photo by H.Nagaoka
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ワールドカップ初勝利はあと一歩のところで届かなかった。
ラグビ―ワールドカップ・セブンズ2013に参戦したサクラセブンズこと、女子7人制日本代表は初戦、最終戦と、勝利まであと1歩のところまで迫りながら惜敗するなど健闘を見せたものの、4戦4敗でモスクワでの戦いを終えた。
「普通にやったら勝てない相手」
開幕前、今回のワールドカップ(プール戦)での対戦相手であるロシア、イングランド、フランス関してそんなふうに語っていたのは中村知春キャプテン。
一方、浅見敬子ヘッドコーチは以下のような見方をしていた。
「イングランドは圧倒的。体つきに関しては、イングランドと他の国の選手は全く違う。男性に近い。パワーラグビーという感じ。プレーの選択、判断も素晴らしい。プレーのスタイル自体はロシアとフランスもイングランドと余り変わらない。ただ判断や精度という部分がイングランドよりだいぶ劣るのでつけ入る隙はある」
奇しくも、開催国ロシアとの試合となった初戦。
「失点は気にせず、得点を取りに行く。どれだけ自信を持ってアタックし続けられるかがポイント」
そんな浅見HCの言葉どおり、立ち上がりの時間帯、日本はボールキープしながら、アタックを続けた。
「すごくいいリズムで攻撃できた。自分は駆け込んだだけ」という鈴木陽子の2トライ(前半4分、後半2分)で10点を挙げた日本だったが、前半2分にスクラムから、後半5分にはラインアウトから、いずれも内側のスペースを強引に突破されて、2トライを奪われ、最終的には4点差で惜敗。
立ち上がり攻めながら、先制できなかったように、「ここぞというところで継続できない」課題も浮き彫りになったが、「自信になる敗戦」(中村キャプテン)でもあった。
世界で戦う自信の端緒をつかんだと言ってよかったロシア戦に比べ、続く2試合はまさしく世界の壁を感じさせるものとなった。
「いつも入りが良くないと言われているので、最初から100%出していけるように準備していきたい。走るラグビーを14分間続けることができるか」
大会前、前回のワールドカップを知る鈴木彩香が代弁してくれたチームとしてのフォーカスポイントだった「試合の入り」に失敗。いずれも0分に先制トライを奪われ、イングランドに対しては0―39。フランスに対しても0―43で完敗する。
「練習してきたことができていない。キックオフで1本崩されただけでリズム感が戻せなかったり、基本中の基本のところ。プレーの精度がずいぶん違う」(中村キャプテン)
前述のとおり、運動量を生かして攻め続けるラグビ―でトップ入りを目指したが、29日のプール戦は3戦3敗。
翌30日のノックアウトステージではボウル・トーナメントで戦うことになった。
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「ミスのないチームが強いチーム」(鈴木彩)
「ある意味、図々しいので、切り替えて臨めると思う」
プール戦で3連敗した後、中村キャプテンはそう語っていたが、ボウルトーナメント1回戦のオランダ戦は、またも立ち上がりにリードを許す苦しい展開となった。
前半だけでオランダが3トライ。後半開始直後に鈴木彩のブレイクから中村キャプテンにつないで1トライを返し、後半4分にもキックチャージから三樹加奈が強引にオランDFをこじ開けて5点差に迫ったが、反撃もここまで。
最終スコアは14―19で敗れた。
格上の相手にチャレンジしながらも、4戦4敗。
想像以上に暑かったモスクワでの戦いを終えた中村キャプテンは、「自分たちの立ち位置がわかった」と振り返った。
「成長したが、接戦を勝ち切る力がまだまだ足りない。今日のオランダ戦、ロシア戦と、いいリズムで互角に戦えたが、ここぞというところで継続できない。スキルアップが必要」(同キャプテン)
一方、浅見ヘッドコーチは「ひたむきさ出していた。誇りに思う」と選手たちの頑張りを讃える一方で、「世界との差が明確になった。セットや判断力などラグビ―の部分が厳しかった。ボールキャリアがプレッシャーを受けて負けていた」と、まだまだ力不足であることを認めた。
当然だが、世界は甘くない。
確実に成長の実感も持てたが、まだまだ足りない課題も改めて明らかになった。
「チャンスはできていた。判断の甘さがある。悔しいけどチャレンジ続けていく。世界への足がかり見えた。ミスのないチームが強いチーム」(鈴木彩)
「運動量で勝負していく取り組みはやめない。アジアシリーズでプレーすることになるが、世界を見つめていく。金メダルの目標は降ろさない」(浅見HC)
世界の壁にはね返されながらも、サクラセブンズにはサクラセブンズにしかできないラグビ―があること、そして、そのサクラオリジナルで世界に伍していく可能性を十分に実感したワールドカップとなった。
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