マコウ主将はNO8、カーターも4試合ぶりに先発出場
新旧混合メンバーで日本に対峙するオールブラックス

31日早朝、オールブラックスが日本戦メンバーを発表。
2人の初キャップ組など若手メンバーの一方で、NZラグビ―の至宝とも言えるリッチー・マコウ、ダン・カーターも先発に名を連ねるなど、刺激的なメンバー構成で26年ぶりとなる東京での日本戦に臨むことになった。

(text by Kenji Demura)

「日本チームのことをリスペクトしているし、力のある厳しい対戦相手だと考えている。その一方で、次世代の選手たちを育てながら、チームを次の段階に進めていく必要があることも感じている」
日本戦のメンバー選考の基本的な考え方について、スティーブ・ハンセンヘッドコーチはそんなふうに説明した。

 

もちろん、共に複数回IRB年間最優秀選手に選ばれるなど、この10年間、世界最高のラグビープレーヤーズとして評価されてきたマコウ主将と指令塔のカーターが揃って先発する事実こそ、オールブラックスのジャパンに対するリスペクトの表れだろう。
マコウ主将に関してはお馴染みの7番ではなく8番のジャージで東京・秩父宮ラグビ―場の芝の上に立つことになる。
オープンサイドFLのポジションには、“マコウ2世”とも評される21歳のサム・ケインが入る。すでにマコウ主将が不在だった今季前半、特別な意味を持つ背番号7の漆黒のジャージを身にまとってプレーした経験を持つ売り出し中のルースFWだ。
「サムは今シーズン前半、素晴らしいプレーを続けた。すでにリーダーシップも感じさせるなど、精神面でも成長を見せている」というのがハンセンHCのケインに対する評価だ。

その一方で、同HCは「サム(ケイン)とリッチー(マコウ)は試合の中でポジションを変えるオプションもある」と、状況次第でマコウが慣れ親しんだオープンサイドに戻る可能性にも言及。

ケイン自身も「リッチーがケガから復帰したばかりというのもあり、コンディション的にはいまは動き回るのは自分の方がいいということ。ただ、試合中はポジションを変えたりはすると思う。彼はずっと7番でプレーしてきたし、オープンサイドの動きに慣れているから」と、6番に入るスティーブン・ルアトゥアも含めて、ユニットでどう動けるかが重要だとの認識を示していた。

マコウ主将は、10月5日に行われたラグビ―・チャンピオンシップ(南半球4カ国対抗)最終戦の対豪州戦で復帰を果たしていたが、カーターに関しては、日本戦が右肩を痛めた9月14日の同・南アフリカ戦以来の実戦となる。
「ここ数週間、コンタクトを伴う練習もしてきたが、違和感もなく、肩は問題ない」と、コンディション的には万全であることを強調。
「世界トップ10であるウェールズを破ったことは偉業だと思うし、全ての面で進歩し続けている」と、日本代表の印象を語るカーター。
「長い欧州への旅程の途中で日本に立ち寄ることは理にかなっているし、日本代表というしっかりしたスタイルを持つチームと試合ができること、ラグビ―ファンも多い日本でプレーできることを楽しみにしている」と、1ヵ月半ぶりの復帰戦が日本との試合となったことを前向きに捉えている様子だった。

マコウ主将(左から3人目)はNO8で先発する
photo by Kenji Demura (RJP)


セットプレー、ラックサイドDF...
まずはフィジカル面で圧倒する

「派手なスタイルのラグビ―の前に、まずはフィジカル面でしっかり対応する」(ハンセンHC)

「日本はラインアウトが強く、ラックサイドをテンポ良く攻めてくる。まずはそこをしっかり止めることが重要になる」(イアン・フォスターアシスタントコーチ)

そんな首脳陣のコメントからも、オールブラックスとしては当然ながらフィジカル面でゲームを支配しようとしてくることは間違いないだろう。

日本戦が初のテストマッチとなるLOドミニク・バードは2m06cmの巨漢。

「ラインアウトのターンオーバーからチャンスになることが多い」と語るとおり、空中戦を支配してオールブラックスの攻撃チャンスを広げることを目論む。

一方、マコウ主将、カーターを除けば登録メンバーの中で最年長のベテランPRワイアット・クロケットは「日本に対しては特にFWパックがフィジカルで圧倒することが重要になる。ウェールズ戦のビデオをみても、日本がいいスクラムを持っていることは確か。07年にジュニアオールブラックスで日本と対戦した時にもちょっと戸惑った。コンパクトだが、爆発的な力を発揮する。試合の最初からしっかりいいスクラムを組んでいくことが重要になる」と、日本のスクラムをしっかり研究していることを強調する。

これまた当然ながら、FWがしっかりボールを獲得できれば、初キャップながら7人制のスターで今季のスーパーラグビーのトライ王でもあるWTBフランク・ハライ、同チャールズ・ピウタウ、今回はCTBに入るもののハンセンHCが「サムは今シーズン前半WTBとして圧倒的なパフォーマンスを見せた」と評価する決定力を持つベン・スミスなど、スピードスターが揃うBK陣が縦横無尽に走り回るチャンスが増えることになる。

カーターにとって日本戦は1ヵ月半ぶりの実戦となる
photo by Kenji Demura (RJP)