードはすでにインターナショナルレベル。テストマッチレベルで通用するか、成長するためのチャンスとなる」と、ジョーンズHCも大きな期待を寄せている。

そんな新顔に加えて、経験豊かなベテラン勢が揃って好調なのも心強い。
「キン(=LO大野)、ショージ(=LO/FLリザーブ伊藤鐘史、キク(=FL菊谷崇副将)、ザワ(=WTB小野澤)、ゴロー(FB五郎丸歩副将)などがリーダーシップを持ってチームを構築していってくれていることを嬉しく思う)(ジョーンズHC)
尚、昨秋の欧州遠征同様、リザーブ枠が8人に拡大された総勢23人態勢でフィリピン代表を迎えることになる日本代表だが、前述の浅原、畠山のPR勢も含めてリザーブは8人中6人がFW陣で占められている。
「(SOで先発する)小野晃征をSHのリザーブとして試してみたいのと、激しいトレーニングを続けてきているので、FW陣に疲れが出ることが想定され、試合を“フレッシュレッグス”な状態でフィニッシュするため」というのがジョーンズHCの説明だ。
尚、フィリピン代表は、SHジェームス・プライス、SOガレス・ホルゲートのハーフ団(共に九州電力キューデンヴォルテクスでプレー)など、7人の“日本組”を含んだメンバー構成。
「豪州でプレーする選手もいて、アジアには珍しいフィジカルなチーム」(ジョーンズHC)
そんな第一関門に対して、「シェイプの精度上がってきている。サニックスとの試合形式の練習でも、前半、後半とメンバーが全く変わっても同じようにできるようになったし、チームとしていいかたちになってきている」(廣瀬主将)という日本代表が、新たな段階に進んだアタッキングラグビ―を見せることができるのか、注目される。

text by Kenji Demura


18日には廣瀬主将がジョーンズHCと共に福岡市役所を訪れ、貞刈厚仁副市長に日本代表ジャージを手渡した
photo by Kenji Demura (RJP)

6連覇を目指し、A5N2013の戦いをスタートさせる日本代表(写真は昨年優勝時のもの)
photo by Kenji Demura (RJP)
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